初の中央アジア カザフスタンを行く2014(14)アルマトイ 豪華なランチをご馳走になる

8月7日(木)

ハシビシという村で

翌朝は7時に起き、昨日買ってきたビスケットを食べる。やはり想像通り、美味しい。少しだけチョコが入っているタイプで私の好み。勢い何枚も食べてしまい、腹は大丈夫かと思ってしまう。

 

9時にホテルを出発し、市内へ向かう。昨日のように一日を無駄にしないため、先方から連絡が無くても市内散策に出掛けることにした。そして途中まで来ると電話があり、市内東部の方へ舵を切る。ある県政府を訪問するらしい。ところがまたもや道に迷う。今回は右と左を間違えたらしく、少し遅れた程度で国旗がはためく、村役場へ到着した。

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そこにはリ・クワンユーにちょっと似たオジサンが待っていた。彼はアルマトイ市政府を退職した、経済顧問だったという。N教授がソ連時代の質問をすると、待っていました、とばかり昔話を始めた。どうやらソ連時代礼賛型の人らしい。この村は国営農場コルホーズだったが、独立後は農業・牧畜業をやる人が減っているらしいことは分かった。周囲の農耕地も荒れていた。

 

また若い書記は『政府には外国企業誘致政策もあるが、この村は土地が狭く、大規模農業をするには適さないため、投資を申し出るところはない』ときっぱり。恐らくは国内企業でも別の場所を選ぶのだろう。あとは延々とオジサンの演説を聞く。オジサンが話している間、メモを取っていたN教授は『人が話している時はちゃんと聞け』と怒られ、話をストップされた。何という権威主義。

 

『俺は大統領の下で働いた。大統領が話す時、メモを取る者などいない』と。とんでもない独裁者が出てきたものだ。彼の話を聞いても分からないから、その間にメモを取っているというのに。1時にダウエンとランチの約束をしていたので、私は早くこの場を離れたかった。シャルハル氏も運転手として時間を気にしていたが、独裁者は時間など構わず、『村の企業に連れて行ってやる』という。彼ではなく若い書記が来てくれるならよいが、ここから12㎞も離れた場所へ行っていてはランチに間に合わない可能性が高い。企業へ行って10分でさよならすることなどこれまで経験はない。ましてや田舎なのだ。それでもPさんは『こちらがお願いしたのだから仕方がない』と言い、企業訪問へ出た。

 

同じ村の企業なのかさえ分からなかったが、30分ほどで着いた。牛や馬を飼っている。建物の中には既に大勢の人が集まっており、皆じろじろと見ている。これはとても10分では許されない、と諦め、裏の工場へ。カナダから輸入された乳牛が飼われていた。専用の服を着ないと中へ入れないとまたも待つ。もう仕方がない、と諦めた時、『工場見学はしない』と誰かが言いだし、出口へ向かった。N教授が『誰か偉い人が来るらしい』と言い、ここぞとばかりに裏から逃げ出した。こんなことは初めてだが、先方も偉い人の方が余程大事なのか、あの偉そうなオジサン以外誰も追ってこなかった。オジサンは名残惜しそうだったが、それを振り切り出発した。

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豪華なランチ

既に時間がギリギリだった。それでも何とかなるような気もしていた。ダウエンはきっと外で待っているだろう、遅れると悪いな、と思いながらも楽観していた。1時ちょうどに見覚えのあるビルの前で車が停まる。先日歩いた場所だった。しかしこれまでは車が停まってから場所を探すのに苦労していた。ところが今回は道の向かい側に指定されたレストランがあるではないか。慌てて駆け寄ると、やはりダウエンが立って待っていた。

 

このレストランはかなり高級で建物の横に屋外スペースがあり、更には床が高くなっている特別に囲われた所まであった。思わずそこを希望する。そこでは床に座り、床には絨毯と布団が敷き詰められ、クッションも置かれている。実にリラックスできる場所だった。

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メインディシュはベシュパルマック。先日ララさんが作ってくれたが、今日は特別に馬肉のソーセージが入っていた。これは先日機内で話した時に馬刺しの話題になり、彼がそれを覚えていてくれ、オーダーされたもの。このような心遣いが嬉しい。これは本当に濃厚な感じで、特に脂身は絶品だった。5人で食べたが、10人前はありそうな分量でとても食べきれなかったのは残念だった。スープも出てきたが、凄く濃厚でごくごく飲んでしまい、お替りが直ぐ出て来るとまた飲んでしまう。

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更にはポロも出てきた。これはまたちょっと変わっていてチキンライスのような色をしていたが、羊の肉との味の取り合わせが絶妙だった。皆お腹が一杯となり、ぐったり。思わず横になって眠りそうになる衝動を抑えるのに苦労した。

 

ダウエンの保険会社は街の至る所に広告が出ておりそれを聞いてみると『広告の出ている場所は全て取次所』なのだそうだ。収益の半分は車の自賠責保険、これは国が加入を義務付けているため、車が増える限りは成長分野。但し1年ごとの更新を料金の安い他社に取られることがネック。医療保険などは国民の意識がまだ低く、加入率は高くない。

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またカザフスタンの統計資料を入手したいというと、『国家から出ていている統計もあるが、これは信用できない。我々は世銀かEBRDが出している経済統計を見ている』ときっぱり。先ほどの偉そうなオジサンはアスタナへ行かなければ統計年鑑は手に入らない、と言っていたが、むしろアルマトイの国際機関から入手した方が良いと私も思う。ただ残念ながら世銀事務所に勤めているダウエンの友人は休暇で海外へ行っているらしく、訪問は適わなかった。

 

尚ダウエンに『実は日本のアルマトイ領事館は昨年12月末で閉鎖した。もし日本へ行くならビザ申請をアスタナで行わなければならないだろう』というと、一瞬絶句し、『何を言っているんだ、カザフ最大の都市はアルマトイであり、日本を訪れる客もアルマトイから行くに決まっているではないか』という。私も当然そう思うし、その国の最大都市から撤退するということは、その国との外交なり通商なりを縮小する、と宣言するようなもの。中国包囲網で最重要国であるカザフに対して安倍内閣はなぜそのようなことをしたのか、理解に苦しむ。

 

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