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インド アユルベーダの旅(13)ロナワラ 一日トイレとお友達

そしていよいよメインイベント。先ずはドクターの診察。血圧は4日前、130/90だったが、今朝は110/80にまで劇的に改善していた。この4日間の生活がいかに快適であったかの証明だろう。Motionという英語が便通であることを知る。

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それからいつものトリートメント小屋に入り、腹と背中を湯たんぽのようなもので温めた。足が冷たかったのだが、やってくれなかった。参加者は皆、ちょっとナーバスになっている。マッサージ師も笑いを取ろうと冗談を言う。

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そしてWaiting ベンチにマッサージ師が4つのコップを持ってきた。これを飲んで部屋に籠るらしい。1つ目は粉を溶かしており、かなり時間をかけて混ぜた。何とも言えない薬草の匂いがしたが、『匂いも味もないから一気に飲め』と言われ、その通りした。2つ目は全く違う種類の薬草らしく、クリーンで飲みやすかったが、味は不味かった。3つ目は一番大きなコップに入っており、かなり長い時間かき混ぜた上、冷めるのを待った。ちょっと違うがコーヒー牛乳の感じで飲みやすく、味も悪くなかった。4つ目は2つ目とほぼ同じ感じですっと飲めた。脅かされていたほど、飲みにくくはなかった。

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部屋へ戻る途中、お腹がかなり張って、チャポチャポしていた。一瞬口から吐きそうな気分になるが、すぐに落ち着いた。部屋に戻るとやることがなかった。今日は寝てもよいと言われたが、既に睡眠は十分すぎる。1時間もしないうちに、便意を催す。通常の便が出た。それから30分ぐらいして、下痢の症状が現れた。これを出して、気持が悪い症状もなくなり、だいぶん楽になった。

 

それから断続的に便意が来た。これは体のパイプ掃除だなと思う。3日間かけて、硬直したパイプを柔らかくし、4日目にどっと洗剤を流し込む。あとは体のメカニズムにより各場所でパイプ掃除が行われ、順次排出されてくる。パンチャカルマの特徴は単に宿便を流すだけではなく、こびり付いた油を取り除くらしい。それはどんな形で現れるのだろうか。

 

因みにインドのトイレには紙はない。基本的に便器の横に付いているホースの先を押して水を出し、流す。これだと今回のように一日何回もお尻を拭く際、とても便利だ。痔にもならないだろう。まあ、日本では皆ウォシュレットに慣れているから、これは使い勝手が良いかもしれない。ただ濡れたお尻をどうするのか、永遠の謎ではある。

 

昼頃部屋のドアがノックされた。開けてみるとランチだと言って、コップ一杯の重湯が配られた。食べてみるとトウモロコシを使った汁のようなものである。正直あまり食べたくはなかったが、全て食べた。するとまた便意を催す。すごい勢いで出た。白湯も飲んだが、また出た。午前中で十分に出切ったと思っていたが、甘かった。

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午後にはドクターの回診もあった。特にお腹が痛いなどの症状はなかったので問題はないと答えた。『とにかく安静にしていろ』というのがドクターの指示。それから2時間ほど、また断続的にトイレに行き続ける。当たり前だが、これは普通の下痢ではないのだ。普通ならとっくに収まっているところだが、全く収まる気配がない。そしていつが終わりなのか、全然わからない。少し出ていた腹も完全に引っ込んだようだ。

 

3時半頃、何となく最後だな、と分かる出方をした。そこで周囲の忠告を無視して、ライブラリーまでネットを繋ぎに行ってみた。便意は催さないのだが、急激に体力が落ちている。僅か200₋300mの距離をノタノタ行く。ようやくたどり着いてネットを見たが、疲れで集中できない。ちょうどライブラリーも閉館となり、逃げるように部屋に帰る。帰るとすぐにベッドに倒れ込み寝てしまった。相当の体力消耗だった。

 

1時間寝ると、完全に元気になっていた。が、そこにまた便意が襲い、トイレへ。まだ掃除は終わっていないらしい。今日のアーサナは禁止されている。部屋でボーっとするしかない。夕方6時半にトラタカッがあり、参加してみる。この蝋燭を見ながら目に涙を流す、という技法、これまで成功したことは一度もない。初めに腹筋を使うカパラバーティを10回もやると、疲れが一気に噴き出す。そしてやはり今日も涙は出なかった。代わりに便が出た。

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トイレから出て来るとちょうどHさんがドアをノックしていた。夕飯だ。あまり気のりはしないが、キッチンへ。そこにあったのはまさにお粥。梅干しが欲しい所。小皿に少し取り、食べるともう要らない。余程胃腸に負担がかかっているらしい。部屋に戻るとすぐにベッドにごろり。そのまま寝入ってしまったが、夜の10時頃、また便意が来た。本当にすごい効果だ。これが一応最後だった。朝6時までぐっすり。

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インド アユルベーダの旅(12)ロナワラ 小学校の行事

小学校の行事

午後はまた頭にオイルを掛けられる。こちらも慣れてきて、眠ってしまう。あっという間に終了。そして先日のように頭のべとべとが気になることもない。人間、慣れとは恐ろしいものだ。何だかどうでもよい感じになっている。

 

