ナムサン茶旅2016(9)ティボーの格安ホテル

5.ティボー

安くてきれいなホテル

ティボーには半年前に来たのだが、その時は駅と街道沿いの一部しか見ておらず、街に入るのは10年ぶりだった。勿論発展はしているが、それほど大きく変わってはいない、どこかホッとする街並みだった。この街には今もソーボアハウスがあり、その子孫たちが伝統を守って暮らしているのだろうか。などと、ふと10年前に訪れたそのお屋敷とお嬢さんを思い出す。

 

そしてティボーといえば、前回泊まったゲストハウスM。ここでの大ゲンカは忘れられない。Tさんにその話をすると、せっかくだから行ってみようということになる。10年前は外国人が泊まれる宿がティボーにはほとんどなく、皆がMに向かったものだった。行ってみて驚いた。なんとゲストハウスが立派なホテルに昇格していたのだ。さすが商売上手。よく見るとその横に、昔の面影を少し残すゲストハウスも併設されており、敷地内は白人観光客で賑わっていた。因みにこの宿の娘婿は日本人だ、という話も聞いたが、どうなのだろうか。

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実はこの旅も半分が過ぎ、明日のナムサン訪問後、どこへ行くにせよ、飛行機のチケットを手配する必要があった。Mには旅行社も併設されており、そこで聞いてみたが、ラショー‐タチレイ間の航空券が半年前に買った時より1.5倍もした。これにはかなりの手数料が含まれているような気がする。英語で対応してくれる、というだけで、いまだにいい商売ができている。

 

ただ街中のほかの旅行社を訪ねても、ラショーやマンダレーからのフライトはラショーで買うより安くはならないことが何となく分った。今やネットでチケットを買う時代、どこで買っても同じだと思うのだが、ミャンマーはまだその時代に突入していない。ミャンマー人でクレジットカードを保有している人も多くはなく、ネット決済ができない、という理由もあるかもしれない。

 

先日もこの街にやってきたというTさんは、安くてきれいなホテルを見つけていた。レッドドラゴンという名前で、おそらくはアパートをホテルにしたと思われる作りだったが、何といっても1泊12ドルで、これだけきれいなら言うことはない。しかも朝食までついている。そしてネットも問題なく繋がる。この価格はプロモーションだというが、トレッキング目的のヨーロッパ人などが口コミで泊まりに来ており、英語も通じるので有り難い存在だ。

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夕飯は焼き物系のレストランに入る。やはりミャンマーの田舎、という感じで、全てがゆっくり。10年前も暗い街を歩き、満天の星を眺めたことを思い出す。自分で選んだイカや豚を焼いてもらい、食べる。なぜかチキンカツ?が日本的にウマイ。東南アジアで日本食のとんかつにブームの兆しがあるが、鳥は豚よりも安いし、身近だから、本当はチキンカツの方がよいのではないだろうか。スープとご飯を頼んでかき込む。大いに満足した夕飯だった。

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1月28日(木)

ルーフトップで朝食

夜はゆったりと寝られた。昨晩のタウンジーよりかなり暖かいという影響もあったかもしれないが、何といっても街の雰囲気とこのホテルの快適さが、眠りを深くしたに違いない。このホテルの朝食は、何と建物の一番上、ルーフトップで頂く。高い建物もなく、周囲には昔ながらの家々が見えて、眺めがとてもよい。

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1泊12ドルのホテルだから簡単な朝食ではあるが、オムレツはオーダーすると、ちゃんと焼いてきてくれる。これにパンとフルーツ、ティミックスが出れば、文句はない。食事をしているのは、ほとんどが白人。ティボーに来る外国人は欧米人が多い。目的はトレッキングなど、自然に触れることらしい。我々も自然に触れるべく、いよいよ最終目的地、ナムサンへ向かって出発する。

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取り敢えず、気に入ったこのホテルはチェックアウトせず、もう1泊する予定とした。そして軽装で車に乗り込む。街はすぐになくなり、郊外へ出た。小さな川が流れており、小さな橋が架かっている。そこは車が一台ずつしか通れない。ちょっとした交通渋滞が起こる。これがミャンマーの渋滞だ。ヤンゴンのあの渋滞は、もう昔のミャンマーには戻れないことを示しているが、ここではいつでも、いつまでもミャンマーなのである。その風景がなんとも言えない。

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6.ナムサン

道路工事で迂回

田舎の道を土ぼこりを舞い上げながら、車は進んでいく。ふと見ると、漢字の表示が見えた。よく見てみると、何と中国まで続くパイプラインがこの下を通っている。これがラカイン州の沖合から産出した天然ガスを雲南省まで運ぶために中国が作ったパイプラインか。地下を通っているため、普通目には見えないのだが、なぜか私にはピンと来るものがあった。中国とミャンマーの深い闇、軍事政権が民政に移行することになる原因の一つかもしれない、歴史を見る思いがした。

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少し行くと、十字路があり、ナムトゥへ行く道とナムサンへ行く道はここで分かれていた。我々はナムサンを目指し、左に折れた。すぐ近くに村があった。その細い道は道路工事で完全に塞がれている。仕方なく、民家が立ち並ぶ脇道に踏み込んだのだが、ここは車が走るような場所ではなかった。そこを無理に通ろうとすると、車が溝にハマりそうになる。ナムサンまでの道のりはまだかなり遠い。そして行く手のハードルは決して低くはないと感じられた。

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