シベリア鉄道で茶旅する2016(27)初めて地下鉄に乗る

地下鉄で駅を移動する

エルミタージュを出て、裏手の川を眺める。ここからの景色がよいと言ってNさんは懸命に写真を撮っていたが、道路が渡れなかったり、塀があったりと、色々と邪魔なものがあり、なかなか難しい。戻る途中では、簡単なデモ?が行われており、何かに反対している人々がいることは分ったが、内容は全く分らない。何となく3年前にイスタンブールで出会ったデモを思い出した。あの時も内容は分らなかったが、翌年には大規模デモに発展し、結果としてオリンピックが東京に転がり込んできた。ロシアでも経済低迷など、不満が高まっていることは間違いない。

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この大通りには様々な店が出ている。スターバックスあり、バーガーキングあり、中華料理屋あり、丸亀製麺まである。ロシア人は何が好みなのだろうか。まあ、ロシア人が東京を歩いても、同じことを考えるかもしれない。通りには中国人観光客の姿が多くみられたのも、意外だった。ここまで来るのか。駅までの道のりが結構長い。日も西に傾いてきて、寒さが感じられるようになってきた。疲れも出てきただろうか。足取りは重い。

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モスクワから来たこの駅はモスクワ駅という名である。モスクワで乗った駅はレニングラード駅だった。ということは、行先が駅名になっているということか。これは面白い。だがこれから我々が向かうムルマンスク行列車はどこの駅から出るのだろうか。調べてみると、ラドジスキー駅から出るという。モスクワ駅に預けた荷物を引き出し、念のために早めに移動することにして、地下鉄に乗る。

 

ペテルブルクの地下鉄、ロシアで初めて乗った。切符はNさんが窓口で買ってくれた。駅名が分らないと乗れない。そして何ともエスカレーターが怖い。非常に駅が深いのだ。高所恐怖症には堪える。そしてホームは薄暗い。何だか地下シェルターに入った気分だ。ここはやはり地下防空壕なのだろうか。我々はどうやら3号線に乗っていく。電車の車内には不動産の広告が貼られていた。単位がよくわからないが、かなり広い間取りが多い。ここの不動産価格はどうなっているのだろうか。

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途中駅で4号線に乗り換える。この乗り換えもまたよくわからない。英語表記はあるが、文字が小さい。日本でもそうだろう。英語でも表示しています、と言いながら、日本語より文字が小さくなり、結局読めないことも多い。我々異邦人にとっては、この表示が命綱。薄暗い中、目を凝らしてみるのだが。電車がどちらに走っていくのかも含めて、何とか分りやすくならないものか。

 

乗り換えを入れても30分で、目的地ラドジスキー駅に到着した。地下鉄から長距離鉄道駅までちょっと歩く。19:48発の列車にはまだ2時間以上ある。夕飯を食べていなかったので、2階のレストランに入る。食欲はそれほどなく、パンとサラダを取ったのみ。なぜかコーラが飲みたくなる。コーラの甘さが沁みる。やはり疲労の色が相当に濃かった。夕日がやけにまぶしい。席にもたれて転寝する。

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トイレに行こうと思ったが、どこにあるのか分らない。店員から何とか聞き出すと、それは店内にあるにもかかわらず、鍵がかかっていた。なぜなのだろうか。鍵を掛けるということは自由に使ってほしくない、という表れだと思うのだが、その理由が知りたい。でも言葉が通じない。こんなちょっとしたことにも、疲れを感じてしまう。あと27時間乗れば、ゴールできる、一晩眠ればことは済む、と思いたいが、ここまでの130時間が重くのしかかる。

 

そして出発30分前、ホームへ向かう。まだ日は暮れていない。前を歩いていくのは、大きなリュックやスキー道具を抱えた団体さん。この列車に乗ってスキーに行くのだろうか。ロシア人は一体どこまでスキーに行くのか。列車には大勢の人が乗り込んでいる。我々もまた慎重に切符に書かれた番号を探す。何とS氏と我々二人は車両番号が違っていた。本来ならS氏とNさんを同室にして、私が移るべきだったが、S氏はさっさと自分の車両へ行ってしまった。この辺がなんとも面白い。

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我々2人に割り当てられていたのはコンパートメントの上段2つ。下段には厳格そうな老夫婦が陣取っていた。これまでの列車旅とは様相が異なる。自由に部屋を使うこともできないし、ましてや下の席に座るのも難しい。通路では子供たちが走り回り、賑やかだったが、ここだけは別世界であった。どうやら家族連れがスキー旅行に行くらしい。子供がはしゃぐのも無理はない。

 

27時間の旅へ

ついに列車が動き出した。既に窓の外は暗くなり、カーテンが敷かれた。もう寝るしかない。上の段は意外と狭く、寝るだけならよいが、居住スペースとしては適していない。まあ先日の3泊から考えれば、今回は一晩。寝ていれば着く、と言い聞かせて寝転がるが、眠りに就けない。部屋の電気も消えているが、頭の中がぐるぐる回り、何も考えられない。列車の線路音だけが頭に響いて離れない。

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