あまりに調子が良いので、コラムなども書き始めた。気持ちが乗っていて、最近書いていなかった欲求が出ているのか、スラスラ進んだ。喜ばしい。アッと気が付くともう3時のお茶だ。普通の人はフルーツが食べられるのだが、マンチャカルマの人はお茶しか飲めない。どうしても食べたいわけではないが、人が食べていると何となく欲しくなるのがさもしい。今日はパパイヤ、昨日はマスクメロン。やっぱり食べたい。

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再びライブラリーに行くとネットが繋がっており、1時間ほどブログの更新などを行う。本当にいいんだろうか、こんなことをしていて、と思うだのが、とにかく調子は良い。4時半になると怖いおばさんに『クローズ』と言われ、追い出される。

 

5時からはまたアーサナ。特に代わり映えしないメニューだが、相変わらず腹筋が弱い。今日はなぜか子連れのインド人がいて、その女の子がしきりと咳をする。ここに居たくないというシグナルを出しているのか、風邪をひいているのか。お蔭で講師の言う英語が聞き取れず難儀する。本当の英語力は雑音の中を聞き取ること、とは大学時代言われたことだが、身に染みる。

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それからライブラリーの横まで戻る。小学校の行事が行われているというので見学に行く。広い敷地に特設のステージが出来、可愛い少女たちがドレスを着て何かをしていた。入口で見ていようとすると、係員が中へ入れてくれた。カイバリアダーマのTシャツを着ているからだろうか。それにしても小学校の行事が夕方から行われるというのは日本ではまずない。この辺もお国柄だろうか。成績優秀者の表彰式をやっている。

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涼しくなってきたので、引き上げる。そしてシャワーを浴びる。相変わらず頭のべとべとは取れないが、あまり気にならない。お湯も毎日ちゃんと出るし、満足だ。パンツも洗う。洗濯物は容易には乾かない。2日はみておいた方が良い。昨日洗ったズボンがまだ湿っている。これでも今の季節はかなりいいらしい。雨季の6月頃洗濯物は永遠に乾かないと聞く。アイロンを駆使して何とか乾かすようだ。夕飯もきっちり食べ、講義はパスして今日も9時には寝てしまう。

 

1月23日(木)

いよいよメイントリートメントの日がやってきた。今日も朝から快調だ。6時にお茶に行くと、日本人2人と中国人がお茶を飲んでいた。彼女は遼寧省出身、広州に既に6年おり、そこでヨーガをやっている。弁護士との話であった。

 

『中国では今誰でもヨーガをやっている』という。健康志向の高まりだろう。そうはいってもある程度の収入と教養がある人たちに限られるだろうが。彼女はいつも非常に落ち着いた表情で、淡々と物事をこなしている。2週間コースに団体でやってきた中国人とも少し違う。彼らはいかにもお金がありそうか、教養人ぶった雰囲気を漂わせているが、この女性は極めてナチュラル。

 

コラム ⇒ http://www.chatabi.net/colum/159.html

 

アーサナの前に瞑想した。これもなかなか良いが、未だに瞑想が長くは続かない。常に迷走だ。アーサナをやってよいか分からなかったが、体調が良いので参加する。特にこの3日間、私には特別の変化は起こっていない。これは良い兆候なのだろうか。

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インド アユルベーダの旅(11)ロナワラ アーサナの習慣が身に付く

1月22日(水)

アーサナの習慣が身に付く

今朝も日本人2人と6時からお茶。持参してきた源氏パイを渡す。4年前、ここで食べた源氏パイの味は忘れられない。今回も非常食として持ってきたが、食べてはいけないルールだし、こっそり食べても分かってしまうようだ。そして何より、今回の食事は不味くない。そこで彼女たちにあげてしまった。

 

7時のアーサナクラス。ちょっと違う動作を英語で指示されても、なかなか対応できない。一番後ろに座っているアシスタントの女性が2度ほど、助けてくれて、何とかポーズをとる。動作に関する英語は、英語の学校などに行っていれば簡単なのだろうが、頭で考えながら動かすと、意外とできないものだ。

 

それでも朝からアーサナをやる習慣が付くといいな、と思う。頭の中では既にバンコックで朝6時に起き、アーサナをやり、それから少し走ろうか、などと妄想が膨らむ。過去にもこのようなケースはあったが、実施できた試しはない。環境がさせる、ということもあるのだろう。

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今日は初日のマッサージ師が対応した。部屋の写真を撮らせてもらったが、なぜか1枚目を消去し、取り直せという。何がいけなかったのか分からない。その後は初日と同じで、ハーブオイルで全身を浸す。垂らし込むというより、擦り込む感じか。部屋の隅ではオイルを温めているが、時々パチパチと音がする。まるで天ぷらを揚げるようだ。そう考えるとオイルを塗られている私も、天ぷらにされてしまいそうで怖い(笑い)。

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20分程度で終了。朝食に向かう。朝食は一皿だけだが、これがいつも美味しい。実は朝食が一番美味しいのかもしれない。そして昨日Nさんから聞いていた散歩コース、山歩きに向かう。これまでカイバリアダーマは広いとは聞いていたが、殆どきめられた敷地内しか歩いていない。

