茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(5)シンホ村の市場で

5.シンホ

シンホ村まで

ホテルをチェックアウトして、最終目的であるシンホ村を目指して出発した。川には霧がかかり、周囲は見え難い。川はせき止められ、ダムになっているように見える。そこから道を上っていく。山も霧で溢れている。朝、山に霧がかかっている、そこに茶畑がある、というのがこれまでの1つのパターンだったのだが、今回は残念ながらどこまで行っても茶畑が見えることはなかった。時間が経つにつれて、霧が晴れてきた。眼下の景色がとてもよくなる。豚が囲いで飼われていた。

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2時間ほど、きれいに舗装された道を車に揺られて行くと、標高1500mのシンホに着いてしまった。何とも呆気ない。そこには村があり、商店なども見えた。そして宿泊するホテルも、昨晩のリゾートホテルほどではないが、このあたりにしてはかなり立派な造りだった。前回はこんなホテルはなかったということで、M先生も驚いていた。サバイバルはなくなった。

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ここでも、心配は杞憂に終わった。そればかりか、ネット環境は昨日より遥かに良く、スピードが速い。ただスマホはロビーでないと入らないことが多かったが。M先生やTさんは階段を上がるのが大変、ということで1階の部屋に。私とSさんは相変わらず同室のまま、2階へ。2階の部屋でも、ネットが繋がったので、ここに4泊する身としては大変助かった。

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市場で

時間はまだ午前中。昼ご飯前に散歩方々、市場見学に向かう。この市場には少数民族の女性たちも商品を並べて売っていた。M先生は前回この市場で仲良くなったモン族のおばさんの写真を持って、再会すべく訪ねたが、見付けることは出来なかった。Sさんは得意の切り込みで、生薬や民族服を探している。

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私は何となく、ハノイ空港のターンテーブルから出てきた柿を思い出し、そこに売っていた柿を手に取る。値段は分からないが、そんなに高くないだろうと、3つほど選んで、ミカンと一緒に買いたい、という仕草をすると、そこのおばさんが、何か言ったが分からない。1万ドン札を出して見せると、何と5万ドンだと言いながら、私の5万ドン札を奪っていった。

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これが高いのか安いのかよく分からなかったが、ガイドは明らかに高い、と後で言っていた。但し彼は市場で通訳する際は、顧客である我々の立場よりも、売り手の立場を尊重しているように見えた。何となく80年代の中国を思い出す。『あんたらはお金があるんだから、多少高くても払ってあげないよ』という雰囲気がある。

 

中国だとこの考えには反発する私だが、少数民族に対しては、寛容になるようにしている。その昔チベットへ行った時、不要の物を売りつけられ、要らないといえずに、ものすごく安い値段を告げると、相手のチベット人が『それでいい』と言って品物を置いていったことがある。彼女はそこまで現金を必要としていたわけで、私はそこに付けこんだ外国人になってしまったのだ。ものすごく後悔した、そのトラウマがある。漢族なら存する取引は絶対にしない、という思い込みがあったが、少数民族は事情が異なる、ということを肝に銘じた。

 

昼ご飯を食べる為にホテルに戻る。個室に入ると蒸した魚が出てきた。昼からすごいな、と思ったが、これは正直美味しいとは言えない。むしろ茹でた内臓などが、味があってウマイ。魚は貴重だから、歓迎のしるしだったのだろうが、地元の野菜などが食べたいと思った。だが何故か野菜は乏しい。

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このホテルにはフランス人の男女が3人泊っていた。何と下から自転車で上がってきたという。車で来た我々は呆気ないと感じた道だったが、自転車で上がるとなるとそれは大変だ。しかも彼らにとって、ここは特に見るべきものがある場所でもない。旅にも色々なスタイルがある。

 

午後、やることがないので、再度市場へ行く。我々はこの時点では自由に動くことができなかった。何と今回の旅には公安が1人付いてくるというのだ。我々が危険な存在かどうかは別にして、国境に比較的近い場所での外国人の活動には一応警戒しているのだろう。さすが社会主義国、ちょっと緊張する。

 

市場ではUさんがおばさんたちに捕まり、『あれ買え、これが似合う』と言っては、服や小物、飾り物など色々なものを持ち込まれていた。それでもUさんは笑顔で応対している。言葉はほぼ通じていないのに、適応力の高い人だ。SさんもUさんも直ぐに現地に馴染める、そして現地の素晴らしい物を探し出してくる。私にはできない業だ。その間に私は市場をくまなく歩く。 

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帰りにSさんがある店で立ち止まった。見てみると包丁や鉈を売っている。普通の日本人でこれに反応する人は少ないが、彼は熱心に見始めた。見るだけだと思っていると、なんとこれを購入した。おじさんとは言葉は通じないが、笑顔で値段交渉までしている。このようなさり気ない日用道具に素晴らしいものがあるというのだが、私にはちっとも分からない。

 

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