《香港・華南・マカオ お茶散歩 2005》(1)

1. マカオ (1)マカオ空港

今回台北に行こうとフライトを調べた際、台北経由マカオ行きという文字が目に入る。今まで香港―台北線は何度も乗ったが、マカオ線に乗ったことが無い。マカオ空港にも降りた事が無い。是非行こう、ということでフライトを押さえた。

台風が上陸する直前に飛行機は中正国際空港を何とか飛び立った。因みに翌日には台風は台湾に大きな被害を及ぼしたようだ。一瞬でも遅れていたら私も巻き込まれていたに違いない。エバエアーの機内は満席。夏休みということで家族連れが多い。おじいちゃん、おばあちゃん、奥さん、子供の組み合わせが目に付く。大陸で働くお父さんの所へ皆で出掛けるといったところか?

1時間半ほどでマカオに到着。海に突き出した滑走路、こじんまりしたターミナルビル、どこか田舎の空港に降り立った気分。天気は快晴で暑い。台北の強い風が懐かしい。イミグレもシンプル。ここには香港人レーンは無かったが、マカオ人レーンも直ぐに開放され、スムーズ。

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因みにこの空港は発着が非常に少ないものと思っていたが、日中は15分に1本程度のフライトがある。多くは大陸各都市、台湾線であることからまさに台湾人の大陸ゲートウエーとなっていることが分かる。台湾人向けの国境までのバスアレンジ、広東省側のバスアレンジも全て整っているようだ。

空港を出るとタクシーに乗り、一路国境へ。橋を渡り半島へ。15分で珠海の国境に到着。これは早い。台湾人ビジネスマンはこのようにして台湾から広東省へ入ってくるようだ。昔台湾人に言われたことがある。『国境で夜台湾語で話し掛けられても振り向いてはいけない。中国人強盗グループは台湾人が多額の現金を持って往来していることを知っているので狙われる。』送金の自由が無い世界、税金を逃れたい台湾人、ここには日本の普通のビジネスマンには分からない凄い世界がある。

2.珠海 (1)マッサージ

香港駐在中何度か珠海に来た。ゴルフがメインであったが、マッサージが安いので愛用していた。今回もホテルの高いマカオを敬遠して直ぐに珠海に入り、台北で食べ過ぎた腹を回復させるために夕食を抜いてマッサージに出掛ける。海を見ながらマッサージを受ける。日本では考えられないリラックスした雰囲気でマッサージが受けられる場所がある。残念ながら当日は夜で海が良く見えなかったが、それでも十分満足する。そして何より料金が安いのである。1時間30元、全身マッサージも同じである。

マッサージ師は20-25歳の女性が多い。初めは工場に働きに来たが何らかの理由でそこを辞めて来た子が多い。こちらの方が給料が多いのかと思いきや何と彼女らの取り分は1時間9元である。つまり3割。1回の食事代が弁当6元で、もしバスに乗って通勤すれば往復2元。勤務は普通14時間。とすると1日にお客が一人で1時間だったとすると1食しか食べられない。それで着いたお客には必ず2時間以上マッサージしないとやっていけないので懸命にお願いするのである。

中国の究極の資本主義がここにある。貧しいものからは徹底的に搾取する。よそ者も排除する。その中を田舎から出て来た者は懸命に働く。働き手の代わりはいくらでもいる。もし誰かが病気をしたり困難に陥ったら同郷の者が助ける。こうして地縁、血縁社会が広がる。実に厳しい現実であり、私のようなひ弱なものにはとても生き抜けない社会がそこに存在する。

7月18日(月)
 (2)早茶

珠海で最高級のホテルの1つ、GDホテルの窓から朝の海を見る。少し煙っているのは靄であろうか?向こうにはマカオがしっかり見える。このホテルは実に快適であり、テレビも日本のNHK BSの他、BSフジまで見られるので香港時代に2-3度泊まっている。料金も400元以下で実にリーズナブルなホテルである。

朝ご飯は食べない私であるが、お茶を飲みに行こうと思い、昨日のマッサージ屋の横の『常順来』というレストランに入る。香港では広東語で飲茶というが、大陸では一般的に早茶という。

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お茶を飲みながら点心を食べる朝ご飯である。日本人はどうしても飲茶(お茶を飲む)なのにシュウマイや餃子を食べることだと思っている。しかも一日中やっていると思い込み、夕飯に食べたいなどと無理を言う人もいる。どうしてなのだろうか?漢字を見れば『茶を飲む』という意味が分かりそうなものであるが??

常順来では、いいお茶を頼むと服務員がお茶を淹れに来てくれる。今回は少し濃い目の水仙を選択。1人であるからお粥(ピータンと痩せ肉)とシュウマイを食べる。朝から既に暑いので汗をかきかき食べる。

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お姐さんがお茶を持ってきて淹れる。淹れ方が上手いので聞いてみると近くの茶芸館で働いていたという。辞めた理由は同僚が2-3人しかいなくてつまらなかったという。確かにここは大きなレストランであるから同僚は沢山いる。お茶の技術も発揮できる。

このお姐さんに彼女の前の職場を聞いたところ、旅遊大飯店という名のホテルだということで行って見ることにする。何か良い場所が発見できるのではないだろうか?ところが実際行ってみるとその茶芸館は改装中であった。あるいは閉店したのかもしれない。彼女はそれを予測して転職したのか?この辺の移り変わりは激しい。

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(3)翠湖(珠海賓館内)
気を取り直して珠海賓館内の茶芸館へ。このホテルは1982年開業の老舗で最近まで高級ホテルとされていた。鄧小平、江沢民などの国家指導者は珠海訪問の際はここを訪れている。私も1997年に珠海を訪れた際、タクシーの運転手に珠海一のホテルとしてここへ連れて来てもらったことがある。当時の珠海は今より遥かに長閑で国有企業の昼休みは2-3時間あったのでは?

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このホテルにある茶芸館、翠湖には以前珠海在住のHさんと来たことがある。その静かさが気に入っていた。尚Hさんとはこの後昼ご飯を一緒に食べた。珠海の日本食レストランのランチは50元で腹一杯食べられるのが嬉しい。(香港では倍はするので以前良く来ていた)

平日の10時半であるが、店内には数組の客があり、まだ早茶を楽しんでいた。これが広東省流。遊んでいる、ただ食べているかと思えばそこで商談が成立したりしている。広東人にとって早茶は実に大切なものだと以前聞いたことがある。

碧羅春、この蘇州郊外の緑茶は果樹の下に茶樹が生えているという珍しいお茶であるが、何しろ美味しい茶葉になかなかお目に掛からない。以前蘇州まで行って茶葉を探したが、どうしてもいいものが見つからなかった。たった一度お茶の先生が持っていた茶葉だけが凄く美味しかったので、私の中では幻のお茶である。

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碧羅春を頼む。55元、マッサージ2時間分である。お姐さんが自分の仕事だと言い張り、お茶を淹れてくれる。予想外に美味しかった。思わず茶葉を見るため、急須の中を覗く。するとお姐さんが何か問題があるのかとすかさずやってくる。2煎目はお姐さんの目を盗んで??自分で淹れてみる。確かに美味い。何故だろうか?暑い中ではやはり緑茶が美味しく感じるだろうか?久しぶりに気分が良かった。そしてこの店の雰囲気は実に良かった。静寂は中国では本当に貴重なものである。

 

 

 

 

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