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山登り散歩

実はこの施設の敷地内を数年前に高速道路が横切った。ヨーガのような静寂を求める施設の真ん中を高速道路が走る、日本では考えられない。どうしてそのようなことになったのかは不明だが、それがインドの現実だ。

 

出掛けてすぐ、トイレに行きたくなり部屋に戻った。すると掃除人がやってきて掃除が始まる。何となく散歩に行く雰囲気ではなくなり、ライブラリーにネットしに行く。ところが、今日はネットの調子が悪く、繋がらなかった。仕方なくまた散歩に出ることにした。

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高速道路の向こう側に行ったことはなかった。専用のトンネルを潜るとそこには可愛らしい小学校があった。その向こうにはバラック小屋があり、それからは山を見ながら、道が続く。高速近くには結構別荘風の家が建っているが、カイバリアダーマの敷地内には何も建っていない。どうやら今後開発計画があるようだが。

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山登りと聞いていたが、登り口は分からず、どんどん歩いて行く。花が咲いていたりするが、牛のふんも大量に落ちている。今日は昨日と違い、かなり暑い。背中が汗ばんできた。シャワーを夜まで浴びてはいけないのに、ここで汗をかくのは良くない。ましてこれから山を登ると時間的にも厳しいかもしれない。仕方なく、引き返す。

 

戻ってくると部屋のすぐ近くの小ライブラリーの中から中国語が聞こえてくる。何か口論しているようだ。私の部屋の前に座っていたインド人が『あれは喧嘩か』と聞いてきたので『話している、いや議論しているようだ』と答えると、『ずいぶんハードな議論をするんだな』と驚いていた。中国人の通訳と聴講者が内容を巡って激しく言い合っている。特に女性の声が甲高いので、辺りにこだまし、喧嘩のように聞こえる。

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インド人2人は飽きれながら話し掛けてきた。彼らはムンバイに住んでおり、会社の費用で1週間滞在しているという。インドの会社にも福利厚生があるのだろうか。『まあ、帰ったらもっと働けということさ』と笑いながら言う。インド経済は選挙後の新政権次第だが、良くなる方向になるとみている。インドはゆっくりと動き始めている。

 

ランチは相変わらず特別食。先ず薬を飲み、そして料理にギーを混ぜる。3日目ともなるとだいぶ慣れてきて、においも気にならなくなる。勿論美味しいとは言えないが、食べられるレベル。そして基本的にはギーをダルに入れて飲むのが一番味が薄まる。食後気分が悪いということもなく、本を読んだりできている。これは進歩だ。

インド アユルベーダの旅(10)ロナワラ 健康的な生活

スチームバス

8時半、昨日とは違うマッサージ師にオフィスの横の部屋に連れて行かれる。今日は所謂オイルマッサージ。これなら中国などでも行っている。だが、脚のふくらはぎを揉まれると足がつりそうになる。この自覚も相当前からあったのだが、バンコックで週1回脚マッサージに行くはずが放置していた。マッサージ師も足の変化に気が付き、緩めにマッサージしてくれる。これでよいのだろうか。

 

『足がつる』という英語を知らない。この単語、20年前、かみさんが次男を出産する時、病院で私に聞いてきた単語。『知らない』というと、『何のために大学行ったのよ』と言われ、慌てて中国語でしびれるという意味の『麻』と言ってみると看護師が理解してくれ、辛うじて面目を保ったことを思い出す。それ以降未だにその単語を知らない。これは怠慢だろうか。

 

そしてそのままスチームバスに入る。まさに首から上だけが外に出ており、頭にタオルをかける。マジックショーを思い出す。だが笑えない。急激にどんどん熱くなる。どこまで辛抱すれば良いのか悩んでいると『熱いのか』と聞いてきたので頷くと、すぐに止めてくれた。体から大量の汗が流れ出ているのが分かる。全身ビシャビシャだ。パンツを穿いたままだったが、そのまま出てきて、ズボンを穿く。うーん。

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朝食から昼食まで

バスから出て外を歩くと何とも爽やかだった。特に今日は雨が降り、空気が澄んでいる。暑くもない。ただパンツが濡れたままで、ちょっと気持ちが悪い。時刻は9時半、朝食はまだあるだろうか。何となく食べなくてもよい気分だが。キッチンに行ってみると、まだ大勢の人が食べていた。インドでは食事の時間に拘りが少ないように思う。日本のように規則正しい時間に食事を取るのではなく、『腹が減ったら食う』という感覚だろうか。本来この方が自然だと感じる。食事は普通の人と同じ。トウモロコシとグリンピースが入っており、美味しい。

 

そのままダラダラとジンジャーティを飲みながらHさんと話し込む。だが10時を過ぎるとキッチンの掃除が始まり、退散。ライブラリーへ行き、ネットをする。ここは人も少なく、静かでよい。本来ライブラリーは学生がヨーガの勉強をするところ。静かなはずだ。

 

11時にはシャワーを浴びてよいと言われているので、部屋に戻り、浴びる。昨日の洗濯物は全然乾いていないので、今日は洗濯しないことに。ただスチームで濡れたズボンはどうするか。

 

