マレーシア茶旅2024(1)奇跡のランカウイ脱出劇

《マレーシア茶旅2024》  2024年1月27日₋2月5日

1月27日(土)ランカウイからクアラパリス、そしてペナンへ

タマラン港を出たフェリーは、ずっと陸地を見ながら進んでいく。途中少し波が荒い場所はあったが、順調に航行して、約1時間半でランカウイ島に到着した。ここで入国審査を受けるのだが、乗客が多く、列が長い。私は係のおじさんに『日本人は早く通れないか』と聞いてみたが、首を横に振る。だが彼は親切にも私の問いに答え『ペナンへ行く直行フェリーはない。ネット検索したら、今日のクアラパリス行きフェリーのチケットはすべて売り切れているぞ』と教えてくれた。

この情報は衝撃的だった。何とか入国するとすぐにフェリーチケット売場へ走ったが、既に窓口に『Sold Out』の文字が貼り出されていた。もう一つの半島の街、クアラケダー行きも同様だった。ということは、ペナンはおろか、半島側にも渡れず、ここで一夜を過ごすしかないのだ。思い余って飛行機のフライトを見てみると夕方5時にペナン行きが1便ある。当然チケットは高いが、それに乗るしかないと覚悟を決めた。

なぜそれほどまでにランカウイを嫌うのか。勿論明日ペナンで知り合いと約束があるからだが、もう一つの理由は、20年以上前にこの島に家族旅行に来た時の印象があまりよくなかったこともある。高級リゾートばかりで、つまらなかった、という思いが20年経っても消えていない。人の記憶とは一度刷り込まれると容易に消えない。

すると、背後から声が掛かった。『クアラパリスへ行く別のルートがあるよ』とその男は言う。どう見ても胡散臭いし、人の足元を見ているようでもある。だが彼は『実はここと別の港からカーフェリーが出る。そちらはネット販売もしていないから、チケットは買える』と言い切るのだ。フェリーの出発は午後3時らしい。

今は1時半だと思っていたら、何とマレーシアとタイには時差が1時間あり、既に2時半。ここから別の港まで車で約20分だという。瞬時の決断が必要だった。私はこの男に賭けることにした。タクシー運転手だと名乗っていたが、どうやら元締めのようで、私をタクシー乗り場へ連れていき、一番前に並んでいた若者に私を託した。

ランカウイの道はきれいで、実にスムーズだった。建物も洗練されていて、ここに一泊するのも良かったのではと思うぐらいだった。だが私はリスクを抱えて車に乗っている。20分後タクシーは港に着いた。運転手は私をチケットオフィスに連れていき、無事にチケットが買えた。タクシー代が30リンギで、フェリー代は25リンギだったが、これは仕方がない。

あと10分で出航だったが、何と私の前に税関が立ちはだかった。一人でスーツケースを抱えて慌てている男は怪しく見えたようで、ケースの中を全部開けられ、チェック(主に酒類らしい)された。それでも何とか船に乗り込み、事なきを得た。いや、あの状況から考えて、奇跡が起こったというべきだろう。

船は大型船。席は8割がた埋まっており、マレーシア人の家族連れやカップルが乗っている。一時は拉致されて貨物船にでも乗せられるかと心配した??のだが、全くの杞憂に終わる。彼らは恐らく半島側から遊びに来て、帰るところではないか。車社会のマレーシアで、船を降りても車が必要なはずだ。だが、カーフェリーの速度は遅い。先ほどの港から出るフェリーなら1時間ほどで到着するはずだが、こちらは2時間半もかかってしまった。その間ボッーとしていたが、水分補給が必要となり、売店でドリンクを買おうとしたが、何とミロしか売っていない。ミロ、懐かしい。

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