シベリア鉄道で茶旅する(31)雪に埋もれたムルマンス空港

3月21日(月)
ムルマンスク散策

翌朝も宿でパンとサラミを食べる。大きな窓から外を見ると曇りがち。S氏は原稿を書くと言い、午前は別行動となる。私は折角なので港を見てみたいと外へ出た。まずは駅前へ行き、空港行バスを探す。106と書かれた普通のバスとミニバスの2つが駐車していた。どちらが行くのか、両方とも行くのか、さっぱりわからない。運転手に聞こうとしても、反応がない。

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駅前には携帯ショップがあったので、チャージができるか聞いてみた。何とそこの店員は英語ができ、スムーズに処理がされた。だが出来上がったものを見ると、ネット接続がされていない。もう一度聞いてみると、彼がやったのは電話接続だけ。これで300㍔は高いし、私は電話を使わないので、ネット接続して欲しいというと彼は困ってしまった。実は私がキャプタで買ったシムとは別の会社に入ってしまっていたので、新規購入をしていたことが分かる。

 

仕方がないので、今入れたものをキャンセルして、他の店へ行こうとしたが、彼は『今はマネージャーがいないので返金できない』と申し訳なさそうに言う。私にはマネージャーを待つ時間はない。『では取り敢えず君のお金で私に返金して欲しい。マネージャーが来たら、手続きして、君がお金を受け取ればよいではないか』と提案したところ、益々困ったという顔で電話を始める。最後には『マネージャーの了解を得た』と言って返金してくれた。

 

その上で、別の店まで同行してくれ、事情をそちらに話してくれた。これは助かった。この店員は本当に悪いと思っていたらしい。新しい店の女性店員も英語が普通に話せた。『シベリアでは全く英語が通じなくて困ったが、ここの人は英語ができるね』というと、『当たり前でしょう。ムルマンスクだから』とこともなげに言う。さすが港町。そしてシムにチャージするより、新しいシムを買った方がいいよ、と教えてくれ、すぐに手続きしてくれた。チャージするとすぐに無くなるが、新しいものなら2-3日はもつらしい。そして料金は同じ300㍔なのだ。言葉が通じれば、こんなことが簡単にできる。素晴らしい。更に空港行バスについても教えてくれた。何とも有り難い。

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それから港の方へ歩いていく。道の雪は深い。更には小雪が舞い始める。そんな中、線路を渡る。一応踏切?があり、警報が鳴っているのだが、一向に列車は来ないし、通行人は気にせずにわたっている。その向こうに港があるようだったが、一般人は進入禁止となっており、ここで断念した。線路の引き込み線は中まで繋がっている。港や海は全く見えなかった。

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周囲は徐々に明るくなってきており、日が差し始める景色はなんとも美しい。大通りなども少しは歩いたが、特にこれと言った物はなく、例の大型ホテルの前の広場では人が人力で雪をどけているのが印象的だった。ここまで来たら、北極圏の記念碑なども見に行くべきなのだろうが、記念碑などというのは後から出来た人工物にすぎず、この旅の対象としては相応しくないと感じる。

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雪の空港へ

昼頃、少し早めだが宿を出て、駅に向かう。私も予定より早く動くことが多いのだが、S氏の行動はそれよりも更に早い。経験的に言って『早く出て待つことはあるが、遅く出たら間に合わないこともある。どっちが面倒がないかと言えば、待つことだ』という。それは道理だろう。日本のようにシステマチックに見える社会でも電車の遅れなどはかなりある。ましてやアジアなどでは、何が起こるか分らないのだ。その備えがないと旅は難しくなる。

 

駅前で聞くと、その辺で待てという。確かにその辺には数人の人が並ぶでもなく、待っていた。また小雪が舞う。ミニバスがやってきた。皆が我先に乗り込む。我々は荷物が多いので遅れる。何とか一番後ろに荷物を持ちこみ座る。見るとS氏はしっかりと運転手の後ろの席を確保している。これなら降り損なうこともないだろう。この辺が旅慣れており、ポイントを知っている動きと言えよう。

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ミニバスはすぐに郊外に出た。このバスは普通の路線バスであり、乗り降りは意外と激しい。スーパーなどがある場所は住宅街なのか、降りていく人が多い。そして段々家が無くなり、寂しい道を走っていく。雪も降りが強くなり、何となく不安な気持ちになる。30分以上走ってもまだ着く気配がないがない。席も空いてきた。すると、雪の中に大きな建物が見えてくる。空港ターミナルだとわかるのにちょっと時間が掛かった。何と一部が雪に埋もれていたからだ。料金は一人150㍔も取られ、何だかボラレた気分だった。まあそれでも無事に着いてよかった。

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何とも狭い空港だった。中に入るとすぐにカウンターが見えたが、開いている気配はない。まだ早いのだ。空港内を見てみたが、特に何もない。仕方なく、1階の店でパンとチャイを買い、座って食べる。その内、段々と人が増えてきて、食べ終わっているのに、席を確保しているは申し訳なくなる。席を離れて少し経った頃、ようやくモスクワ行のチェックインが始まった。

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