ランチは昨日からちょっと恐怖になっていた。ギーはやはり乳製品。私は子供の頃から乳製品は牛乳もチーズも苦手であり、この手の味と匂いに大変弱い。これを毎日強制的に取らされるのは苦痛である。だがこれを取らなければマンチャカルマは始まらない。戦いである。

 

メンバーは12時になっても揃わず、係のお姐さんはイライラしていた。こちらは構わず食事を始める。ギーを料理に掛けるのを減らし、ダルに入れてみたら、意外と食べられた。やはりできるだけ味を消さなければならない。生姜も有効だ。昨日は料理を取り過ぎたが、今日は腹八分目にしたのもよかった。それほど辛くない。

 

横に4か月の赤ちゃんを連れたインド女性が座って食べていたのもよかった。彼女は皆のアイドルになりつつある。インド人の子供は本当にお人形さんのようにかわいい。でもなぜここに赤ちゃん連れで来るのだろうか。謎だ。

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またまた頭へ

午後、自分のブックレット(トリートメンの内容などが書かれている冊子)が無いことに気が付き、ちょっと慌てたが、午前中返してもらっていなことが分かる。やはりボーっとしている。1時半にまた頭にオイルを垂らされた。昨日よりちょっと熱く感じたが、そのうちウトウトしてしまう。やはり眠いのだ。何とも不思議な眠さが襲ってくる。20分ほどで終了。やはり頭はベタベタだが、昨日と違って1時間後には洗ってよいと言われる。どうして人によって違うのだろうか。女性のHさんは2時間だったり、1時間半だったりしている。まあ、これで今日も終わった。

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3時前に頭を洗おうとしたところ、ちょうど部屋の掃除がやってきた。その間は外で待っており、終わったら鍵を閉める。普通のホテルのようにいない時に来て勝手に掃除してくれるわけではない。ドアには大きな錠前がある。鍵の管理は各自の仕事。インド的だ。そのまま3時のお茶に行き、おしゃべり。そしてようやく頭を洗う。貰った粉の石鹸を水で溶いて使うが、良くは落ちない。でも仕方がない。何回もごしごし洗う。ついでに体も洗い流すとスッキリはした。部屋を出て散歩する。風が気持ちよい。

 

5時からアーサナクラス。参加者は減っていく。基本的に朝と同じストレッチ系。私にとっては弱った筋肉の補強に役立つと思い、頑張ってみるが予想以上にきつい。それでも終わってみると体は軽く感じられ、さわやかではある。その後のプラナヤーマコースはパスして部屋で簡単に自習。

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Hさんを誘い夕飯へ。夕飯も美味しく食べられる。特に体に変化はない。アシュラムだと時間が厳しく決まっている食事も、ここでは各コースに合わせて時間にかなり幅がある。中国人コースはやはり?一番早く、既に皆食べている。中国人の習性をよく分かっているコーディネーターの計らいだろうか。

 

夕食後にあるレクチャー、昨日に続きパスした。どうせ眠気が襲うだけ、それなら部屋で静かにしていて寝てしまおうという、横着な考え。結果、9時にはベッドに入り、あっという間に寝てしまう。何と健康的な生活だろうか。

 

インド アユルベーダの旅(9)ロナワラ 苦痛、疲労からの脱却

苦痛、疲労からの脱却

夕方までボーっと過ごす。今回Hさんが一緒で本当に良かった。彼女がいなかったら孤独にも苛まれていただろう。話し相手がいる、それも経験者と一緒というのは何とも心強い。それにしても頭が痒い。これも偶々今日のトリートメントの順番のせいだと分かると気が楽だ。Hさんは早々にシャワーを浴びている。

 

この研究所、以前はWIFIが宿泊する建物でも接続できたが、今は図書館でしか繋がらない。講義に集中せずにネットばかりしている学生が増加したせいだとか。インドも猛烈な勢いでネット社会に突入している。この不便さのため、PCを持って図書館へ行く回数は自ずと制限される。また図書館の停電、またはWIFIの不調もあり、いつでも接続できるとは限らない。このような環境にあれば、自然とPCから目が離れる。

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実は今回の一番の休息は目だったかもしれない。勿論パンチャカルマ受講者はPCなど無理にやってはいけないと聞いていた。それでもとても暇なのでついつい旅行記などは書いてしまうのだが、自分が書くだけなのと、ネットで物を見るのとでは疲れ方に雲泥の差があることも分かる。『自分を見つめなおす』こと、これは実に重要だ。

 

夕方後5時からはアーサナクラス。今日も昨日と変わらないメニューで腰に張りが出る。先生の英語も聞き取りにくいが、何とかこなしていると『消化力』という言葉が何度も響いてくる。ねじりのポーズが比較的多く、その中で自らの腸の様子が観察できるようになってきた。人間に重要なのは食べたものを消化すること、食べ物の量と消化力のバランスだと分かる。それが体感できるのが良い。ひねりから苦痛が消える。

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続いてプラナヤーマの講義があったが、こちらは殆どが先生の話で、実践は少なくちょっと不満。我々英語が聞き取りにくい人々にとって実際にやってみないことは、苦痛以外の何もでもない。呼吸法は重要だとは分かっていたが、この講義はスキップしたい。

 

