ぶらぶらバンコック滞在記2012(4)10月5~31日

10月5日(金) サケオへ行く

2週間ほど、トルコへ行ってきた。トルコにはアジアもある、と思い込んで行ったのだが、残念ながらアジアは見付からなかった。ただヨーロッパも中東もトルコを起点に中央アジアを目指している、非常に基礎的な理解は出来た。 タイの田舎へ行く、ここはアジアである。今回はバーンタオ氏が炭焼きを依頼しているサケオ県を訪ねた。サケオはバンコックから東へ約200㎞、あと数十キロでカンボジア国境と言う街。

朝BTSのウドムスックという駅で待ち合わせる。この駅、以前は無かった。ここ1-2年でBTSの線が東西南北に延びている。駅前にはマンションが建っているが、それほど高くはないらしい。新しい駅だからか。結構便利なのに何で。マンションの下にMax Valueが入っていた。24時間営業、店内にキッチンがあり、朝の弁当を仕込んでいた。新興住宅の香りがした。駅付近の朝の渋滞はかなりひどい。

車は一路サケオへ。今日台風が来るという不穏な情報があったが、快晴で快適。30分も行くと田園風景が広がってくる。ゆうかりの木が植林されている場所もある。バンコックも一歩抜け出せば田舎の風景がある。これがタイ本来の姿のような気がする。

3時間弱でサケオの街に到着。先ずはバーンタオ氏お勧めの駅前肝っ玉母さん食堂でランチを取る。コイセンミー(餡かけ固焼きそば)を頼む。確かに勧めるだけのことはある。ここの餡は実に濃厚で美味い。揚げたそばとの相性も抜群で、最後の最後まで汁を吸ってしまう。何杯でも食べたい気分だが我慢した。値段は1杯、30バーツ。バンコックなら大盛りの分量は嬉しい。

サケオ駅前といったが、本当に本当に小さい駅がそこにあった。バンコックから5-6時間掛かるだろう列車がたまに来る各駅停車のみが停まる駅。まるで映画のセットのようだ。その横の並木道、ミャンマーと全く同じ風景がある。うーん、タイの田舎は素晴らしい。

先ずは付近の国立公園に行く。自然を売り物にしているが、本当に大自然、管理するのも大変な敷地に様々な草花や木々が所狭しと育っている。管理と言っても道を整備する以外は自然に任せて、開発しないという意志表示のようだ。途中道にひょっこりイグアナが顔を出す。トカゲの大きい物だ。

かなり進むと見晴らし台があり、そこが終点。山に木々が密生している様子がよく分かり、山の深さを教えてくれる。小さな滝も見た。タイ人は水遊びをするようで数人が下に降りていく。自然の中での遊びは彼らが一枚上手のようだ。

それから炭焼き小屋へ行く。これまでチェンマイ郊外の窯などを見学したが、比べると格段に整備されており、窯の数も多い。雨季は材料の木々の切り出しが少し困難で生産量が落ちるとのことだが、一定量は焼き上がっている。

バーンタオ氏はこの地にバーンタオ村をつくろうとしている。先ずは身近なバンコック在住者からメンバーを募り、時々遊びに来る計画。敷地を借り、畑も作る。炭焼き体験もする。緩いコミュニティはこれからの主要テーマだ。面白い。

帰りは渋滞がひどく、また途中で雨も降り、5時間以上掛かってバンコックに戻る。午後9時半にスクンビットのお蕎麦屋さんに辿りつき、鴨南蛮を食べる。久しぶりで実に美味しい。お腹が空いていたからだろうか。幸せな気分で一日を終える。

10月6日(土) 心地の良い2つのカフェ

バンコックには最近日本人経営のカフェがいくつもオープンしていると聞く。今日はご縁のある2つのカフェをはしごした。

1つ目はスクンビット、ソイ49にあるMoss Terrace。8月にオープンしたこのカフェ、閑静な住宅街にある。ただ店内はカフェという雰囲気はない。タイで生産された女性服が並んでいる。本業は服屋さんなのだとか。その横には、数々の珍しい石が並ぶ。ご主人が趣味で集めた物が中心とか。かなりの種類があり、また売るか売らないかはその人の熱意とも聞く。石に秘められた魅力が見える。

水槽の前に座る。ブルーオパールが中に入っているその水槽は、何となく好ましい。いくつか構想が浮かび、何故かメモを出して書き留めていた。面白い。ここだとアイデアが出やすい。でもPCを持ち込んでやってはいけないだろう。頂いた抹茶牛乳がまた素晴らしいミックス。心が少し温まる。そういえば水槽の前で気持ちよく寝込んだ人もいた。

このお店、Aさんご夫妻が開いている。来タイ20年、海外から見た日本など、話題は尽きず、午後5時の閉店時間を大幅にオーバーして居座る。ここはカフェというより、楽しい空間であり、オーナーと来客のコミュニケーションの場であった。お子さんがお小遣いを貯めて、小さな石を買いに来る、何とも嬉しい。

そしてもう1軒は、先日バンコック茶会でお世話になった、シーロムにあるSaladee。僅かしかいないバンコックで今日がもう4回目だ。先日のトルコ旅行、主目的の茶畑訪問が成功した一番の要因は、このお店のオーナーAさんによる紹介だった。茶縁のお礼を兼ねて報告に伺った。

