シベリア鉄道で茶旅する2016(2)北京 切符が買えず行き詰る

 空港も当然閑散としていた。そこへ早くもS氏がやってきた。自宅から電車に乗っても5:30に来られるのは強い。もっと家が近いNさんも続いてやってきたので、すぐに集合終了となり、チェックインした。そして7:05発のエアチャイナは予定通りに出発した。実はこの便、12月の時も利用しようと予約したが、欠航となり、午後便に振り替えられた経緯がある。こんな朝早い便に乗る人は少ない。今日も乗客は半分程度。だから安いわけだ。爆買い観光客に荷物を占拠されることもなく、実にゆったりと座れた。S氏はと探すと、すでに3列シートで熟睡していた。この技が体力を支えている。私には到底できない。

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2. 北京
北京空港から

定刻10時には北京空港に到着した。全てが順調だった。入国審査のゲートは殆ど開いていないが、そんなに早い到着便はないのだろう。だが、荷物検査は厳重を極めていた。いつもならスーッと通れる税関で、全ての荷物がX線検査されており、かなり長い列ができていた。これはテロ対策、いや開催中の両会(全人代と政治協商会議)のせいであろう。11時前にようやく解放され、空港を出ることができた。

 

私ならここから真っすぐ予約してあるホテルへ向かう。そのために空港線の駅のすぐ近くにわざわざ宿を押さえていた。だがS氏の旅の手法は『まず次の目的地へ行くためのチケットを押さえる』というもので、北京駅へ向かうことになる。私は重い荷物を持って駅へ行くのは気が進まないが、S氏はそのような事態を見越して、この長旅に驚くほどの軽装であった。空港から北京駅までリムジンバスが出ていた。一人24元。もしタクシーで行っても100元はかからないから、バスで行くのはやはりネタ作りだろうか。バスは20分に一本は走っており、空席がある中、出発した。だが第1・2ターミナルを回り、満員となる。

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冬の北京、道路は混んでいないのに、駅まで1時間もかかる。これはターミナルを回るごとに長時間停まるという非効率から来ている。それにしても空は驚くほどの快晴だった。こんな気持ちの良い、大気汚染の全くない北京は久しぶりだ。これも両会のお陰かと思うと、政治も善し悪しだな。後に聞いてみると、我々が来たこの日は快晴だったが、前日までは汚染がひどかったそうだ。北京は未だに暖房に練炭を使うのだろうか。この快晴は両会のお陰ではなく、前日吹き荒れた春の嵐のお陰だったらしい。既に北京の大気汚染は政治では止められない、と言われた。

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北京駅で

駅の横にバスが着く。荷物を取り出し、駅へ向かう。相変わらず、雑然とした光景が広がる。ホテルの客引きなどが声を掛けてくるが、我々は真っすぐに一番端にある切符売場へ向かった。中国では切符を買いに入るのでさえ、荷物検査がある。そして中は80年代かと見まがうほどに暗く、そして各窓口には長い列ができていた。最近はネット予約も可能なのに、なぜこんなに混んでいるのだろうか。それが中国だ。Nさんが一番端の質問を受け付けそうな?窓口へ並ぶ。我々は、どのルートを選択するか、いやどの駅で降りるか、降りられるかで迷っていた。

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取り敢えずモンゴル国境のエレンホトまでの切符を買おうとしたが、何と答えは『没有』。それも明日も明後日もない。しかもこの列車は週に僅か2便しかなく、まさか来週まで待つわけにもいかない。突然この旅は一気に暗礁に乗ら上げてしまった。3人で作戦会議をしたが妙案は出ない。まずは張家口まで行ってそこで様子を見る、という手もあったが、S氏は『これは何だか危険な感じだ』と直感的に口にする。Nさんが『それなら国際列車でウランバートルまで行くしかないですかね』と言ったので、そのチケットはあるのか、もう一度確かめる。ところが『国際列車のチケットは国際旅行社だよ』と窓口が答えたので、またまた80年代の気分になってしまった。

 

相当の危機感を持ちながら、北京駅から国際旅行社のある国際飯店まで歩く。荷物が重い。心も重い。ここで買えなかったら、この旅は今日、終わってしまうのだろうか。なんで鉄道縛りなんだ、バスなら何とかあるはずだ、との思いを胸に秘め、陸橋を越えて、歩いていく。しかし嫌な予感がしていた。警官の数も普段より多い。そうだ、今は両会なんだ。ということは、昔駐在していた時の経験からすると、長安街にあるホテルは閉鎖のはずだが。

 

両会で閉まっていたホテル

行ってみるとその予感は見事に当たっており、国際飯店の門は完全にしまっていた。ここで我々の旅は全ての道を失った。しかしここで諦める訳にはいかない。ホテルの周囲をフラフラと歩いて見る。どこかに入る道があるはずだ。すると西門があった。そこも厳重な警備が敷かれており、我々部外者の出入りは制限されていた。ここは従業員や業者の出入り口らしい。何となく見ていると、そこの壁に張り紙があった。英語で書かれている。読んでみると国際列車のチケットを買いたい者は電話を掛けろ、とある。但し営業時間は13:30からだったので、まだ少し早い。取り敢えずホテルへ向かうことにした。

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