トルコの茶畑を訪ねて2012(7)アンカラ 出会った中国人はウイグル人

ウイグル人留学生

ホテルはウルス地区の安宿を予約していた。ウルスの地下鉄駅でバスを降りたが、方向が分からない。売店のオジサンに住所を見せると親切に方角を示してくれた。これで安心と思ったが、なかなかホテルに辿り着かない。また通行人のオジサンに聞いてみると、英語は出来ないが、親切に対応してくれた。トルコ人は親切だな、と感じる。ようやく辿り着いたホテルは予想以上に駅から離れていた。かなり下町の雰囲気があり、そこかしこでチャイを飲んでいる。

夕方ホテルにウイグル人留学生、K君が訪ねて来てくれた。彼はトルファン出身、北京で学び、中国大手企業に就職したが、昨年からトルコ政府の奨学金を得て、トルコで学んでいる若者である。先週アンカラの大学院へ転学してきたばかり。それにしてもウイグル人とはいえ、中国人がトルコ政府の奨学金を貰っている所が面白い。勿論漢族中国人は貰えるわけではなく、同じトルコ系ということがポイント。

彼はアンカラは不案内ということで、宿舎で同室のトルコ人学生を連れてやって来た。皆で英語で話そうと思ったが、トルコ人学生はシャイで話したがらず、結局アンカラにも拘らず、K君と普通話で会話した。

トルコには漢族学生は殆どいないこと、ウイグル人も多くはないこと、また中国政府はトルコに興味を持っており、接近を図っているが、上手くいっていないことなど、様々な話が出た。そして彼は「留学が終わったら、中国とトルコを行き来するビジネスがしたい」という。その可能性は大きいと感じた。中国がK君たちをうまく使えるのか、興味深い。因みにトルコ語とウイグル語は70%程度共通であり、言語習得の問題は少ない。また緩いイスラム教ということでも同じで、生活習慣も近い。

9月26日(水)   アンカラ ウルス散歩

翌朝ホテルで朝食を食べた。トルコではどこのホテルでも食事の内容は同じで面白味はない。外へ出ると、朝から皆チャイを飲んでいる。近くを散歩するとハトが沢山いる広場に出た。実にのどかな朝だった。

ある横道に入ると、「セイロンティ」の文字が見えた。トルコのチャイは殆どが国産だが、何故ここでセイロンティを売っているのだろうか。興味本位で長屋風の店を覗くと、おじさんも笑顔で迎える。トルコでは英語があまり通じないと感じていたが、そのおじさんは英語が流暢。

何故セイロンティを売っているのか、驚いたことにここはクルド人居住区だった。クルド人と言えば、イラク北部など広く中東に居住し、国家を持たない最大の民族などと呼ばれている。トルコにも相当数が流れ込んでいるらしい。オスマントルコが消滅した時、彼らの国家も無くなったようだ。

「クルド人は商売人さ、トルコのチャイは国内ようだが、俺たちは国際的なセイロンティの貿易をしているのさ」と説明してくれたが、このお茶誰が買うのだろうか。ティバックのセイロンティを頂きながら、親しくお話を聞いた。ここでクルド人と会うとは、世界はまだまだ広い。

そしてアンカラ城へ行こうとしたが、道を間違え、小高い丘の上に有る博物館へ来てしまった。絨毯や食器など、トルコの伝統的な文物が並んでおり、地味ながら面白かった。途中で中学生が大勢やって来て見学していた。

チャンカヤ散歩

午後バンコックのAさんより紹介されたSさんを訪ねた。場所は宿泊先のウルスからは大分南に下った官庁街。地図で見ると近そうに見えたので、先ずは日本大使館を目指すことにした。しかもタクシーで行ったのでは面白くないので、ホテルのフロントにトルコ語で「チャンカヤ 日本大使館」と書いてもらい、その紙切れ一枚を持って出る。何とも無謀な話だ。

ホテル近くのバス停からチャンカヤ地区へ行くバスが出ていると聞き、行って見ると、ちょうどバスが来た。「チャンカヤ」と叫んで乗り込もうとすると運転手さんが何か言っているが分からない。向こうも言葉が通じないと分かると、「乗れ」と合図。取り敢えず乗り込むと、何と100m先のバス停まで送ってくれた。勿論無料。そして「XX番のバスに乗れ」と言って去る。すごい。

次に乗ったバスでは、料金が払えない。全てがカード式のシステム。車掌のおばさんから何とかカードを買って払う。だが、おばさんが「どこへ行くんだ」と聞くので、紙を見せると、大騒ぎに。「誰か日本大使館の場所知ってるか?」と聞いてくれる。すると一人の男性が英語で、「乗り換えた方が良い」と言い、一緒にバスを降りた。そしてバスを乗り換えるとまた料金が払えない。今度の運転手は顔を横に振るばかり。すると前に座っていた男性が私のお金を受け取り、自分のカードで払ってくれた。

そしてこのバスで近くまで行こうとしたが、隣の男性が「このバスは違う」と言い出し、一緒に降りるように言われる。従って降りたのだが、どうやら彼の勘違いだったようで、それから延々と、登り坂を歩いて登る羽目に。それでも皆の親切でどうにか大使館に辿り着いた。

だが私の目的地は大使館の近く。ところが地図では近くても、この目的地は相当に遠かった。歩いていると、私が降りたバスが横を通って行く。あー。でもいい運動になったし、アンカラの山の手の雰囲気を存分に味わった。首都とはいえ、イスタンブールに比べればアンカラは小さな都市だった。帰りはバス一本でホテル近くに帰り着いた。

アンカラ城

ホテルに戻らず、午前中に行けなかったアンカラ城へ向かう。しかし正面から入ろうとしたら、何と工事中。土煙がもうもうと上がっていた。少し横を登って行くと、博物館があり、見学する。ここには石器時代の土偶や鉄器時代のカップなどが展示されていて、トルコの歴史が面白く見られる。特に土偶は日本でも見られるような形をしており、何らかの繋がりが感じられる。

博物館を出てさらに上ると、城へ入る入り口がある。一つの小さな街へ入る感覚だ。中には今も住民がおり、普通の生活を送っている。子供達は跳ねまわり、城の上ではサッカーに興じていた。

小高い丘の上に築かれた城。今も外壁が残り、アンカラの街を見下ろしている。夕陽がきれいな場所だろう。眼下にはきれいなマンションが出来始めており、ここトルコの発展が見て取れる。歴史が発展へと動き出した感じだ。

上って来た道と反対側を下る。カフェがあったのでチャイを飲む。ここの道が観光客が来る場所だと分かる。チャイはどこで飲んでも美味しい。そして何とおしゃれなカフェでも1リラ(40円)は嬉しい。他の物を飲む気には全く慣れない。歩き疲れた体を休めるには砂糖を入れるとちょうど良い。やはりトルコのチャイには砂糖、なのだろう。





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