夕飯は昨晩と変わらない。ランチがギー入りで食べにくかったので、夜のチャパティが美味しく感じられる。肉や魚のない完全ベジタリアン、ある人曰くの、病院の入院食。体には優しいと思えるようになる。

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食事を終えるとすぐにシャワーに入る。午後7時以降しかダメ、と言われ、今日一日頭のベタベタが苦痛だったが、シャワーを浴びるだけでどれほどスッキリするかが分かる。せっけんやシャンプーも自前の物は使えず、与えられた泡の立たない石鹸で済ませる。とにかく目の前が急に明るくなった感じがした。これも一つの苦行だったのだろうか。

 

夜8時から講義が行われるが、恐らくは聞き取れないだろうこと、そして何よりも睡魔に襲われて講義サボり、すぐに寝る。ギーの匂いが取れない中、ぐっすりと眠る。披露、苦痛から少しずつ脱却していく自分がいた。

 

1月21日(火)

朝の雨

気持ちよく5時半に起床。6時にティを飲みに下りていく。日本人2人がいつものようにやってくる。隣のテーブルには中国人グループが座る。子供も連れている人もいた。旧正月が近いからだろうか。何となく、中国の話題になる。

 

気が付くと外は雨が降っていた。ロナウラは降水量が多い場所とは聞いていたが、この時期に雨が降るのは珍しいらしい。何となく昨晩も涼しかったが、これで一層涼しくなった。自分の体を観察する機会が増えているが、何となく昨日と変化がある。Hさんによれば、『気圧の変化かもしれない』という。日頃気圧の変化を意識して生活することなどないので新鮮。

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アーサナクラスに行くと誰も来ていない。時間を少し過ぎてボチボチ生徒が集まり、それからゆっくりと先生が登場した。中国人なら『雨が降ったので』などと言い訳しながら入って来そうだが、インド人に言い訳など不要のようだ。黙々とスタートした。

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昨日は足の先が非常に冷たかったので、靴下を履かなければと思っていたが、なぜか今朝は暖かい。昨日のオイルの効果が出たのだろうか。だが、途中足を上げる動作をしたところ、また急に冷たくなった。これはどんな変化なのだろうか。足を上げる動作が出来ない。60度ぐらいまでしか行かない。これも50歳を過ぎて筋力の急速な衰えではないかと思われる。普段ヨーガを日常的にやっているHさんでも自覚があるというから、何か運動しないといけない。

 

また膝を胸の所に持ってきて体を丸める動作も出来なくなっていた。頭を維持することが出来ない。これもちょっとショックだ。意識して腹筋を使うようにしないといけない。こんなことを意識させてくれるのがヨーガの良いところかもしれない。それにしても日頃の旅では一体どこの筋肉を使っているんだろう。

 

インド アユルベーダの旅(8)ロナワラ 初めは苦行

1月20日(月)

朝のティ

いよいよ今日からパンチャカルマが始まる。如何にもインドらしいのは朝6時からティタイムがあること。5時半に起きて6時を待ちかねてキッチンへ行く。ちょうど日本からヨーガの6週間コースに来ている2人の日本女性と一緒になり、お茶を飲む。ここには所謂チャイはなく、ハーブティかジンジャーティである。それにジャグリという蜂蜜のようなものを垂らすと美味しい。

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2人は6週間コースなのに、なぜか学院の外に宿泊している。インドにはあまりマネージメントの概念がなく、中国人中心の2週間コースをセットしてしまい、入りきれなくなったようだ。とにかく朝5時50分のバスでホテルからやってきて、夜8時半頃まで帰れないらしい。それは肉体的にも、精神的にかなりの負担、2人は修行だと諦めている。これもまたインドだ。

 

7時からベーシックヨーガコースが始まる。アーサナだ。4年前に一度参加したことがあったが、だいぶん様子が変わっており、きれいなアーサナホールでストレッチ中心に行われた。以前は各人勝手に練習しているような感じだったが、今回はちゃんと先生に合わせて皆が取り組む。久しぶりに筋肉を使い、ちょっと疲れたが、朝からこれをやるとスッキリする。日本でヨーガをやる理由の1つはこのスッキリ感だろう。

 

オイルマッサージ

アーサナが終了するとそのままマンチャカルマが行われるオフィスへ。インド時間でゆっくりかと思いきや、8時半きっかりにマッサージ師がやってきて、小屋のような所に入る。中にはちょっと高いベッドがあり、その上に横たわる。何だか始まるなという緊張感あり。

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全身にハーブをオイルに浸したものを、塗り付けていく。かなりドロドロしている。体の部分1つ1つを叩き、そして塗り込む。ただマッサージという感覚はなく、塗っているだけ。筋肉を押したりはしない。そのまま30分、9時過ぎにはあっけなく終了した。

 

既に朝食の時間は過ぎていたが、我々の為に食事は残されていたので、美味しく頂く。朝5時半から起きて、アーサナをやり、オイルマッサージを受け、ようやく朝ごはん。一日がとてもとても長い。それからはすることもなく、廊下の椅子に座ってボーっと庭を眺める。自分は何をやっているのだろうという思いが頭をよぎるが、このボーっとする時間が必要なのだろうと考えられるようになる。

