ある日の埔里日記2017(12)台中の講茶学院

126日(木)
台中の講茶学院

 

本日も旧正月前の駆け込みで、台中へ行く。ちょうど会いたいと思っていた湯さんと連絡が取れ、彼のオフィスへ行くことになったのだ。彼とは昨年、静岡の世界お茶祭りで出会っていたが、その時はゆっくり話も出来ず、彼の活動の全貌を掴むこともなかったので、この機会を利用して、相互理解を深めようという狙いだ。

 

今日は台湾好行バスではなく、全航バスに乗って台中駅に向かった。台中駅に行くには桃園バスで行くこともできるが、乗ったことが無かったので、バスターミナルの外に乗り場がある全航にトライする。料金は特に変わらない。シートはこちらの方がよいかもしれない。ルートは若干違うが、1時間ちょっとで台中駅に到着する。

 

まずは腹ごしらえが必要だったが、駅の近くには意外と食堂が少ない。今や高鐵が中心で、また街の中心は三越や市政府のある場所なので、駅前と言いながら、ちょっと寂しい。ふらふら歩いていると、ベトナムやインドネシア料理の店がいくつかあったが、そこを素通りすると、丸亀製麺が目に入る。その横には吉野家もある。

 

私は日本食がどうしても食べたいと思うことは既に稀になっているが、時々牛丼を食べることはある。丸亀がかなり和のテーストで『あんかけうどん』などを推奨している。一方吉野家は、とみると、何とこちらもうどんがあるではないか。牛丼とのセットのようだが、麺を食べるならやはり隣に行くだろう。私はまた違ったチョイスとして、カレーと牛肉が半々のどんぶりを注文した。これにアイスティーとキムチが付いて、169元。埔里では支払わない金額だが、たまにはいいか。

 

それから湯さんに指示された通り、73番のバスに乗ろうとしたが、バス停でいくら待ってもバスが来ない。よく見ていると反対側をバスが行くではないか。私は反対方向で待っていたことに気が付いたが、そのバス停の位置が分からない。仕方なく駅の旅行センターで聞くと、親切にも若者がスマホで検索してくれ、何とかバス停が分かった。

 

台中市内のバスは面白い。何しろ遊悠カードなどを使えば、10㎞以内は無料なのだ。こんなサービス、見たことがない。地下鉄が通っていないから、と説明されたが、公共サービスとしては異例ではないか。バス路線も発達しており、乗り方さえ分かれば、便利で使いやすい。

 

今回乗ったバス、結構乗客がいる。私が思っている方向とは違う方へ走っていくなど、ちょっとドキドキしたが、30分ほど乗って、無事に目的地に着いた。これで無料なのだから、驚きだ。バス停からは教えられた住所をスマホで探し、歩いて行く。最初の方向さえ間違えなければ、簡単に目的地に着ける。以前は迎えに来てもらうことが多かったが、都会ではもう不要かもしれない。

 

湯さんのオフィス兼家が見付かった。講茶学院という看板が掛かっている。彼はお茶を講義形式で教える学校を主催している。お父さんも姿を見せた。お茶関係ではないが、山で仕事をしていたという。お母さんはお花を教えているらしい。湯さん自身も初めからお茶を目指していた訳ではないらしい。ただお茶に魅せられ、新しい形の仕事として、2008年よりセミナーなどで、お茶の基本を教え、その魅力を伝えている。実際のセミナーは会場を借りて20人ぐらいでやっている。場所も台中だけではなく台北他でも開催している。

 

具体的には台湾茶をワイングラスに入れ、ワインテースティングの要領で香りをかぎ、味わっている。この斬新な手法が鮮やかで、受講者も増えているらしい。また受講した生徒を連れて台湾の各茶産地を回るなど、実地もしっかり行い、その知識を高めている。本人は趣味?で、茶作りを行い、その焙煎技術にはかなり高い物があるようだ。生徒はお茶好きの初心者から、茶農家、茶荘オーナーなど専門家もいるというから、彼の知識は相当に高いものなのだろう。

 

私が台湾茶の歴史に興味があるというと、『我々も今、台湾茶の歴史を発掘し、古老から話を聞き、その保存に勤めている』と言い、実際に訪ねた先を紹介してくれるともいう。これは実にありがたいお話なので、今後支援をしてもらうことにした。台湾においても、その歴史よりは現在のビジネス、という考えが主流であり、どんどん歴史は失われているようだ。取り敢えず、台湾紅茶の歴史を知るため、今回の滞在中に、埔里の紅茶工場に連れて行ってくれるという。

 

帰りも又、バスで戻る。また台中で夕飯を食べようかとも思ったが、バスが来たので、すぐに埔里に戻った。既に都会生活が馴染めなくなってきている。埔里のバスターミナルより前で降りる。前から気になっていた鶏肉飯の店に入る。店はお客でごった返しており、列の一番後ろに並んだが、店内で食べる場合は、そこに並ばず、直接オーダーすることを知る。

 

ここの鶏肉飯、列ができるだけあって、あっさりしていて旨い。キャベツなど野菜も豊富。スープと卵も頼んで80元、これなら週に1回はここで食べようと思う。実に日本人向きの食べ物だった。

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