深圳駅の前を通りかかると、実に懐かしい店の名前を見付けた。20年ほど前は深圳に来ると通っていた高級店。だが当時はそれを高いとは思わず、旨いとだけ思っていた。コロナ中に入居していたホテルが無くなり、もう食べられないと思っていたら、なんとこんなところに移転していたので、思わず入ってしまった。

店内はかなりきれいで昔の雰囲気を残している。マネージャーらしき人は20年前と同じではないだろうか。ここは香港人の年配者が常連という顔をして食事をしており、広東語が普通に使われていた。一人で食べられる量は決まっているのだが、ちょうど目に留まったセットメニューを頼んでしまった。鶏肉と魚香茄子、どちらも極めてうまい。ああ、懐かしい。料金は20年前の2倍ぐらい(円換算では4倍?)だろうか。それでも満足して引き揚げた。


3月22日(土)東京へ帰る
ついに東京へ戻る日が来た。もうやりたいことはない。早めに宿をチェックアウトしたが、チェックインはあんなにうるさかったのに、アウトはノーチェックだった。ふと気づくと微信には即座にあのデポジットが戻ってきていた。さすが中国、この辺のスピードは極めて速い。だがデポ要請には未だに納得はしていない。

地下鉄駅へ降りていき、乗り込む。始発なので座れたが、意外と乗客は多い。途中の車公廟駅で乗り換えがあり、乗客はさらに増えており立っていく。空港へ向かう人々は一様に大きなスーツケースを抱えている。満員電車に揺られながら思い出したのは、この路線、追加料金を払えば座っていけるサービスがあったはずだと。でももう後の祭り。

何とか合計1時間ほどで深圳宝安空港に到着した。かなり広いが古びた空港、10年前と大きくは変わっていない。ただ国際線の便数は非常に少なく、ほぼ国内線で占められているように見える。国際線のチェックインカウンターでパスポートを出したら係員が英語の出来る人を呼んできたので、ちょっと驚いた。乗客もほぼ中国人なのであろうか。

出国審査場も当然人は多くなく、予想よりかなり早く出国してしまった。今日は何も食べていなかったので、ラウンジに行ったが午前10時台は食事もない。と思っていたらスタッフが「麵はあるよ」と教えてくれ、最後に牛腩麺を食べられたのは良かった。成田行きの前に大阪行きがあるようで、IT関連の出張者や工場長といった感じの日本人男性の姿は数名あったが、そもそも外国人は本当に少ない。

午後1時出発の便なのでのんびりと12時過ぎに搭乗口に向かったら、何と既に搭乗が始まっていた。バスに乗り込むと何と10分以上かけて飛行機の駐機場まで行く。地元の深圳航空なのに、国際線が如何にマイナー路線であるかを思い知る。この空港もアジアのハブを目指したのかもしれないが、やはり香港には敵わないということかもしれない。

深圳航空は中国国際航空の傘下ということで、基本的にサービスは同じような感じだった。食事の味も普通で、映画などは見られないが、特に可もなく不可もなく、かな。でもやはり英語が出来るCAは少ない?4時間ほどのフライトで成田空港まで帰って来た。マカオより1時間近く短いのは何とも有難い。

成田から電車に乗り、京成八幡で降りた。時刻は午後8時過ぎ、マカオへ行った日と同じように、ここの日高屋に入り、タンメンと半チャーハンを食べた。広東省であんなに中国料理を食べたのに、との声も心の中で響いていたが、「日本の中華料理は立派な日本料理」だと実感しながら完食し、旅は終了となった。
