ハノイ茶旅2023 その1(2)ハイフォンへ

すぐに外へ出た。宿を出たところに、おじさんたちが屯しており、皆で茶を飲んでいる。この光景、特に変わりはない。どうやら駅で客待ちしているタクシー運転手のようだ。そこから適当に歩いてみたが、そこかしこでお風呂椅子に座り、茶やコーヒーを飲んでいる人々に出会う。昔と変わらない風景が何だか嬉しく、そして懐かしい。

変わらないと言えば、交通事情。所々に信号はあるものの、道を渡るのは大変だ。横断歩道で待っていても、車が止まってくれることは稀であり、自力で車の間を縫って向こう側へ行かなければならないのは、安全に慣れた日本人には辛いだろう。だが中国で昔鍛えた私などは、返ってこの状況は好ましい。交通ルール無視で、自らの感覚を信じて、相手との呼吸を合わせて渡るのは、実は慣れていれば意外と爽快である。

ふらふら散歩していると、ホアンキエム湖までやってきた。このあたりの風景もさほど変わっていない。20年前家族旅行で来た時に見たパペットショー、今もやっているようだ。違うのは料金だろうな。観光客が多く歩く道に出ると、そこも昔とあまり変わった様子はない。古い町並みは残り、まるでコロナ禍などなかったかのようだが、どうなのだろうか。

一旦宿に帰る。午後6時に今回アレンジをお願いしたNさんが来てくれて、近くのレストランで食事をした。このレストランは結構凝っていて、そして新しい。今晩は冷えるので、鍋を頼んだ。昼間外へ出た時、私だけが半袖シャツを着ており、ハノイ人は皆、冬の装いだったのは、衝撃的だった。20度を越えていれば少なくとも冬ではないと思うのだが、ハノイは今、冬なのである。

切った生野菜を皿に入れ、ドレッシングをかけて手でかき混ぜたサラダ。鍋もスープが濃厚でなかなかのお味だった。内装なども凝っていて、料金も手ごろということで、ハノイの若者が多く出入りしている。Nさんとは歴史の話などで大いに盛り上がり、今後のラオカイ行がどんどん楽しみになってきた。帰りにコンビニを探したが見つからず、その辺の店でコーラを買って帰る。

2月28日(火)ハイフォンへ

朝4時、けたたましい音で起こされた。何と隣の駅で大音響のテープが繰り返し回り、うるさくて眠れない。まるでイスラム圏の朝、モスクから響くアザーンのような響きだ。鉄道オタクの人にはこれもまた一興かもしれないが、私は困る。そして断続的にホーチミンから列車が到着し、この騒音は6時のハイフォン行まで続く。少し眠い目をこすりながら、宿の朝食を食べる。粥と目玉焼きでよい。

ハイフォン行の列車は先ほど6時発がハノイ駅から出て行ってしまった。その次の列車は9時30分だが、何とこれはハノイ駅のお隣、ロンビエン駅から出るという。折角駅の隣の宿に泊まり、朝の騒音にも耐えたのに、とは思ったが、これもまた旅。面白がって歩いてロンビエン駅へ向かう。

ロンビエン駅までは3㎞以上あり、意外と歩く。途中には鉄道の線路があり、ハノイの写真スポットになっている。また葬儀の現場にも出くわし、立派な黒塗りの車の上に、観音様が立っているのにちょっと驚く。駅の周囲は城壁があり、少し高くなっている。フランス時代の小さな駅舎が見え、その先には紅河に有名なロンビエン橋が架かっている。

ここで旧知のズンさんと待ち合わせた。ズンさんは少し太ったようだが、元気そうだった。もう一人日本人女性が合流するというが姿を見せない。ズンさんに切符を買ってもらう。列車の車両はあるが、直前まで写真が撮れない。10分前にようやく乗車が許され、乗客がどんどん乗って行く。車両は思ったよりきれいで、広い。外国人も結構乗っている。一日4本しかないので通勤用ではない。

ほぼ満員の乗客を乗せて、定刻に出発。すぐに橋を渡る。車窓からは田舎の風景が続いて行く。時々駅で停車し、多少人の乗り降りがある。水が一本貰え、スマホの充電もできるので快適ではある。外気温は22度で暑くもなく、ちょうどよい。結局2時間半ほどで、目的地ハイフォンに到着する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です