タイ人と行く高野山2015(4)高野山散策

5月18日(月)

高野山散策

翌朝も和尚が朝ごはんを用意してくれた。ありがたや。そしてまた明王院へ行く。雨は降っておらず、いい天気でよかった。皆がチェックアウトして、荷物を寺に預け、今日の日程がスタートした。まずは昨夜ライトアップショーに彩られた大伽藍へ。夜とは打って変わった静けさの中、月曜日でも既に多くの人が参拝していた。お遍路姿の女性を見つけたタイ人は、すぐに近寄り写真撮影をお願いしていた。お寺とお遍路、日本的な風景に見えるのだろう。

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今日は現在高野山で研究活動をしているタイ人女性も合流していた。彼女の専門は観光学。タイにはエコツーリズムや医療ツーリズムなどが発展しているが、日本での『テンプルツーリズム』の可能性について、興味を持って日本仏教の総本山である高野山で、研究しているという。和尚に彼女が加わり、ガイドとしては鬼に金棒。タイ人の疑問に、仏教の専門的な話も含めて、どんどん答えていく。但し彼女らはタイ語で話すので、タイ語の出来ない私には、どんな説明がなされたのかは全く分からなかった。とても残念。日本政府はこのような海外の研究者をもっと招聘して、日本の観光資源発掘に更に尽力すべきだと思う。日本人には分からない、豊富な資源が日本には眠っていることは間違いないので、外国人で日本を知っている人の力を借り必要はあるだろう。

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タイ人たちは本堂の中に安置されている仏像などにもかなりの興味を抱いており、質問が飛び交う。タイのお寺にも仏像はあるが、日本とは当然かなり違っている。タイやミャンマーの人は奈良の大仏よりは鎌倉の露座の大仏を好むと言われている。黄金の仏像はタイにも沢山あるが、渋い木造の仏像などは珍しいのかもしれない。その違い、意味するところをキチンとその国の言葉で伝えることは実に大切。特に仏教関係国と正面からの交流を行う上で、極めて重要であり、結果として、その文化が観光資源にもなっていくのではないだろうか。

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そのまま歩いて宝霊館に向かう。ところがタイ人たちは何か飲み物が飲みたいと言い出す。高野山にはコンビニもあまりない。自販機で水を買うのも味気ないと、レトロな喫茶店に入ってみる。いきなり広くはない店に10名で入ったので、おばさんはビックリしていたが、『時間が掛かるけど、よければ』と言われ、分かれて席に着く。こんな街のレトロな喫茶店も、タイ人の興味を引く。丁寧にコーヒーを淹れる姿、接客態度、彼女たちには新鮮に見えたらしい。店のカウンターに座っていた常連のおじさんたちも、タイ人と聞くと『中国人は多く見掛けるが、タイ人は珍しいね』と興味を持って話し掛けてくる。こんな簡単な交流もまたよい。

 

宝霊館に着くと、きれいな庭の木々にうっとりしてしまう。タイ人は盛んに写真を撮る。これが日本の美、と言わんばかりに丁寧に手入れされている。入場料を支払って中へ入ると、ここには国宝クラスの仏像が沢山展示されており、その迫力は相当のものがある。また大型の曼荼羅なども置かれており、仏教世界を考える上では、高野山では必ず行くべき場所であろう。高野山には国の宝の相当数があると言われているが、まずは宝霊館に集中している。

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タイ人は本当にコンビニが好きだ。バンコックには至る所にセブンイレブンが見られ、タイ人は慣れ親しんでいる。ファミリーマートやローソンも進出してきており、かなりの激戦になっている。ある意味で日本の文化がタイに輸出されたよい例であろう。本家のコンビニに行くのが、楽しみである、というのは有難い話である。そこで好きなお弁当と飲み物などを買い、食べることにした。スイーツなども彼女らの興味の的となっている。高野山にはファミマしかないようで、既に弁当も殆どが売れていた。高野山はかなり閉鎖的な場所、といってよいだろう。地元の商店を守るために、コンビニの進出にも良い顔をしないと聞く。

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弁当を買っても、食べる場所に苦労する。月曜日ではあるが、観光客は多い。臨時テントなども作られているが、どこも一杯である。和尚の知り合いのお寺の一角を借りようと歩いていくと、陰に隠れた臨時テントに空きがあったので、何とか潜り込み、サンドイッチを頬張った。ここで大量のゴミが出たのだが、ゴミ箱などはない。確かに今や日本では、観光地といえどもゴミ箱は設置されておらず、『ごみは自宅に持ち帰り』が原則であるとは知っている。

 

だが、外国人観光客にとって、これほど不便なことはないだろう。中国人観光客の一部は、適当なところにごみを捨ててしまうかもしれない。それをもって『中国人のマナーは悪い』というのはどうなんだろうか。タイ人はゴミを捨てたりはしなかったが、律儀に持って歩いている。バッグは既にパンパンなのだ。写真を撮りたい時は、かなり不便である。見かねて聞いてみると『トイレの後ろにある』と教えられ、何とか捨てることができた。ゴミでは本当に苦労する。

 

午後は開創1200年の記念行事である、お受戒を受けに行く。大勢の人が詰めかけており、順番を待つことになる。我々は団体で申し込んだが、他にも全国から、お寺の檀家さんや仏教関係の集まりの人々が、団体さんでやって来ている。30分待って入場できた。中では読経、阿闍梨の法会があり、なんと団体は代表者が名前を呼ばれ、直接菩薩戒牒を授与される。我々の代表としてA師が呼ばれて、授与された。『タイから来た』と呼ばれ、何となく面はゆい。タイ人は何が起こっているか分からなかったはずだが、こういう席では神妙に座っている。さすがだ。

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