ある日の埔里日記2017(4)金運高まる紫南宮へ

115日(日)
紫南宮

 

旧正月まであと2週間。今日は大家の葉さんが『出掛けるぞ』というので、一緒に付いていく。どこへ行くのだろうか、相変わらず細かい説明はない。彼の車は日月潭方面へ向かったが、途中で山道に入る。この辺は魚池の茶畑に通じており、過去に通ったこともある。だが今日は、葉さんの身重の奥さんとお子さんも一緒なので、茶畑はないはずだ。

 

車はそのまま山道を通り抜け、水里へ出た。日曜日ということもあり、日月潭の混雑を避けたのかもしれない。水里は日本統治時代に発電所が作られた場所で、当時は栄えていたらしい。現在は川沿いの小さな街、という印象だった。

 

その濁水渓沿いを走っていくと目的地の紫南宮があった。竹山に属するらしい。そういえば昨年鹿谷から南投市へ向かう途中に通り過ぎた気がする。葉さんは駐車スペースを探していたが、なかなか見つからない。なんでこんなに人がいるんだ、とビックリするほど、参拝者が多いのだ。まずはトイレに向かう。既にここが観光名所だと言われる。7つ星トイレ、と書かれている。竹山名物、筍の形をしている。確かにきれいで広く、立派なトイレだとは思うが、7つ星とはどうだろうか。

 

この宮は昔からあるのだろうか。縁起を見てもよくわからない。1800年頃清の乾隆帝の後継者嘉慶帝ゆかりの宮となっているが、それはさすがに伝説だろう。現在の建物は1980年頃建てられたらしい。ではなぜここに人が沢山来るのだろう。それは福徳金と呼ばれる借入ができるかららしい。600元を上限に、身分証を出せば、誰でも無担保で借りることができる資金だという。

 

これは宮のお金を貧しい人々の起業資金に充てようということで始まったらしい。だが現在600元では何もできない。それでも人が来るのは、ここが商売繁盛、事業の成功を祈る場所だからだ。資金を借りた人は、いつ返済してもよい。中には事業がうまくいき、200元借りて、20万元を返しに来た人もいたという。そんな話が人気の秘密だ。

 

今日も大勢の人がお金を借りていた。外国人でもパスポートを出せば貸してくれるかも、と言われたが、返せる当てもなく、遠慮しておいた。この時期は1年の感謝を込めて返済に来る人が多いようで、長蛇の列ができていた。やはり御利益はあるのだろう。また本殿は祈りを捧げる人々でごった返し、線香の煙が立ち込めていた。

 

聞いたところによると、この小さな宮に正月には7万人もの人が押し寄せたらしい。今日我々が来たのも、混雑を避けての前倒し参拝だった。こんな宮、日本にはないだろうな。最後に葉さんは金鶏のレプリカを買い込んだ。これを店に飾れば商売繁盛となるらしい。宮の横には大きな金鶏の像があり、皆がここへ来てその像に触っている。やはりここは金運の宮だった。

 

帰りはなぜか別の道を走っている。どこへ行くのかなと思っていると、草屯という街へやって来た。この地名はバスターミナルで見たことはあるが、来たことはなかった。夕暮れ時、大通りの裏に大きな古い木があった。その木の下で、屋台をやっている。そこで夕飯を食べた。

 

店のおばさんはぶっきら棒だったが、地瓜の揚げ物や、野菜・豆腐たっぷりのスープはえらく旨かった。ここが美味しいからとわざわざ寄り道したらしい。この独特の雰囲気の下で食べる、地元の食べ物、なかなか良い。今日一日で何となく運が向いてきた、と思う私だが、特にお祈りすらしていないので、それはあり得ない、と思われる。

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