初の中央アジア カザフスタンを行く2014(15)アルマトイ 日本食レストランかぶと

街歩き

ダウエンが車でカザフスタンホテルに連れて行ってくれた。ちょうどその近くの科学アカデミーでまず降りる。ここは約70年前にシベリアに抑留された日本兵が強制労働で建てたと言われているビル。勿論ビルのどこにもそのような表記はないが、かなり重厚な建物で、ウランバートルのオペラハウスなどとも似ていることから、その可能性は高い。

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続いてホテルカザフスタンへ。ここは1978年に建造された由緒あるホテル。ソ連時代の重厚な造り、当時としては高層な26階建てで、今でもアルマトイのシンボルとなっている。この付近は相当に木々が茂り、実に感じが良い。ロビーの天井も高く、昔の中国のホテルを想起させる中2階がある。何とも懐かしい雰囲気のホテルだった。

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それから市庁舎前の独立記念塔へ行く。この塔の下にはナザルバイエフ大統領の手形がある。観光で訪れた人々が、自分の手をその手形に充てて、記念写真を撮っている。ここでダウエンと別れた。彼は1つ会議をキャンセルして付き合ってくれた。本当にご縁だ。

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そしてようやく自由時間が来た。シャルハル氏、Pさんとも別れてN教授と二人、街を歩き始める。シャルハル氏の車は電気系統に故障があり、窓が開かないためかなり暑いが、散歩はとても気持ちが良い。何しろアルマトイ旧市街地は緑がとても多く、そして深い。道路は計画的に碁盤の目のようであり、歩きやすい。建物は皆ソ連時代のものだが、重厚で見応えはある。

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取り敢えずの目標をガイドブックにある鉄道博物館にしてみる。その前に修理中のオペラハウスが見えてきた。だが博物館はない。バス停の地図を見ているとカザフの若者が英語で声を掛けてくれた。鉄道博物館は彼も知らなかったようで、ネットで検索してくれたがやはりなかった。それでもこれまで会ってきた人々がロシア語を話す人ばかりの中、街の若者が英語を使い、スマホを使う姿に、新世代を感じた。

 

ちょっと歩いて行くと、何だか雰囲気の良いホテルが見えた。グランドテンシャン、形の良い3階建てだ。思わず中へ入り、フロントへ行くと笑顔の女性が英語で話し掛けてきた。ルームレートを聞くと結構高かったが、『ネットで予約する方が安いです』と親切に教えてくれた。好感が持てる。次回はこういうホテルに泊まってみたい。

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そして科学アカデミーの並びの道に、お洒落なカフェがいくつもあるのが見えた。ここで休憩。ここなら英語も通じるし、ビールも飲めるし、WIFIも通じる。更には実に気持ち良い風が吹き抜けて暑さを忘れさせてくれる。私はこういうところを希望していたのだ。何故私はこれまでここに辿り着かなかったのか、とても不思議な気がした。

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しかし至極の時間は長くは続かない。20分ぐらいアイスティを飲みながらネットを繋いでいるともう約束の時間が来てしまった。名残惜しかったが、席を離れる。明日もまた来よう、と真から思う。そしてまた歩き出すと、メトロの駅があり、きれいな建物がいくつか見え、そして先ほどの独立記念塔に舞い戻った。

 

Pさんが『明日はケーブルカーで山の方へ行きましょう』というので、思わず強い口調で、『もう山はいいでしょう。明日も私はカフェへ行きます』と答えてしまい、顰蹙を買った。それでもそれが本音だった。アルマトイに10日間もいること自体がありないと言われたが、その一番いい場所にようやく今日辿り着いた訳だから、最終日は自由にさせて欲しいと思う。

 

帰りにトルコ式のドネルケバブの店に寄り、買い込み持ち帰る。かなりの大きさがあり、食べるのに難儀した。さすがにカザフにも飽きてきたのかもしれない。さて果たして明日はどうなるのか、飛行機は無事に飛ぶのだろうか、明日は明日の風しか吹かない。

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8月8日(金)

再びかぶとへ

アルマトイ最終日、ゆっくりと起き上がる。そして部屋の整理。10日もいると、色々と溜まる。荷物をバッグに詰め込み、何とか納める。今日はシャルハル氏の車で街へ行き、後は自由、夜また集合して空港へ向かう予定だ。

 

まずは日本料理屋かぶとへ。ここのおかみさんにインタビューすべく、N教授はアポを取っていた。シャルハル氏は我々を送るとすぐに帰ってしまった。2人で定食を食べる。牛すき定食を食べると、巻物が小皿についてきた。何となく懐かしい。ランチタイム、お客は結構入っており、カザフ人が日本食を楽しんでいた。ダウレンもこのようにして、定食を食べているのだろう。

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午後2時を過ぎてようやくここのおかみ、さおりさんに時間の余裕ができた。彼女は一人でこのかなり広い店を切り盛りし、偶には料理も作っている。聞いてみると何と、『海外はアルマトイが初めて。偶然ここに来てしまった。日本でも長野と富山しか住んだことがない』というので驚く。

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店を引き継いでから3年、色々なことがあったらしい。『とにかく任された店を潰さない』ことだけを考えて、懸命にやって来たという。それでもカザフ人を使うのは簡単ではない。何と1週間前に接客係を全員入れ替えたらしい。さおりさんの娘も以前から店を手伝っていたが、本格的にスタッフの一員になった。彼女は当地の大学でロシア語を勉強したので、スタッフとの会話に不自由はないが、さおりさんの指示を彼女が伝えるとスタッフは言うことを聞かないこともある。難しい。店に入ると大声で『いらっしゃいませ』と言われるが気持が良い。

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食材の仕入れはさおりさん自ら市場などへ足を運び、出来るだけ安くて良い材料を調達。ロシア方面から来るサーモンなどは極上で安いとか。調理は基本的にカザフ人のシェフがやるが、必要があれば自らさも作る。本当に何でもやってきた。カザフ人のお客さんからも徐々に認知され、お客も増えてきており、何とかやっている、それが素晴らしい。

 

日本人でアルマトイに来た人の殆どがこの店を訪れという。日本の味がして、価格も高くなく、何より日本人のおかみさんがいるのだから当然だろう。店にはスキージャンプの高梨沙羅選手や、なでしこジャパンの澤穂希選手のサインも飾られている。『色々な人が来てくれることが支え』とも言う。それはそうだろう。在カザフ日本人は200人にも満たない。

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今後かぶとがどうなって行くのか見守りたいと思っていたが、Facebookによれば9月に店のボヤ騒ぎがあり、調理ができない状態に陥ったらしい。今はどうしているだろうか?是非頑張ってほしい。

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