チェンマイ滞在記2023 その3(6)ファーン、そして山奥の村へ

ファーンは小さな街で、歩いて回れる範囲にある。川を渡ると、3つの比較的大きな寺院が見える。寺はいずれも立派で、広々としている。標高は500mほどあり、チェンマイと同じような気候だが、人は殆ど歩いていない。そして教えられたプラチャオファーンへ行く。ここはビルマ軍に攻められた際、ファーン王夫妻が身を投げた井戸がある場所だった。だがその井戸が見付からず、裏の寺なども捜索した結果、ようやく発見した。何しろタイ語が読めないので、さっぱり分からない。いずれにしても、ここファーンは昔は重要な場所だったことは分かる。

それから教会を見た。この付近の山岳民族もキリスト教徒が多いと聞いている。街中にはリンガを信奉する廟なども見られる。また古めかしい木造の建物、商人の店舗もある。数百年前、ビルマ国境の交通の要所として、この地域はかなり栄えたように見える。役所の前の道を行くと、また大勢の人が沿道に出ている。先ほどのお坊さんが来るのを待つ人々が増えているが、残念ながらお坊さんの姿はない。

宿に帰って少し休み、夕飯となる。またまた美味しい料理が出てきて食べ過ぎる。何とも有難い。そしてヨックが『Tale of Tea』という本を貸してくれる。この本の著者はオランダ人で、本当に世界中の茶産地、茶の歴史を訪ね歩いており、そのすべてがこの本に詰まっている。日本についてもかなり詳しく書かれている。英語ということもあるが、興味のある所を10ページほど読むと急に眠気が襲ってきて、ぐっすり寝込む。

2月8日(水)ドイプーメン

翌朝は気持ちよく目覚める。やはりチェンマイと比べても空気が良い。すぐに市場へ出掛けるが、あまり店は出ていない。メイン通りに出ると、やはり漢字の表示が見えてくる。ここにも華人が進出しており、昔の立派な建物が残っている。相変わらず、えらいお坊さんが歩いて来るのを待つ人々が朝から沿道に並んでいる。

朝ご飯は宿でラフ族のお粥を注文。これはタイのジョークとほぼ同じかな。美味しかった。それから店の人にお茶を淹れてもらって飲む。数種類あり、かなり飲みごたえがあった。それから車に乗り込み、山に向かう。すると沿道が大混雑。ついにお坊さんの姿を車の窓から見ることが出来た。まさかこの暑さの中、老僧は元気に、一人ずつ頭を撫でていく。昔善光寺の朝事でされた、あれと同じだった。これには本当に恐れ入った。僧の後ろから沢山の付き人、そして寄付された水などを回収する車が続く。

途中からかなりの山道となる。舗装されておらず、前後に揺さぶられながら登っていく。何とか村に辿り着くと、入口付近は紅ラフと呼ばれる人々の集落。そこを通り過ぎて更に行くと、今回の目的地、黒ラフ集落があった。黒ラフはほぼキリスト教徒だという。村は素朴で、電気も通じていないようだ。

高床の家に入ると、ちょうど囲炉裏で鶏肉や芋などを焼いていた。今日来るフランス人の食事らしい。ヨーロッパ人はこんな生活を好むようで、ホームステイやキャンプに来る人が多いらしい。一方日本人や中国人はこのような原始的な生活には全く興味がない。エコだなんだと言っても、何となく絵空事に見えてしまう。

外ではコーヒー豆が干されていた。その近くには摘まれた茶葉が持ち込まれ、これから機械で細かくされるようだ。更に集落を歩くと古い茶樹が見られ、この付近の茶の歴史はかなり古いと感じられる。その横では摘まれた茶葉が干されている。その向こうにはなんと教会が見える。この風景はあまり見たことがなく、ここの集落を象徴しているようだ。

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