トルコの茶畑を訪ねて2012(5)カッパドキア 奇岩に癒される日本女性

2. カッパドキア   9月23日(日)  夜行バスで行くカッパドキア

それからバスはほぼ3時間ごとに規則的に停まった。これは運転手の休息とトイレ休憩だろう。トルコの道路は素晴らしく、あまり揺れることもなく、寝るのには十分。そしてサービスエリアもきれいで充実。

降りると1リラの有料トイレに入り、そして1リラのチャイを飲む。何だかマッチポンプ??カフェテリアで食事を取る人も多く、夜中といった感じはない。眠気も徐々に冷め、バスの旅が楽しくなってきた。相変わらずバス内では殆どの人は寝ている。私は何を考えるでもなく、何をするでもなく、ただ薄らとした闇を見つめていた。

このバスには外国人も数人乗っていた。欧米人が4-5人、そして日本語を話す人が3人。一人の若者が私に近づいてきた。一緒にチャイを飲んだ。彼はヨーロッパからアジアを旅するバックパッカー。車掌のニーちゃんともすぐに仲良くなり、楽しそうに旅行していた。私は車掌に『何時に着くのか』と何度か聞いたが、要領を得ず、ちょっと愉快でなかった。ただ明け方、ドライブインで停まっているバスの後ろでタバコを吸う彼と遭遇し、話をするとにっこりしていた。ようは言葉が上手く使えなかっただけなのだ。日本人の若者が眩しく見えた。

明るくなると、道路脇に湖が見えた。朝日も眩しい。午前8時に到着予定のバスは当然のように遅れた。実は私は今日と明日、朝からカッパドキアツアーに参加予定だったが、間に合わない。仕方なく、朝8時の段階で旅行会社の人に電話でその旨を告げた。この人、友人の友人に紹介されたのだが、日本人女性である。

香港にいる時に某大学の先生から『カッパドキアには日本人女性が100人以上トルコ人と結婚して住んでいる』と聞いたことがある。そんなはずがない、何故、咄嗟の反応はそんなものだったが、実際にそうした人々が現れ、実際にトルコの地を踏むと満更変でもないと思えるから不思議だ。

9時前にようやくバスターミナルへ到着。皆降ろされ、ドルムシュというミニバスに乗った。私はユルギュップという場所へ行くミニバスへ乗ったが、旅行社から電話があり、途中のカッパドキアインというホテルで降りた。周囲は荒涼とした大地だが、空は実に青かった。

カッパドキアツアー1 地下都市

ツアーバスに乗り込むと、空いていた。何故だろうと思っていると、何とこれから各ホテルに迎えに行くのだという。何だ、焦ることもなかった。時間がゆったりと流れている。この日本語ツアー、HISの旅行ツアーで来ている人が殆ど、しかも30-40代の女性ばかりだった。彼女らはギョレメあたりの洞窟ホテルに泊まり、イスタンブールとの組み合わせで来ていた。初めての人は2-3人で、リピーターの中には一人で来ている人も数人いた。

私のカッパドキアでの関心事は1つ。地下都市の存在だった。高橋克彦の小説『竜の柩』。一見奇想天外な小説に思える内容だが、良く読んでみると著者は本当にこれを信じて書いていることが分かる。その中にカッパドキアの地下都市が出て来るが、この都市は実は核シェルターだったと推測する。

カッパドキアは5-6世紀、キリスト教の修道士たちが住む修行場だったと言われているが、それにしては手が込んだ作り出し、第一数十万人が暮らせる能力を有していた、ワインを製造する場所すらあったことを考えると、修行の場というのは後から来た人が利用しただけだと思われる。実際に地下に潜る狭い道、確かに巧妙に出来ており、敵を避けるための石のドアなど仕掛けもある。高橋克彦の推測は正しい、と思ってしまう地下都市だった。表に出ると眩しい日差し。何だか夢のような見学であった。

奇岩ツアー

ハトの谷、という奇岩を見る場所へ行った。カッパドキアの奇岩は世界遺産であり、その風景は壮大で、圧倒的、信じがたいものがある。そしてここは何故かハトが多い場所。ハトと奇岩、関係はよく分からない。

観光地なので土産物を売る店がある。お婆さんが手編みの服やテーブルクロスなどを売っていた。実に細かい作業で感心したが、『誰も買ってくれる人が無い、生活が大変だ』と嘆いていた。ここカッパドキアには産業はあまりないようで、人口も少ない。観光客頼りの生活にならざるを得ない。ヨーロッパの経済危機などもかなりの影響があるのかもしれない。何だか少し寂しい話だった。

もう一つ奇岩のある場所を見学。私には何となく同じようにしか見えない。お昼は川沿いのレストランで取る。土鍋料理が有名だということで鶏鍋を頼む。パンはどこでも美味く、スープもまあまあ。そして土鍋は良く煮込まれており、いい味出していた。満足。

私の参加したツアーは女性ばかり。ランチしながら、彼女達に『カッパドキアには日本人女性が100人以上結婚して住んでいるらしい』と言ってみると、『分かるわー、その気持ち。私もチャンスがあれば自分の人生、劇的に変えてみたいと思うもの』との回答が印象的。日本で働く女性のストレスは並大抵のものではなく、それ故時間がゆっくり流れ、癒される、非日常空間を現出するトルコへの愛着、憧れは強いということだろうか。

午後も奇岩を見ていた。何という所か分からない。ツアーに参加する一人の女性が、ジーッと奇岩を眺めて佇んでいる。その様子がちょっと尋常ではなく、そのまま岩に向かってダイブしてしまいそうに見えた。思わず声を掛けると『この岩、癒されるわー』。日本女性がカッパドキアに憧れる様子が良く分かったが、私には理解できない。

 

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