ある日の台北日記2019その2(3)基隆に向かう

《ある日の台北日記2019その2》  2019年4月15日-5月9日

香港、福建の旅で、またまた色々と収穫があり、今後の歴史調査に意欲を持って帰ってきたが、台湾ではどうなるのだろうか。

4月15日(月)
基隆へ

厦門滞在中から体調が優れなかった。食べ過ぎが一番の原因かとも思うのだが、腹の調子は悪くなく、何となく疲れやすいという状況は、一種の怠け病だろうか。取り敢えず台北に逃げ帰れば、ゆっくり養生できると思っていたが、何と帰国翌日は朝から基隆へ向かうことになっていた。

 

それは1か月ぐらい前、一度会ったことがあるAさんから『Hさん夫妻が世界一周クルーズで基隆に来るので、集合してほしい』というメッセージを受け取った。Hさんとは、大学の先輩でもあり、仕事上でも世話になった方なので、駆け付けることにしたのだが、基隆とは。更にはあと二人参加者がいるとのことだったが、それは誰が聞いていなかった。

 

何と先日香港で北京つながりのIさんと会ったら、『10日後に基隆に行く』というではないか。まさかと思い聞いてみると彼女も参加者だった。そうなると思う一人はBさんかもしれないと思い連絡すると『一緒に基隆に行きましょう』となり、台北市内からバスに乗った。

 

基隆行きのバスは市内何か所も乗り場があるらしい。そして40分ぐらいで基隆駅まで来てしまった。いつもは台北駅まで行き電車に乗るのだが、その必要もなくこの便利さには驚いた。基隆駅も新しい駅舎が出来ており、古い駅舎はお役御免のようだ。しかし指定されたレストランはこの駅からかなり遠い海岸線沿いにある。市内バスに乗ると、何となく反対方向に走っている。市内巡回バスだろうか。

 

30分近くかかってようやく目的地に着いた。ただまだ待ち合わせ時間には早いので、周囲を散策した。公園のような場所へ行くと、何と蒋経国の像が立っている。何故ここにこの像があるのかの説明はない。その近くには、プレハブの建物があり、中は海鮮市場になっている。ただ平日の昼間で、お客は殆どおらず、開いている店のおばさんが手持ち無沙汰に声を掛けてくる。小さなハーバーにはヨットが停泊しており、漁船の姿はあまりない。

 

ここのレストランはこの海鮮市場を背景に、週末の観光客を当て込んで作られているようだ。それでも観光バスが停まり、台湾人の団体さんが降りてきてテーブルを囲んでいる。Hさん夫妻も、クルーズ船から降りて、タクシーで駆け付け、我々は集合した6人でテーブルを囲んだ。

 

海鮮料理屋らしく、いけすから選んだ魚やイカが調理され、美味しそうに並んでいた。今回のメンバー、私はH夫人以外、皆知っている人であり、他のメンバーは元々旧知の間柄だから、昔話などに花が咲く。それにしてもよくこのメンバーが基隆に会したものだと感心しきり。やはりご縁というものはあるものだ。

 

H夫妻の世界一周クルーズも、聞いてみるとかなり壮大なもので、3か月を掛けてアジアから地中海を経て、大西洋から北中米にまで至る。かなりの時間を船内で過ごすらしいが、毎回美味しい食事が出て、イベントがあり、食事の席も変わり、その度に新たな出会いもあるようだ。ただ私はその狭い、船内に閉じ込められるのは無理だろうな、と勝手に想像する。今回のクルーズで台湾の寄港は基隆だけ、次はシンガポールだと言い、夕方出港する船に戻って行かれた。

 

我々もタクシーで基隆駅まで戻り、そこからまたちょうど出発するバスで台北駅へ向かう。結局基隆を歩くことはほぼなかったが、なんだか珍しい体験をしたような気分にはなる。香港から来たIさんはAさんの家に泊まると言っていたが、何と台湾入国時に、『日本で買ったカップ牛肉麺をお土産に持ち込んだところ、桃園空港の税関で没収された』と憤慨していた。現在肉製品の台湾への持ち込みは厳しい。桃園空港にも特別専用台が設置され、荷物検査をしていたことを思い出す。ただまさかカップ麺までとは、全く想定外だった。

 

宿泊先に戻ると、もう気力はなく、寝入ってしまった。やはり大陸の旅の直後は知らない間に疲れがたまっている。そして文章を書くなどの作業もたまっている。私のように常に旅をしている者は、当然旅の中で休息を入れないと続かない。そして年齢的にも厳しい状況になっていることに薄々気が付いているが、今のところ知らないフリをしている自分に対して、無理はないかと問いかけている。

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