新疆南路を行く2012(7)ウルムチ・太原 新疆のお茶はどこから

8月22日(水)  (2)遂に羊スープ

翌日N教授一行の帰国を見送り、一人になった。兎に角一人になればやりたいことは1つ。羊スープを飲むことだった。歩いてウイグル人が多く住む地域へ行く。豊富なフルーツを売る店があり、羊が吊るされている肉屋も露天になっていた。何となく近づいてきている。

横道に入ると、ケバブを焼く店があり、ポーラが大鍋で作られている。あったあった、店の前にドラム缶を出し、羊肉を豪快に湯がいていた。そして肉は外へ出し、そのスープを美味しく頂く。

ベーグルのようなナンを頼み、スープに浸して食べる。ウマい。スープは本当にコクがある。肉も柔らかい。幸せだな、と思う。この暑い新疆で熱いスープを飲む。暑い時は熱い物が良いのかもしれない。これで15元はやはり安い。周辺の店の雰囲気も良い。このようなウイグル人居住区はいつまでも残っていて欲しい。

(3)レンガ茶

ウイグル人居住地区にはお茶屋さんもいくつかあった。現在流行っているお茶は雪菊茶。有機とか、高山とかという言葉も踊るが、何となく敬遠してしまう。実はこのお茶、健康に良いという触れ込みで、内地中国人が高値で買っていたようだが、その後価格が30分の1に大暴落したとのニュースが後日あった。お茶の投機とは如何なものだろうか。ただ中国人の健康志向は本物かもしれない。

Oさんと落ち合い、先日閉まっていたレンガ茶の専門店へ向かう。レンガ茶はウイグル人の生活必需品ということで、どこでも売っているのだが、それは廉価な日用品。この店は昨今の黒茶ブームに合わせて、比較的高級な黒茶を販売している。2年前に出来たというから、所得が向上した結果なのだろう。

この店は新疆出身の漢族が経営している。現在新疆において黒茶の販売が伸びていることなどは丁寧に教えてくれたが、一体なぜ新疆でこれだけレンガ茶が飲まれているのか、その歴史について尋ねると「俺たちはこの工場から茶を買っている。詳しいことはそこへ行って聞け」と1枚のパンフレットを渡される。

その工場は何と湖南省にあった。私は9月からバンコック滞在となり、当分中国ともご縁が無いだろうから、行くこともないだろうと思っていたが、実はその2か月後にはその工場を訪問していたのだから、人の運命は分からない。兎に角、新疆でのお茶調査は完全に失敗に終わってしまった。

8月23日(木)   (4)揺れる新疆(心境)

何となく、静かな熱狂?の中、新疆滞在が終了した。今回が3回目の新疆であったが、大学の調査団もこれにて一度終了ということで、今後新疆を再訪する機会があるかどうか分からない。それでもふつうは1度、良くても2度くらいしか行かない地域に3回も来られたことに感謝せねば、と思う。

再び空港へ向かう。前回は大渋滞に巻き込まれ、かなり慌てたので、今回は早めにタクシーに乗る。ところが早めに行動するとなぜかスムーズに行ってしまい、早く到着してしまう。人間のやることは上手く出来てはいない。

セキュリティチェックも、空港内部ももうかなり慣れており、スムーズに運ぶ。ただこの空港ではWIFIが無い。メールチェックなどは出来ない。新疆は相変わらず、揺れている。秋の党大会へ向けて、一層警備は厳しくなるだろう。さよなら、新疆。

【番外編】太原へ行く

ウルムチから飛行機に乗り、真っ直ぐに北京に向かわず、山西省太原へ行った。何故そんな所へ行ったのか。実は中国全省、直轄都市で行っていなかったのが山西省だけだったから。何とも単純な理由だが、取り敢えずこれで所謂全省制覇をしたことになる。思えば1986年9月に留学のために降り立った上海を皮切りに、26年掛かったことになる。

途中まではそれを意識していたが、2000年に北京に駐在していた時、理由もなく各省、都市に行っても意味がない、と思い、茶旅を始めた。茶の産地はある程度南に偏っているため、最後に山西が残った。しかし山西と言えば、北京の直ぐ隣。一度は山西へ行こうと誘われ、長城を超えて、あと一歩の所まで行ったが、何故か戻ってきてしまった。宿泊した都市は正確ではないが、100ぐらいであろう。よくぞ、行ったものだ。

8月23日(木)   太原の空は青かった

山西省と言えば、石炭の産地。成金も一杯いて、お金のある印象がある。同時に大気汚染がひどく、空はいつも澱んでおり、あまり行きたい場所ではない、と思っていた。それが空港に着いて空を見上げると、真っ青な青空だった。タクシーに乗り込み、運転手に聞くと「昔はひどかったが、今はよくなったよ」と簡単に言う。そんな魔法のような話があるのだろうか。中国政府も山西の汚染は看過できずに世銀などの資金も使い、浄化に務めたということだが。百聞は一見に如かず。

そして空港から市内へ入る道路の周囲は、今が開発ラッシュ。新しいマンションがごっそりできており、まだ建設中のものも多く見られる。山西は石炭成金が多く、北京や上海など大都市のマンション、ビルなどをかなり買っていると聞いたが、地元ではこれから不動産ブームが起こるのだろうか。ちょっと意外な気がした。最高級マンションが㎡/2万元、程度とのこと。北京の平均値以下であり、どうなんだろうか。
はたまた不動産価格が上がらない、開発が遅れていたのは、やはり環境汚染のせいなのだろうか。そうであれば、十分に価格上昇の余地があることになるが、投資規制などはよく分からない。

コラム → http://www.yyisland.com/yy/terakoyachina/item/5257




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