シベリア鉄道で茶旅する2016(15)イルクーツクまで走ってみたが

それから駅周辺を散策したが、本当に店は一軒も開いてはいなかった。線路沿いにも歩いて見たが、馬の一団が前を歩いていくのが、興をそそられた。線路の上を見ると、何と牛の一団もいた。だが駱駝はいない。牛は牛乳用か、馬は荷物を運ぶのか、どうなんだろうか。もうモンゴル高原を渡る駱駝は不要となったのだろうか。駅舎へ行くと、待合室には若い兵士が沢山座っていた。兵役についている若者なのだろう。その顔は白人ではなく、極東系が多かった。彼らが戦闘をする機会がないことを祈る。

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売店に行くとカップ麺が食べられるようになっていた。よく見るとピロシキが売られていたので、お茶と合わせて買って食べる。店員はやる気なく座っていたが、ピロシキをレンジでチンしてくれた。トイレはホームにあるというので行ってみる。ロシアも駅の出入りは自由、ホームへも簡単に立ち入れる。ホームの一番端にトイレがあった。お金を払う場所があったが、人はいなかった。線路には雪がかなり積もっていた。

 

イルクーツクまで

列車が入ってきた。この駅はモンゴルから入るシベリア鉄道のロシア最初の駅、どこで入国審査をしたのだろうか。全てが車内で済まされたのだろうか。我々は線路を跨いで向こう側へ行き、車掌に切符を見せる。何と我々が乗る車両を確認することもできないので、聞くしかなかったのだ。パスポートチェックも行われる。車内に上がると、そこはモンゴル内で乗った、慣れ親しんだ三等車だった。私の席は通路横の上下席の下。ロシア人女性が向かいに座ったが、すぐに上に上がってしまった。さあ、ここからはまさにシベリア鉄道、イルクーツクまでの一夜旅だった。

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モンゴルの国内列車とは異なり、満員ではなかったが、それでも乗客はそこそこ乗っていた。窓の外を眺めるが、ただただ雪に覆われた草原が見えるだけ。時折森林も通過する。車両もよく知っているし、食堂車は付いていないし、退屈な時間が流れる。充電のためのコンセントは1両に1つしか付いていないので、スマホをずっといじることもできない。途中5822、という駅名が見えた。こんな名前初めてだ。これは恐らくはモスクワから5822㎞、という意味ではないだろうか。昔シベリア送りになった囚人が思いをはせたのだろうか。3時間ぐらい乗ると、ザゴウステイという名の駅で停まったので、降りてみる。駅名が英語、というのがモンゴルとは違っていてよい。この駅では乗り降りがかなりあった。古い監視塔のような建物が見えたが、周囲には何もない。

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列車が走り出すと、また退屈な時間がスタートする。お湯だけは無料なので、夕飯にカップ麺をすすると、もう後はやることはなかった。ロシア人乗客も思い思いの夕飯を持参してきており、黙々と食べ、黙々と寝ている。憧れのシベリア鉄道に乗るということは、特に夜は退屈との闘いなのだ、とこの時はっきりと認識したが、我々の旅はここからまだ100時間近く残っている。何とも絶望的な数字が、夜の闇に消えていく。

 

夜9時半ごろ、相当大きな街に着いた。大規模な工場も見えている。ウランウデ、ここがブリヤート共和国の中心都市であり、万里茶路で荷物を運んだブリヤート人の街だと知ったのは後になってからだった。既に配られたシーツを敷き、掛け布団を被っていたが、あまりの規模なので、急いで靴を履いて降りてみる。売店に行くと魚の燻製なども置かれていたが、もう寝る時間であり、起きればイルクーツクなので、何も買わずに過ぎた。

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ここで出ると全員が眠りに就いた。いびきが凄いロシア人もいたが、総じて安眠できた。ロシア人は大柄の人が多く、上の段で寝るのは大変だろうと思ったが、かなり起用に上によじ登り、体をうまく入れて、体勢を整えていた。結構慣れている人が多いのかもしれない。これだけ満員だとトイレの心配もあったが、特に水分を多くとっていないこともあり、問題にはならなかった。普段は以下のお茶を飲み過ぎているのか、ということを思い知らされた。

 

3月13日(日)
5. イルクーツク
街歩き

翌朝は未だうっすらと明るい段階で皆が起き始めたので、一緒に起きる。私がシーツと掛け布団を丸めて、車掌に返し、下の席を片付けるとおばさんも降りてきて外を眺めながら座る。その内に川が見えてきて、更には橋が見えてきた。ここがシベリアの中央部に位置するイルクーツクであることは、容易にわかった。ついに16時間の旅が終わり、下車する時が来た。まだ眠いが、列車から降りられる喜びの方が勝っていた。

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午前6時過ぎに列車が停まり、ホームに足をつけた。それほど寒さは感じなかった。地下道を通り、駅のメインビルへ向かう。さて、今日はどこに泊まるのかな、と思っていると、いつものルーティーンで駅の切符売り場に着く。そして次の目的地、クラスノヤルスク行きの切符を購入する。何と今日の午後の切符が買えてしまった。順調だ、とほほ笑むS氏を尻目に複雑な気分になる。折角このシベリアの大都市に辿り着いたのに、滞在はわずか半日、そしてまた列車に乗らなければならないなんて。

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