ある日の台北日記2019その2(16)光復前後の歴史は

6月6日(木)
台湾セメントへ

今朝はゆっくりと起きて、お気に入りのサンドイッチを食べに行く。それからU-bikeに乗って国家図書館まで走る。先日見られなかった資料を見るためだ。だが、資料請求しても取り出しまでに2時間もかかるというので、その時間は外出した。今度はMRTに乗って行く。

 

到着したのは中山北路にある台湾セメントビル。ここはその昔、何度も通った場所だったが、今はすっかりきれいに建て替えられている。そこに辜公亮基金会の事務局があると聞いてきたのだ。ビルの1階には京劇の大きなポスターがある。だが人は誰もいない。地下2階に飛び込んでみると、まさに劇団の事務所、といった雰囲気で、役者の卵が出入りしている。

 

そこで声を掛けると、どこかへ電話してくれ、担当が降りてくるという。しばらくして広報担当の女性がやってきた。そう、ここは辜公亮、まさに辜振甫氏の基金会であり、生前京劇が好きで、自らも舞台を踏んでいた氏の遺志を継ぎ、京劇の後継者を育てているのだ。この基金会は20年前に発足しており、辜氏が生前作ったものだった。

 

広報担当女性も20年前からここに勤務しており、かなり詳しい。日本人も多く京劇の公演を見に来てくれていると言いながら、台湾在住日本人にももっと見に来て欲しいという。年に2回、大型の公演があり、その1回が今週末だという忙しい時期にお邪魔してしまった。私はそんなことは全然知らなかった。

 

辜振甫氏と茶業について尋ねると『確かに氏が茶業に携わっていた時期があるが、それを聞かれたのは初めてだ。また正直言うと、これは家業であり、氏が自ら率先して行ったものではなく、グループ企業の1つだった、その責任者として名前が出ているだけではないか』という意見だった。

 

それでも何とか役に立とうとしてくれ、1階にある氏の書斎を再現したスペースで、氏について書かれた本を読み返してみたり、色々と探してくれた。何とも有り難いことだが、この時代については複雑な事情もあったのかもしれない。更には後日辜振甫氏の娘さんにまで聞いたというメールが来たが、答えは特に変わらなかった。どんなお茶が好きだったのか、なども分からず仕舞いだ。光復前後の台湾はやはり謎に包まれている。

 

再度国家図書館に戻って取り寄せた資料を見てみたが、やはりピタッと来るものはなかった。帰りに中正紀念堂の横に回って、写真を撮った。辜振甫氏が舞った舞台がそこにあった。そしてその道の向かいには、数日前にMさんたちと行った魯肉飯屋があり、何となく一人でそこへ入って、また食べてしまった。その後隣の市場に寄ったら、何やら行列ができていた。見ると粽を買う人々。端午節が近づいていた。

 

6月8日(土)
ミャンマー日本食から図書館へ

私には週末も何もないのだが、世の中、週末は何かと忙しい。出掛ける人も多いので、私は大人しくすることにしていた。今日はそんな私をBさんが誘ってくれた。指定された場所は林森付近。日本食とは珍しい、と思ったが、やはりただの和食屋ではなく、実はそこはミャンマー人経営だった。

 

彼らは元々東京にいて、こちらに移ってきたらしい。日本人だと日本語で、台湾人だと国語で対応している。私は彼らにとても興味を持つたが、適度にお客は来るし、第一相手が話したい内容かどうかも分からなかったので、今回は何も聞かなかった。ただ色々と想像してしまったことは事実である。

 

店はちょっと前に東京にもあったような定食屋(洋食屋)のイメージかな。ふらっと一人で入れる。日替わり定食他、一通り何でもあり、値段も200元程度と手ごろなのがよい。私は奮発してたくさん入っている弁当を注文してみたが、満足できる水準だった。これから通って少しずつ謎を解き明かそう。

 

Bさんの方は仕事も順調のようで、最近リリースしたCDをもらった。ただ私にはCDを聞く機器を持ち合わせていなくて困る。若者たちなら、ダウンロードする方法が取られるだろうか。それにしても、台湾温泉音頭、どんどん続いて行くだろうか。ちょっと面白い試みではある。

 

Bさんと別れて、永和の図書館へ行く。週末にここに来るのはどうかと思ったが、時間もないので、来てしまった。週末は5階の日本時代資料の部屋は午後5時で閉まってしまうので、じっくり調べるわけにはいかない。いつものお姐さんにお願いして、探しているものの検索を掛けると、何とあるではないか。急いでコピーを取る。

 

先日の国家図書館にはなかったのに、なぜ別館にあるのだろうか。まあ、理由はともあれ、探し物が一つ片付いた。だが、それにより、さらに追及すべきテーマが浮上する。完全なイタチごっこであり、これは一生終わらないな、とあきらめの境地に入る。それにしても、光復前後の闇は深い。

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