NHKテレビで中国語コラム『アジアで中国語を使ってみた』2013年5月号第2回『タイ北部・ミャンマー北東部』

第2回『タイ北部・ミャンマー北東部』

「タイにお茶を飲む文化はあるのか」、これは筆者のタイに関する最大の関心事です。実際、バンコクでお茶屋さんはほとんど見かけませんし、喫茶店もあまりありません。タイに長く住む華人はお茶を飲まなかったのでしょうか。バンコクの中心、ラマ4 世通りにひっそりとお茶屋さんが建っていました。お店のおばあさんはバンコク生まれの2 世。お茶の店は50 年以上前にお父さんが開業したといいます。華人学校で学んだと、中国語で話す彼女。「お茶は全て大陸から来るんだよ」と教えてくれました。近所の華人が常連客だそうです。

実はタイの北部にはおいしいウーロン茶が作られている場所があります。タイ産のウーロン茶というとタイに住む日本人でも知る人は少ないのですが、筆者が訪れたメーサローンはバンコクから飛行機に乗って1 時間、タイ北部チェンライから車で1 時間半、標高1200m の高原地帯にあり、山の斜面一面に茶畑が広がる風光明美な観光地でした。

メーサローンの街では、どこでもお茶を売っています。そしてほとんどの人が中国語を話せます。タイ語ができない筆者にとっては、何とも居心地の良い場所、読者のみなさんも、台湾の技術で作られた、歴史的に極めてユニークなメーサローンの茶園経営者 中国系母子のウーロン茶を是非現地でお試しください。タイ語ができなくても中国語で楽しく滞在できること請け合いです。

そういえばタイ北部とミャンマー北東部は地続きであり、ミャンマーのシャン州でも茶畑が多く見られます。ミャンマーでは緑茶を生産していますが、この地では、何とお茶は食べる物でもあるのです。お茶の葉を塩漬けにしたもので、日本で言えば漬物のような感覚です。さらに、小エビやゴマなどと混ぜて、ミャンマーの女性がよくお茶請けとして食べている姿が見られます。

以前ミャンマーの茶畑を訪れた際、ミャンマーの人に通訳を頼みましたが、彼女もお茶の専門家ではなく、訳にかなり苦しんでいました。しかしよく聞いてみるとその茶農家の青年は中国系。後は全て中国語で話が済み、通訳不要となったということもありました。

彼のお父さんは40 年前に雲南省からミャンマーに移住、茶作りを始めたそうですが、実にきれいな標準的な発音で説明してくれたのが、いまだに印象に残っています。渋みのあるお茶を味わいながら、タイやミャンマーの北部と中国西南部の近さを実感するのもいいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です