ある日の埔里日記2017(14)原住民が作る高山茶

129日(日)
原住民のお茶

 

翌朝はまたゆっくり起き上がる。Tさんは昼過ぎに台北に向かうことになっているが、午前中は宿にいるというので、特に用事はなかった。12時前に電話があり、Tさんが宿の車でこちらに向かっていると知る。慌てて向かいに出ると、ちょうど下に葉さんが居たので、まずはここでお茶を飲んでみる。

 

それからバスターミナルまで歩いて行く。ランチを食べようというので、ターミナルの向かいのこぎれいな食堂に入ってみる。ここも私は普段近寄らない場所だ。店はかなり混んでいたが、何とか席を確保し、排骨飯を注文した。量が少なく、ちょっと高めだが、盛り付けが上品。若者にはこんな店がよいらしい。

 

そしてバスターミナルに入って驚いた。ある程度は予想していたものも、正月で出かける乗客でごった返している。だがすでにTさんのチケットは事前に買っておいたので、乗車に問題はないはずだった。ところが、念のため尋ねてびっくり。午後1時だというのに、今来たバスは午前8時日月潭発だというのだ。いくら混んでいるといっても訳が分からない。午後1時のバスは一体いつ来るんだと聞いても誰も答えてはくれない。

 

こういう危機的な状況では、Tさんの的確な判断が威力を発揮する。台北行きのバスは、道路が混んでいていつ来るかもわからず、来ても何時着くか分らない。そこで高鐵台中駅まで行くバスに切り替え、そこから高鐵に乗ればよいと判断し、まごまごする私を尻目に、さっさと切符を買っている。高鐵行きも結構並んでいたのだが、直後に来たバスに運良く乗れた。殆ど別れの挨拶も出来ないうちに、Tさんは去っていった。

 

その後もTさんはメッセージで状況を伝えてくれたのだが、高鐵駅まではそれほど遅れなく到着。そして高鐵自体も自由席は空いていて座って台北まで行けたようだ。何のことはない、一番早い方法で台北に到着したということだ。まあ選択肢があったことがよかったということだろう。

 

安心して夕方まで休んでいた。実はMさんから『埔里に原住民で高山茶を作っている人がいる』と聞いており、FBで探し出して、一応メッセージを送っていたのだが、特に返事がもらえずにいた。ところがどうしたことか、突然『暇ならお茶を飲みに来れば』との連絡が入ったので、早々に訪ねてみることにした。彼らの店はわが宿からわずか数百メートルのところにあると思っていたが、そことは別に拠点があるとのことで、言われた住所にスマホを頼りに探していく。

 

住宅街の中にその店はひっそりとあった。入っていくと数人がお茶を飲んでいた。リーダーの高さん、そして息子がお茶を淹れてくれた。彼らの茶畑は梨山の山頂近く、翠ルアンという場所にあると言い、春、秋、冬と年三回茶作りをし、そのお茶は高級品で、高値で取引されるらしい。原住民だけでチームを組んでそれなりの規模でお茶作りをしている例は、台湾にはあまりないとも聞く。非常に珍しい例だ。

 

彼らのお茶は非常に清らかな感じがする。焙煎をあまりかけていないものを飲んだせいもあるかもしれない。息子が丁寧に淹れてくれたからかもしれない。少し茶葉を分けてもらおうと思ったが、殆ど品切れだという。それほど量が少なく、買い手が欲しがるということだろうか。

 

茶工場の衛生安全面でも、5つ星に認定されたとのことで、高さんは『これなら日本人にも受け入れられるだろう』と胸入り、『ぜひ我々原住民の茶を宣伝して欲しい』と言われる。出来れば今後彼らの茶作りを山に見学に行きたいと思う。今日は初回だったので、顔合わせで終わった。

 

夕飯はどうしようかと歩いてみたが、空いている店は少ない。1軒、牛肉フイ飯と書かれたところが開いていたので、頼んでみる。まあ、基本的にあんかけご飯ということだろう。中国大陸のフイ飯とはちょっと違うかなと思われる。取り敢えずご飯にあり付けただけ良しとしなければなるまい。正月はまだ続く。

 

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