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ランチにギー登場

ランチの時間がやってきた。中国人グループは11時半には食べ始めていた。やはり中国人に食事をさせないのはダメ、とインド人も分かっているようだ。我々パンチャカルマ組は別メニュー。初日はカウンセラーが食べ方を説明した。各自の名前が付いたプレートが置かれており、薬やギーを食事に混ぜて食べるように指示が出る。私はこのギーが大の苦手。正直ギーを混ぜただけで食事が苦行となった。

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そして1時半より午後のトリートメント。アユルベーダでよく見られる、頭にオイルを垂らし込まれた。ベッドに横になっていると突然頭に降ってきた。結構ビックリしたがすぐに終わったので喜んでいたところ、頭はベタベタ。そして何と午前中のトリートメントの効果の関係で午後7時までは頭を洗ってはいけない、と言われ愕然。頭中にギーの匂いが染みついてきた。担当者は『ギーの匂いは簡単には取れない。1週間同じパンツとTシャツでいろ』とこともなげに言う。後で分かったことだが、本当に何回洗っても落ちなかった。

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何もすることがなく、頭も洗えない。どうしてよいか分からず、無暗に園内を歩き回る。ここは木々に囲まれ、散歩には適しているのだが、気になっていることがあると見える景色も変わる。眠気もあり、意識もうろう状態。何とか3時のティタイムまでこぎつけ、ジンジャーティで眠気を飛ばした。だがパンチャカルマ受診者は、フルーツを食べてはいけないことを知りまた愕然。美味しそうなパパイヤを食べている人を見て、恨めしくなる。

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インド アユルベーダの旅(7)ロナワラ アユルベーダは問診から

5. カイバリヤダーマ

レジストレーション

駅からカイバリアダーマまで歩いても15分だが、荷物があるのでリキシャに乗る。70pは高いが、観光地価格か。あっという間に懐かしい場所に着いた。何となくきれいになっているが、基本は変わらない。

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Hさんはすでに到着しており、合流する。先ずはレジストレーションして、それから支払いを済ませ、部屋が割り当てられた。2階のその部屋は思ったより広く、ベッドも2つある。奥にはシャワーとトイレが付いている。窓もあり、陽が少し差し込む。申し分ない。

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キッチンでランチを取る。4年前は不味いと思ったここの飯だが、今回は美味しかった。4年で私が進化したのか、それとも4年前が何かの間違いだったのか。キッチン自体もかなりきれいになっており、4年前の暗いイメージはない。何がそんなに違うのだろうか。

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再会

ここカイバリアダーマにはヨーガの研究所があり、学院がある。今回我々はそこのヘルスケアセンターにお世話になる。ヨーガを勉強するコースは1年と6週間があり、それ以外に随時2週間なども開催されている。

 

ヨーガを科学的に研究しているカイバリアダーマはある意味でヨーガの聖地だ。インドで皆がヨーガをやっていると思うのは間違いで、元々はサドゥ(外道)の鍛錬方法。バラモン中心のインドでは長く公式には認められてこなかった。それをこの研究所が科学的に証明し、現在ではインド政府もヨーガの重要性に気が付き、支援を始めている。その間にアメリカなどに渡ったインド人がダイエットや健康を目的とした体操としてのヨーガを普及させ、誤解が生じているという。

 

ここには日本人が何人かいる。既に2年目に入り、コーディネーター役も担わされているKさん、6週間コースにはNさんとSさんがいる。Kさんには今回の予約の件でお世話になった。とても聡明な女性で、物事を深く考えている。6週間コースのNさんは仏教に興味を持っている。Sさんは昨年末バンコックのパルモ師講演会で会っていた。とても元気な女性だ。更には1年前にデリー、リシュケシュツアーで一緒だったタイ人のVandaも1年コースに通っていた。彼女の日本語はかなり上達しているので驚いた。好奇心の強い積極的な女性だ。

 

問診

午後1時に問診があった。アユルベーダドクターがあらかじめ記入しておいた質問票を見ながら、顔を見、脈を診て、今後の治療法を決めていく。私が最近少し太って来たことを伝えると、『重いと感じるのだろう』との答え。それが何を意味するのか分からない。

 

そしてドクターは『とても疲れている』とこちらを強調した。確かに3年近くも旅を続けていれば疲れて来るだろう。いや、日本人なら全般的に疲労感はあるだろう。他に特に問題がないなら、かなり健康ではないかと自分なりに思ってしまう。問診はあっという間に終わり、ドクターはさらさらと何かを書いたが、判読できず。ただ明日から朝8時半、午後1時半に治療があること、11時50分にランチがあることが分かった。かなり規則的な生活になりそうだ。

 

午後遅く今日から参加した人々(ここは1週間単位での参加しか認めていない)を対象に講義があった。講義というより、施設案内と各自の紹介だった。相変わらずインド人の先生の言っていることは良く分からない。英語の問題だろうか。それにしても色々な国からここへきている人がいる。ブラジルやフランス、アメリカ、インド人も海外から参加している人がいる。

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夕方ヨーガクラスがあり、参加してみる。久しくやっていないので結構きつい。Hさんによれば、この先生はかなりストレッチ系であり、やるべきかどうか判断を迫られる。私は少しストレッチした方がよさそうだったので、その後も参加を決める。自分の部屋でやると必ずサボってしまいそうだから。