野菜ソムリエのAさん、食事にはスペシャリティがある。赤米のスープ、さっぱりしている。サバが乗ったご飯。豆、野菜などが添えられている。昨年6月に行ったヨーガ合宿、長野県穂高の養生園の料理を少し思い出す。白米を食べず、肉を食べない。体が軽くなるのが分かる。そして暖かいお茶を飲み、ネガティブではない前向きの話をする。実に健康的だ。こういうお店が近くにあると、便利だなと思う。

バンコックには個性的なお店が増えている。こんな空間とのコラボ、望ましいな。

10月30日(火) バンコックのバス

10月は10-29日、中国と日本に行っており、不在。久しぶりのバンコックは雨季が明けたかと思いきや、強烈なスコールが夜中だったり、朝だったり、突如として降り出す不安定な天気。我が宿泊先から最寄りの地下鉄駅まで歩いて10分、かつ交通量の多い道路を信号なしで横断しなければならない。雨でも降ろうものなら、結構シンドイし、かつ暑い。(東京や上海は今がベストシーズン。比べるとバンコックの暑さは際立つ)

宿泊先の直ぐ近くにバスターミナルがある。以前もたまに使用していたが、昨日は午前午後の2度の外出で共にここからバスに乗る。ターミナルには以前は無かった路線ごとの大まかな行先表示看板が出来ており、しかも英語も併記されていたので、初めていくつかの路線の行く先を知る。タイではタイ語が読めないと色々と不便がある。


   

バンコックのバスには何故か無料バスと有料バスがある。それは青色の帯がフロントガラスに表示されており、字が読めなくても分かる。何だか籤引きのような気分でバスを待ち、青が見えると「当たった」と喜ぶ。但し私が払うバス代は赤バス(全線料金共通)で6.5バーツ(日本円15円程度)。実にささやかな喜びである。因みに本日は2回で1回当たりが出た。

私が乗るバスにはエアコンはない。エアコンがあれば料金は倍になるようだ。窓は基本的に空け放たれるが、渋滞に捕まると風が入らず、難渋する。またスコールでも来ようものなら、一斉に窓が閉められ、地獄のように暑くなる。良く見てみると車内に1つだけ扇風機がある。それは運転手のすぐ後ろ。車掌のおばさんもそこへ居着く。私も2回目は運転手の後ろの席をゲット。


   
  

バスはいつ目的地に着くか分からない。バンコックの渋滞は時々とんでもない状態になる。そんな時はバスを降りる。日本ではバス停以外でバスがドアを開けることはないが、ここでは渋滞になれば自然とドアが開き、降りたい人は自由に降りることが出来る。このような柔軟性がタイの良いところ。私も時間を見計らってバスを降り、目的地に向かう。

日本の公共交通機関は高過ぎる。途上国には料金によりいくつものバリエーションがある。私の場合は時間があるので、タクシーやバイクタクシーを止め、バスにしている。一般的なタイ人は今や時間が大切。一番有効なのは渋滞をものともしないバイクタクシーだろう。またタイ人は全般的に言って歩くのが苦手。200mでもバイクタクシーに乗る人がいる。それもまた柔軟性のある社会ということか。タイ人が時間に追われ始めたのを見て、経済発展を感じ、また一抹の寂しさを感じている。

10月31日(水) 中国人経営のプーアール茶荘

9月に開催したバンコック茶会。その会場はBTSチョンノンシー駅から少し歩いたシーロムプラザにあった。そこへ何回か通ううち、BTS駅のすぐ近くにあるお茶屋が気になり始めた。開いていないことも多く、その存在自体が謎となっていた。

バンコック茶会主催者のMさんはいち早く、この茶荘を訪れ、オーナーと交流していた。そして私にもお声が掛かり、訪れることに。オーナーは中国人だと聞いていたので、通訳のようなものか。

お店はなかなか綺麗で、茶器がかなり置かれていた。お茶はプーアールしかない。何だか面白い、こだわりのありそうな店だ。棚にはプーアール茶の茶餅がずらっと並ぶ。見ると易武の茶が多い。これは本格的かもしれない。

オーナーのポーラさんは中国広西壮族自治区、桂林近くの出身。10年前に一家でバンコックに来て、プーアール茶を商っている。聞けば、中国では地元メディアの記者だったとか。またご主人は画家で、現在は北京在住とか。そういえば中国ではこのような文化人で茶好きが多かったな。

彼女は緑茶やウーロン茶を飲み続け、最後にプーアールに辿りつた。これが一番と他の茶は商わない。毎年雲南省を訪れ、仕入れを行う。茶器にもこだわりを持っている。好きが高じて茶荘を開いてしまったようだ。

肝心のお茶は2007年以降の生産が多いが、原料の茶葉は樹齢100年以上の古樹から摘んだ物が多いという。確かに熟茶2種類、生茶1種類を飲ませてもらったが、カビ臭さはなく、飲みやすい物だった。飲む所はカウンターになっているが、今後は変えていくという。2階には12-3人が座れる茶席もあり、有料で貸してくれるらしい。

お客はタイ人、華人、欧米人、日本人と多岐に渡っている。日本人は生茶が好きで、良く通ってくるし、友人達とも連れ立ってくるという。タイ人は健康志向の人、文化的な人が飲んでいる。タイの茶文化事情の一端が分かるかもしれないと思ったが今回は時間切れ。次回再訪しよう。



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