ナムサン茶旅2016(11)ナムサンの茶

ナムサンの茶

そしてもう1つ、最近ナムサンで日本人が茶作りを始めたと聞いたので、その工場へも行ってみた。ここにも誰もおらず、話も聞くことはできなかったが、日本人とミャンマー人が共同で茶を作り、日本などへの輸出を考えているらしい。面白い試みだと思うが、どんな人がやっているのだろうか。外国人が入れるようになった今、中国人も含めて、これからナムサンの茶畑には、色々な動きが出てくることだろう。

DSCN2133m

 

その工場のすぐ近くではちょうど酸茶作りが行われていたので見学した。おじさんは数か月袋に詰めておいたラペソーを足で揉んでいる。茶葉を選り分けている人もいる。そして日の当たる場所に茶葉を干す。ちょっと酸っぱい香りが漂う。なんともゆったりとした、いい光景だった。こちらがカメラを向けるとおばさんたちが珍しそうに見ている。外国人などが入ってきていないからだろうか。

DSCN2119m

DSCN2127m

 

このナムサンに半世紀も前に入り、調査した日本人がいた。松下智先生、昨年ベトナムにご一緒した折、この話が出た。1962年、ネウィンの社会主義革命が興る前後の混乱期に、偶然にも入ることができたというのだ。その時もラペソーを作り、酸茶も作られていたこと、ここの茶畑は栽培のための植えたものが野生化したもので、茶の原産地ではない、ということなどを確認されていた。非常に貴重な検証だったと思う。その後、公式に調査した人は恐らくいないのではないだろうか。

 

昼が過ぎていた。ランチはこの街の真ん中あたりの食堂に入ってみた。女性が数人で食事をしていた。ここは観光地ではないので、どんな人たちかと思っていると、どうやら周辺の病院の看護師さんたちらしい。研修か何かで集まったのだろう。辺境の地に送られた看護師や先生などは、色々と苦労があるだろう。きっとお互いの苦労話をしているに違いない。

 

この食堂は入り口を見れば中華系とわかる。食べ物も中華料理で、野菜炒めの野菜が新鮮で、特に美味しい。ミャンマーでは外食なら中華、という感覚があるとヤンゴンでも聞いていたが、田舎でもそうなのだろう。ご馳走という感じも中華にはあり、ヤンゴンの結婚式では中華が振る舞われるらしい。この食堂の窓からはナムサンの山がよく見える。景色もよいから言うことはない。

DSCN2137m

 

茶葉を買いたいと思ったが、店を見ても売っているところがない。食堂で聞いてみると、1軒の店を教えられたが、そこは先ほどティミックスを飲んだ場所だった。そこで紅茶を買ってみる。どんな味かは分らない。紅茶が手に入ると、緑茶も手に入れたいと思う。するとTさんが、『街外れに茶工場とゲストハウスを兼ねた場所がある』というので行ってみた。

 

そこは工場になっており、茶葉は外に大量に干されていた。ここでも酸茶を作っている。職員のおばさんが倉庫のような場所を開けてくれた。そこには在庫の紅茶や緑茶があり、買うことができた。更に工場も見て、その奥のゲストハウスまで見学した。部屋もきれいで、景色は抜群。ぜひ次回は泊まってみたいと思ったが、許可がないと泊まれないのは残念だ。マネージャーは若く、英語も出来て、とても好感が持てた。Tさんは彼から名刺をもらっていた。

DSCN2140m

DSCN2143m

DSCN2145m

DSCN2150m

 

そして郊外に茶畑を見に行こうということになり、車に乗る。20分ぐらい走ると小さなパゴダがあり、それを修復している人がいた。200年ぐらい前のパゴダだというが。その脇から茶畑が山の斜面に広がっていた。かなり古い茶樹のようで葉っぱが厚かった。茶葉を虫が食っており、農薬などないことが分かる。このあたりが古い茶産地であることを示しているように見えた。

DSCN2154m

更に行くと、素晴らしく枝を横に張り出した大きな木があった。道しるべ、という感じの大木。そのあたりから、もっと大きく茶畑が広がっていた。小さい木、ヒョロヒョロとした木も多かったが、最近植えたのかもしれない。しかししっかり管理されている茶樹も多く見受けられた。このあたりがナムサンのメインの茶畑かもしれない。茶樹の栽培化ということか。

DSCN2165m

DSCN2167m

 

事故

まだ日は高かった。ナムサンからティボーに戻るには少し早いということで、『かなり古い茶樹があります』というTさんの言葉に反応して、さらに山の中に車を進めた。道は平らで凸凹もなく、ドライブは快適だと思われた。ところが少しくと、突然車が大きく傾き、体が跳ね上がった。何が起こったのか全く分からなかった。なんと、道を横切るように大きな溝があったのだが、何のサインもなく、気が付くこともなく、そこに突っ込んでしまったのだ。

DSCN2188m

 

初めはたいしたことはないと思っていたが、Tさんがエンジンを掛けてみるとバンパーから煙が上がった。慌てて調べてみると、車の前が大きく凹み、その凹みが中のパイプを押し込み、破損させていた。これがどういうことなのか、車音痴の私には全く分らなかったが、かなり重大な事故であることはすぐに分った。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です