ミャンマー紀行2005(13)チャウメイは茶の集積地

それからまた少し行くと突然TAMが車を降りる。木造の家が数軒あるだけの寂しい所であるが何故?車の周りには近所の子供達が珍しそうにやって来る。SSが話し掛けるがミャンマー語が通じないのか、首を振る。道の脇には畑が広がり、その向こうには鉄道の鉄橋が見える。丁度汽車が通過している。何とも長閑な風景である。

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子供達は元気だ。10歳を越えた子から2歳ぐらいの子供まで一緒になって遊んでいる。これも昔の風景だ。今や日本では子供は外では遊ばない。ましてや10歳も歳が離れた子供同士が遊ぶことなどない。帽子を被っている子が多く、ロンジーを履いている子はいない。子供はロンジーを履かないと聞いた。

 

TAMはどこへ行ったのか?真っ直ぐに一つの家に入っていく。そして子供と一緒に出てきた。何をしているのか?こちらへ来いと合図がある。少し先の家に子供と一緒に突然上がりこむ。高床式なので2階へ。いいのだろうか?きっといいのだろう。中から女性が出てきた。この家の奥さんだろう。TAMは何か頼んだ。奥さんは中から持ち出してくる。それはシャンペーパーであった。この道端の集落では伝統的に紙を漉いていたのだ。何でそんなことを知っていたのか、経験か?しかしTAM恐るべし。SSはまたまたお土産を買い込む。

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私は茶碗に注がれたお茶を飲みながら、ベランダから外を眺めていた。これは1-2日なら理想的な住処かもしれない。暖かい午後の日差し、静かな環境、外の緑。心地良さそうな椅子がある。思わず借りて眠りたい衝動が襲う。いや、今日はメイミョーに行かなくては?そんなことはどうでも良いのでは?心の中に葛藤が生まれる。結局はそこを辞して、車へ。直ぐに畑と線路が交わる所に来る。写真を撮っていると、向こうにきれいな段々畑が見える。日本の原風景が又現れる。この線路はどこに繋がっているのだろうか?未来だろうか、過去だろうか。

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6.チャウメイ

(1)プロのガイドTAM

私の突然のリクエストでチャウメイにやって来た。しかも時間は午後4時に近い。1時間ぐらいでサッと見ないとメイミョー到着が遅くなる。しかし特にアイデアはない。街に入る。車もあまり通っていない。ここに一体何があるのか?TAMは車を飛び降りると電話を探す。どこかへ連絡している。戻ってくると街の真ん中付近で車を停めて、歩き始める。道端にある商店に入る。お茶を探した。麻袋に入ったお茶が出てきた。あまり保存状態が良くないように見えるが、何しろ暗い。この店は直ぐに退散した。

 

道が交差する角に素晴らしい木造の伝統建築が見える。あそこへ行って見たい、そう思っているとTAMはちゃんとそちらに歩き出す。いいぞ!その建物は1階が商店、2階は住居、そしてきれいなベランダが付いている。何とお茶を売っているらしい。思わず中に入ると、やはりお茶の袋が。土産物用にパッケージされた箱に入っている。女性の写真が箱に付いていたが、何とそれは売り子さん本人であった。ビックリ。チャウメイの郊外の山中でバロン族がお茶を作っていると言う。

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そこへ誰かが入ってきた。TAMと懐かしそうに話をしている。何と彼女の友人だという。この女性はチャウメイ在住。TAMは彼女に急遽ガイドを頼んだのだ。すごい。しかも彼女はこの店の人と知り合いだった。店側も非常に親切になる。店の奥でお茶作りをしていると言うので見学させてもらった。裏は天井が高い。倉庫になっていた。お茶が入った麻袋が沢山積んである。更に奥では緑の茶葉が山をなしており、ラペトゥを作っている。茶葉の香りがムンムンする。久しぶりに嗅ぐ匂いである。ここでいくつかお茶を買う。帰国してから飲んでみるつもりで、試飲もしなかった。何と言うことか、このお茶をSSに預けてヤンゴンに戻り、そのまま受け取らずに香港に戻ってしまった。私にとってチャウメイの緑茶は幻のお茶となっている。

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因みに私がこの街にどうしても行ってみたいと思った理由は2つ。一つは伊藤京子さんの著書『ミャンマー 東西南北・辺境の旅』の中にチャウメイが食べるお茶と飲むお茶の一大集散地であると書かれていたこと、もう一つは『チャウメイ』という地名から『茶』が『美味い』という言葉を連想した為である。但し本来のチャウメイの意味は何と『黒い石』であるとTAMから聞いてがっかり?した。

 

この家は80年ぐらい前に建てられた非常にバランスの良い設計。ミャンマーの伝統的な建築物なのであろうか。ここチャウメイには古きよき建物が随所に残されている。日本軍の侵攻やイギリス軍の空爆も無かったのであろう。お茶屋を離れて街を歩く。するとかなり古い感じの建物がある。

 

コロニアル風の建築はイギリス時代のものであろうか?ハノイで見たフランス植民地の建物のように肌色の概観。1階が店になっており、2階が住居。窓枠がお洒落。眺めていると向かいから英語で『日本人か?』と声が掛る。驚いて振り返ると髪を短く刈り込んだおじさんがニコニコして立っていた。

 

彼は昔英語を習った事があり、何とつい先日外国人向けにゲストハウスをオープンしたのだと言う。言われるままにそのゲストハウスを見学。歴史的な建物の後方に建つハウスはこぎれいになっており、ちょっとコロニアルな雰囲気が感じられる。外国人なら喜んで泊るかもしれない。実は私はこのチャウメイと言う街がかなり気に入ってきており、出来れば今夜はここに泊りたいと思ったほどだ。TAMはその辺を敏感に感じて、今夜はここに泊るかと聞く。メイミョウのKさんのことがなければ、多分泊ったであろう。残念ながらここを後にする。

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