鉈先生と行く雲南ラオス茨の道2016(6)喬木古茶樹を発見

 古茶樹発見

細い坂の道を下っていくと、そこには確かに茶畑が存在した。だが勿論、人工的に植えられたものであり、樹齢もそれほど古いとは思えない。作業小屋もあり、ここに人が来て、茶畑を管理していることが分かる。こんな山の中に一体誰が、どこから来るというのだろうか。

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その向こうにヒョロヒョロと背の高い木が見えた。村長が『あれが樹齢数百年の古茶樹だ』という。確かにかなりの高さがある。茶葉は上の方にしかなく、肉眼で見ることができない。カメラのレンズを通してみると、意外にも葉が小さい。喬木の小葉種とは珍しい。葉っぱが見てみたいというと、村長がガイド役の少年に指示、彼はスルスルと木を登り、難なく葉っぱを採って降りてきた。これはすごい。きっと木登りは遊びであり、慣れているのだろう。

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彼はちゃんと一芯三葉で、きれいに葉を摘んできた。これは茶摘みにも慣れている証拠だった。鉈先生は『喬木の小葉種』などを見たことがある日本人などいないのではないか、と言い出す。しかしその樹齢もよくわからないし、ここにある理由も不明だ。この付近も40年前に移住した際、植えられたものが多いというが、この喬木はその前から生えていたのだろう。

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小屋では昼飯の準備が始まる。村から持ってきた生の豚肉の塊をその辺に木に刺して焼く。村長はあっという間に火を熾し、肉の塊を掲げた。昔あった丸大ハムのCMを思い出す。持参した岩塩をふるのもワイルドだ。焼きあがった肉はジュージューと音を立てて、かなり熱い。その塊を大きなハサミで切る。これは本当にすごい作業だ。兎に角あるもので何とかする。食べられるサイズに切ると、バナナの葉の上に乗せ、後は各自が口に入れるだけだ。なぜかその辺から人が出てきて、もち米ご飯を置いていくのが不思議。水も天然の湧水を飲む。

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その肉は何ともうまかった。もち米と肉、そのシンプルさがよい。少年は何も食べずに、向こうで何かしている。村での生活は一日二食だと言って、食べないのだそうだ。あれだけの山道を歩いてきて、途中の沢で水をすくって飲むだけとは、なんとも驚き入る。単に遠慮しているだけなのだろうか。まあ、慣れない外国人と一緒で彼は彼なりに緊張しているかもしれない。

 

帰りはだいぶ余裕が出てきた。周囲の花が目に入り、写真に収めることができた。その種類は1つや2つではない。恐らく植物学の世界でお宝と思われる草花が生えていることだろう。自分の専門性のなさを嘆いても仕方がない。1時間半ほど、ふらふらと歩いていく。途中、少年と若者が、急に山中に分け入る。見ていると、野生の鶏?がおり、なんとそれを捕まえようとしていた。今夜のおかずを想定しているのだろうか。真剣そのもの表情だった。ただ敵もそう簡単に捕まるものではない。かなりの素早さで逃げていく。

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平地に出ると、向こうに煙が上がっている。焼き畑農業が行われている。焼き畑農業はヤオ族の得意分野であり、焼き畑とお茶についてもたびたび指摘されている。遅れ気味に歩いていた鉈先生がついにダウン寸前になる。フラフラ、ヨロヨロ、まるで夢遊病者のように歩いてくる。その前に立ちはだかる小川。靴をずっぽり入れないと渡ることはできず、びしょびしょになる。それでも無事に生還したことが嬉しい。

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村に戻るとお婆さんが何事もなかったように孫と遊んでいた。そして午前中に干されていた茶葉は日陰に移されている。作りたての茶葉を使って淹れた茶を飲む。乾いた喉には何とも心地よい。村長は電波が戻ってきたので、盛んにスマホをいじっている。また茶葉の注文が中国から来たのかもしれない。持っていたバナナを皆で食べると生きた心地がした。ちゃんとした食料も持たずに山中に分け入ったことを深く反省した。それにしても体が重い。犬が実に気持ちよさそうに地面に寝ころんでいた。

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分岐点に泊まる

それから車に乗り、来た道を帰っていく。ガソリンスタンド脇で村長たちは置いていた自分たちのバイクに乗り別れた。烏太までやってきて、そこから我々は一路、中国国境を目指して、来た道の逆走を本格的に始めた。後部座席でウトウトするが、眠れない。なんでもいいから冷たい飲み物が欲しい。車を道路脇の店に停めて、中を見てみると冷蔵庫があった。コーラを取り出しごくごく飲む。乾きは相当に来ていた。

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烏太から車で約2時間、ようやくポンサリー-ウドムサイを結ぶ国道本線に戻ってきた。ただもうあたりは暗くなり、さほど前には進めない感じだった。疲労もピークに達していた。取り敢えず腹ごしらえをと入ったレストランは珍しくラオス系であり、意思疎通が難しかった。

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出てきた料理は何とも言えない代物だった。例えば卵と白菜の炒め物、ただボヤーッとした感じで、とにかく味の素の味がした。それはこれまでレストランで食べてきた料理がほぼ中華系であったことにより、ラオスの食べ物の味が分かっていなかったことを意味する。よい経験だったと言えよう。

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