 

夕飯は5年前と同じように見えたが、何とパンチャカルマ受診者は、別メニューになっていた。と言っても初日の夕飯は特に変わりはなかったが。以前はまずいと思っていた食事、3年の放浪を経たせいか、特にまずいとは感じなくなっていた。これも大いなる進歩だろう。明日に備えて早めに寝る。

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インド アユルベーダの旅(6)プネー 若者のバイクで街散策

4.プネー2

1月18日(土)

ダルシャン博物館

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翌日ラトールさんは仕事があり、彼の日本語の生徒の一人がプネーを案内してくれることになる。聞けばまだ20歳の若者。彼のバイクの後ろに乗り、街を走る。最初に行ったのは、ダルシャン博物館。ここはサドゥ・バスワニの活動などを紹介する場所。荷物は全て預け、順路に従って歩く。来場者に展示物をきちんと見てもらえるよう配慮されている。

 

http://www.darshanmuseum.org/flash/index.html

 

内容はインドの伝統的な慣習や貧困との戦いなのだが、何となく居心地が良い。最初はちょっと見て失礼するつもりだったが、気が付けば1時間半もいた。これは何だったのだろうか?何とも不思議な空間だった。帰りがけに、マネージャーの女性が『如何でしたか?』と笑顔で話し掛けてきた。こんな博物館は初めてだった。

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次にお願いしてHSBCの支店に連れて行って貰った。先日ATMでお金が下ろせなかったので、支店に行ってみた。そこのATMを使うとちゃんとルピーが引き出せた。やはりカードに制限が掛かっていたのだろうか?まあ、これで両替をしなくてもよい。安心した。

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お昼は中華レストランにいった。これも私のリクエスト。プネーで老舗の中国料理屋、チャオニーズルームへ。入口が何とも古めかしい。中に入ると思いの外お客がおり、一番入口に近い席しか空いていない。そこに勝手に座ろうとしたが、案内のマネージャーの許可が必要だった。この辺がインドらしい。

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炒飯と焼きそばを頼み、待っていると、なぜかキムチと大根きゅうりの漬物が出てきた。これは中国料理?さらに炒飯には野菜炒めを掛けて食べるのだが、その野菜炒めがどろどろ、あんかけ風なのだ。これは1年前にデリーで体験済み。インドの中華は完全にインド化している。

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最後にネットカフェにつれて行って貰った。カフェと言ってもPCが並んでいるだけだが。先ずは身分証の提示を求められ、若者が自分のを見せる。そして私のPCを繋ごうとしたが、残念ながらそれは出来なかった。インドでは未だに規制が多い。コーヒーを飲むカフェの中にWIFI無料の所があると聞いていたが、若者は知らなかった。

 

代わりに自分のモデムを貸してくれた。繋ぐと確かにネットが出来た。ラトール家で1時間ぐらいメールなどを送信していると、若者は帰ってしまった。その日はこのモデムのお蔭で、大変助かった。ラトール家にもWIFIがあったのだが、そのパスワードが分からなくなっていた。あとでラトールさんが調べてきてくれた。

 

1月19日(日)

ローカル列車でロナウラへ

本日はいよいよ今回のメインイベント、アユルベーダを受けにロナウラへ向かう。A師夫妻が同行してくれるというので心強く出発。一昨日は車で行ったロナウラだが、今日はローカル列車で行く。面白い。

 

ラトールさんの家から彼のバイクの後ろに乗る。これは4年前を思い出させる。前回は彼のバイクでプネー市内の主な観光地を回った。とても印象的だった。それから4年、プネーの交通も激しくなり、危険は高まったように思うが、軽快に飛ばしていく。

 

実は初めてバイクの後ろに乗ったのは20歳の時。同級生の田中のバイクに乗った。茗荷谷にあった彼の学生寮から、神保町の本屋街まで颯爽と飛ばした。正直とても怖かった。私はスピード恐怖症なのだ。だから自分ではその時の経験から一度もバイクを運転していない。車さえも一度も運転していない。その田中君は、5年前にがんで亡くなっていたことが最近分かった。インドの街で突然彼を思い出してしまった。

 

20分ぐらいで駅に着いた。ここはプネー駅の隣の駅。駅舎でA夫妻が切符を買って待っていてくれた。列車の時間まで40分もあり、ホームの端で休息。一人の男が近づいてきて、手を出していたが、無視していたところ、行ってしまった。やれやれと思っているとまた戻ってきて近くに座る。ラトールさんが小銭を上げて退散させたが、インドの乞食は執念深い。

 

列車が来る頃になるとどこからともなく、乗客が現れ、ホームが一杯になった。そして列車が着くとドアに殺到。降りる人とせめぎ合う。我々は後から空いているところに飛び乗ると、そこにはミルク缶が積まれており、においがした。道理で人があまり乗らない。

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次の駅で隣の客車へ移動。混んでいるが、すぐに席が空き、3人掛けの所に割り込んで座る。インドでは座ったもの勝ち、という感じがあるようで、誰も文句も言わない。日本なら大変だ。駅に停まるごとに乗客が下りて行き、空いてきた。同時に窓の外も田舎の風景が見えてきて、それらしくなった。そして1時間半後、ロナウラに到着。ここがこの列車の終点だった。

