茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(4)ムンライのリゾートホテル

4.ムンライ

車で3時間

ディエンビエンフーから本日の目的地、ムンライという街へ向かって進む。私はそこがどんなところかは知らない。ただ車に揺られていくだけの気ままな旅だ。ツアーに対する文句をいくつか書いてきたが、勿論いいこともある。その筆頭が、自分で何も考えなくても、目的地まで自動的に運ばれていくことだろうか。プレッシャーがない旅、これは何とも気持ち的に楽だ。しかも同行してくれる仲間がいるので、おしゃべりしたりして退屈はしない。

 

初めは水田が広がっていた。稲作はタイ族が持ち込み、今もこの地に住んで、行っているという。ベトナムはキン族が80%以上を占めているはずだが、ここは既に中国で言うところの少数民族地域に入っているのだ。道は徐々に上りになってきて、茶畑へ向かう気分が出てきた。だが眼下に見えるのは水田ばかり。タイ族の占める土地が多いことがよく分かる。

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そして山の中の一部から突然煙が見えた。皆が一斉に車から飛び降りる。後から着いて行くと『焼き畑だ!』と声が掛かる。山の斜面が燃えている。これが焼き畑農業か、教科書では見たことがあるが、実際に目にするのは初めてだ。M先生らは興味深そうに眺めている。私はシャッターを押しながら、見る。茶のキーワードは焼き畑だ、そんな声が聞こえてくる。

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焼畑を辞書で引くと『伐採・焼却等の方法を用いることによって整地し、耕耘・施肥を行わず、短期間作物の栽培を行った後、農地を一定期間放置して地力を回復させる農法』ということであるが、現代の我々は何となく、煙を出すなどよくない農法のような印象を持ってしまっている。だがこのベトナムのこの田舎で見ていると、歴史的にはこのような伝統的な手法が必要だった、自然と調和した農法だったのではないか、などと思えてくるから不思議だ。

 

また少し行くと、少数民族、モン族の女性たちが道端で何かを売っていた。近づいてみると、どうやら山で採れた、芋や漢方の生薬のようなものが置かれている。野菜などではなく、一種の薬を売っているとも言えそうだ。中には刺繍をしている人もいて、暇なときはずっと手を動かしている。自分たちの着るものは自分たちの手で作る、何だか遥か昔の日本のお母さん、というイメージが重なる。

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しかしこの道をそんなにたくさんの車が通るのだろうか。ベトナム人が買って行くのだろうか、ちょっと心配になってくる。カメラを向けると、嫌がられる。運転手が地元の言葉で話している。何とも素朴な光景である。Sさんはお茶を商っているが、実は生薬や民族服にも興味があるようで、一生懸命物色している。お婆さんが着ている古い服の刺繍に一番興味があるようで、今にもお婆さんの服を脱がせてしまうのではないかと、こちらも心配になる。

 

リゾートホテル

ディエンビエンフーを出て3時間ほどで、今日の宿泊先、ムンライに到着した。この街の郊外、川沿いに何とリゾートホテルがあった。今日からは山の中、どんなところで寝るのか、寝袋無くて大丈夫か、サバイバルだな、などとワクワクしていた私はちょっと拍子抜け。部屋に入ると、立派なベッドがあり、何とバスタブまで用意されていた。庭には大きなプールまである。何だ、快適じゃない!ここはベトナム人のお金のある人が来るリゾートらしいが、お客の姿は全く見えない。今はシーズンオフなのだろうか。

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部屋で休んでいると、あっという間に暗くなってきた。一番心配していたのはインターネット環境だったが、何とか部屋でも繋がったので、ついそちらの処理をしている間に夜が訪れていた。この付近には民家もない。道路があり、その向こうは川。静かな環境だったが、広い敷地に人影もなく、ちょっと寂しい。

 

食事の場所もかなり広いホールだったが、お客は我々しかないので、丸テーブル1つが使われるのみ。いや、ガイドと運転手のテーブルを入れて2つのみで、かなり寂しい状況だった。食事は肉や野菜の炒め物、焼きそばなど、中華系の料理であり、我々の口に合っていた。地元に人はどんなものを食べているのだろうか。デザートに出てきたバナナが余りにも大きいので驚く。お茶は例の渋めの緑茶。

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部屋に戻り、風呂に入ってみる。きれいなバスタブ、お湯が出るかなと試してみると熱い湯が出たので、早速バスタブに入って湯を溜めようとしたところ、熱い湯しか出ない上、その湯が足にかかって来て危うく火傷するところだった。それでも熱いシャワーを浴びられただけで、幸せな気分で早々に寝入る。

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10月27日(火)

翌朝は鳥のさえずりで目覚める。Sさんがすぐにお湯を沸かして、朝からお茶を淹れてくれる。何とも有難いことだ。他の部屋の皆さんも、明るくなると起き出しており、朝ご飯に向かう。フランスパンと卵焼き。このまま団体旅行を続けていると食べ過ぎに陥ることが間違いない私にとっては、シンプルでよい。昨日の残りの巨大バナナを食べてしまったのは既に胃袋が大きくなった証拠か。

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