そうするとまずはトランジットで、入国せずに出国ロビーに移動しなければならい。カウンターまで歩いて行き、搭乗券をもらおうとしたが、明日の5時以降と言われる。それでもWebチェックインは完了しており、QRコードはもらっているので、トランスファーの場所へ行くと、ちゃんと通してくれた。
あっけなく、事態は完了した。これから約15時間、どうやって過ごすか。取り敢えずラウンジが使えたので、そこに荷物を置き、空港内散策を開始した。まずは空港内ホテルを探してみる。もし泊まれれば、それに越したことはない。インフォメーションで聞けば、たった一軒しかないという。しかもそれは一番端にあり、歩いて15分ぐらいかかってしまった。
そこに入って聞いてみると、8時間泊まるのに5000バーツ、4時間でも3000バーツというので、驚いた。市内の結構いいホテル並みの料金だ。確かにビーはきれいそうだが、簡単に泊まれる場所ではない。お客も全く見掛けなかった。仕方なくとぼとぼ戻ると、税金還付窓口が目に入った。これまで一度も使ったことはなかったが、今回初めてユニクロの買い物で手続きをしたのを急に出す。
どうせ暇なので、還付可能か聞いてみることにして列に並ぶ。以前は圧倒的に中国人観光客に占拠されていたこの窓口、今は韓国人はじめ様々な人々が並んでいた。10分で窓口に到達し、書類などを提出すると、係員が何やら慌てている。そしてもう一人の係員が『あなたはどこから来たの?』と聞いてくる。完全に異邦人扱いだ。彼女らのシステム上、私は存在しないというのだ。
確かにそうだ、入国していないのだから。ところが係員とその上司は真剣に協議を始めてしまった。もういいです、と言える雰囲気はない。そして結論として警備員が呼ばれる。これはまずいと思ったが、係員は『警備員に出入国ゲートまで連れて行ってもらい、出入国のスタンプがもらえれば、還付できそう』というのだ。もう流れに任せるしかない。
警備員が来て引き渡され、どこかへ向かう。ところが事情を聴いていた警備員が連れて行ったのは、インフォメーションだった。そしてここで事情を話していると、どこかへ電話を掛けて、受話器を渡される。向こうから日本語が聞こえてくる。そして回答として『あなたは一度マレーシアへ出国してしまったので、還付は出来ない』というごく当たり前のものだった。なぜ還付のカウンターではあんなに議論があったのか。もしやすれば何か方法はあったが、警備員が面倒だからここに連れてきたのか。謎だらけだったが、僅か500円の還付で騒ぎを起こしたことを素直に反省する。
ラウンジに戻り夕飯を食べるとやることがない。そういえばシャワーがあるとか言っていたので行ってみると、掃除のおばさんが『シャワー空いているよ。つかうならバスタオルね』と気さくに準備してくれたので有難く浴びる。気持ちが良い。その後フルートなどを食べながら過ごす。
午後11時過ぎて次々にフライトが飛び立ち、急に寂しくなる。そして何とこのラウンジが午前1₋5時の間は閉まるという驚愕の事実を知る。半泣きで係員を見たら、『大丈夫、向こうの別のエアラインのラウンジは24時間だよ』と優しく教えてくれる。何とも有難い。12時過ぎて、真夜中のひと気のない空港をそちらへ移動する。
こちらにも殆ど人はいなかった。朝食用意は午前3時からと書かれていた。その頃から眠気がマシ、ドラマを見ている間に寝落ちする。ふと気が付いたら午前5時だった。一応搭乗券権をゲットして、朝食をゆっくり食べると搭乗口へ向かった。旧正月直前ということか、かなり込み合っていたが、ここでも映画を見ている内に寝落ちして、機内食は食べなかった。急激に疲れを感じながら、成田空港に午後到着した。本当はラーメン、チャーハンセットが食べたかったが、既に体調は不調になっており、タンメン餃子セットを途中で食べて帰る。