 

インド アユルベーダの旅(5)ロナワラ ヨーガコンファレンスに出席

1月17日(金)
3.ロナワラ1

ヨーガコンファレンス

翌日は朝からロナワラのヨーガコンファレンスに出席するため、車で出掛ける。2泊させてもらったゴレ家を後にするのは残念だが、仕方がない。ゴレ家の車に荷物を積み込み、出発。ロナワラへは5年前に行ったことがあるが、私はヨーガを実践している訳ではない。そんな者がヨーガの会議に参加してよいものだろうか。A師夫妻、ゴレ夫人、そしてHさんも参加するので、何となく見に行くことにした。

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場所はロナワラ郊外の立派なリゾートホテル。このコンファレンス、私の予想を遥かに超える大規模なもので、数百人が参加していた。先ずはインド音楽が演奏され、主催者のガローテ氏があいさつした。ガローテ氏の父上はヨーガに関する偉大な研究をした方で、現在は息子がその遺志を継いでいる。

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ヨーガはインドではポピュラーとの誤解が日本にはあるが、僅か80年前までは科学的に研究されることもなく、インドの上流階級で行われることもなかった。ヨーギと呼ばれる修行者が実践する特殊な技法であり、アウトサイダーとして生きてきた。現在米国や日本で行われているヨガの多くは、本来のヨーガとは異なる、または一部だけを切り取った内容であり、かなりかけ離れた存在のようだ。

 

このコンファレンス、登壇者もユニーク。ロシア出身のヨーギが話したり、A師の昔の同窓生が出てきたり。正直言って、専門的な内容、聞いたこともないことも多く、英語であることも含め、話はチンプンカンプン?とにかくこの会場、冷房が効き過ぎて寒かったのはよく覚えている。

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途中にランチがあり、ビュッフェ。大勢の人が一度に屋外で食べる。爽快な感じ。参加者はヨーガを学ぶ学生が多いようで、モリモリ食べていた。また各地から集まったヨーガ関係者はお互いに声を掛けあい情報交換に余念がない。日本に関する興味も高いようで、A師なども声を掛けられていた。因みにこのホテル、夜は結婚式があるようで、豪華なセットが作られていた。インドの結婚式もどんどん派手になっているらしい。

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夜車に乗り、プネーに戻る。今晩からラトールさんの家にお世話になることになっている。ラトールさんの家も5年ぶり。その夜は遅くに帰り、ランチの食べ過ぎで、そのまま寝てしまった。実は夕飯は用意されており、翌朝頂いた。インドの普通の生活パターン、良く分からない所がある。

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インド アユルベーダの旅(4)プネー 村の暮らしとガンジー

ミルク農家と年1回の仲直り

さすがにホテルから家までは疲れたのでリキシャで戻る。2匹の犬が我々の帰りをそれはそれは喜んで迎える。こんなに歓迎されるのはかつてない。この犬は人間以上に感情表現があるようだ。夫人は昼寝、ということで私も昼寝した。

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夕方になると夫人が『村を歩こう』と連れ出してくれた。行った所はミルク屋さん。毎日ここからミルクを調達し、チャイを作っているというので行ってみると、何と牛が何頭も飼われていた。やはりここは農村なのだ。今日のミルクで作られたチャイを頂く。夕暮れが妙に似合っていた。

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地主さんの家にも行ってみた。街造り農地を売り、セメント屋を始めたというが、生活に非常にゆとりがあり、裏ではまだ野菜なども植えている。『一番興味があるのはヨーガ』という言葉が印象的。中国の様な金儲け、経済発展とはちょっと違う。これがインド流?

 

帰りがけに声を掛けられて、何やらある家へ。そこには近所の女性数人が集まり、おしゃべりしていたが、この家の女性が全員に何かを配り出した。夫人によれば、『これは年1回の儀式』だそうで、村の中で何かもめても、年1回、手打ちの会を開き、水に流すらしい。この辺も日本の昔の農村にあった習慣ではないだろうか。

 

コラム ⇒ http://www.chatabi.net/colum/379.html

 

カンジーフィロソフィー

その夜、夫人との話の中に『カンジーフィロソフィー』という言葉が出てきた。ガンジーは勿論インド独立の父。彼の考え方を信奉する人々がいるということ。夫人とご主人である教授もこの考え方を取っている。この半農村での生活、文明的な生活を抑制するのもこのためだと思われる。

 

ただガンジーの考えと言っても色々とある。例えば非暴力であり、菜食主義(殺されるのを嫌がっているものは食べない)、禁欲主義などである。この考え方を原則として実践していく、これはかなり大変なことだと思うのだが、道理としては通っている。

 

60数年前に暗殺されたガンジーだが、その思想は今でも広く支持されている。ただ人間の欲望をうまくコントロールして、平和な社会を作ることが如何に難しいかは、現在の国際社会がそのまま証明している。

 

ゴレ家に滞在して、我々は色々なことを考えないといけない、と感じる。今や人間は『自然に生きる』とか『自然と共に生きる』ことが如何に難しいか、言葉で言ってみても始まらない。日本社会がかなり軽く見えた一瞬だったかと思う。