みちのく一人旅2022(1)25年ぶりに浅虫温泉へ

《みちのく一人旅2022》  2022年5月15₋23日

もう25年も前、1997年に一度『みちのく一人旅』をしたことがある。その時は出会った人に『どこへ行ったらいいか?』と聞いて、言われた通りに行く、という企画?だった。新幹線の故障、小雪の舞う浅虫温泉、三内丸山遺跡、そして大雪の十和田湖行、大湯のストーンサークルから平泉、多賀城まで、よく行けたなと思う。

だがあの時本当は青森市から津軽半島、下北半島を目指したかったのだ。昨年ついに下北半島を訪ねたので、今回は25年ぶりの浅虫温泉、三内丸山遺跡から、そのまま津軽へ行こうと決めた。更に秋田の鹿野、ここもちょっと気になっていたところなので、ちょうどよいと出掛ける。茶旅ではない旅もまた楽しい。

5月15日(日)浅虫温泉へ

東京駅でのり弁を買った。最近流行りらしいが、あまりにも立派なおかずに戸惑う。いつもは大宮から乗る新幹線だが、今日は25年前を思い出して、敢えて東京駅から乗る。空いている新幹線を見ていると、25年前の、あの故障の日を思い起こす。今日は勿論そんなこともなく、新幹線はぐんぐん進んでいく。

八戸で乗り換える。八戸は昨年1泊しているので素通りして、そのまま青い森鉄道に乗る。この鉄道は切符を買うのが現金のみ、と昨年学習済み。前回はこの路線で下北へ向かったが、今回は野辺地で分かれて、青森方面へ向かう。料金は一番前で精算、三沢など大きな駅だけドアを開けて降りられる(乗るのは自由)。

1時間ほどで浅虫温泉駅に着く。25年前、小雪が舞う中降り立ったこの駅だが、今日のイメージはちょっと違っている。あの時は宿の人が迎えに来てくれたが、今日は歩いて椿館へ。途中の経路には全く記憶がない。温泉卵場などで卵を茹でている人がいる。10分ほどで椿館の前に来た。

こんなに大きな宿だったかな。雰囲気も中身もかなり変わっている。25年前だから当たり前か。フロントに聞くと2年前に改装したと言っていたが、私のイメージにある階段の棟方志功の大きな版画は、1階に飾られている。ロビーは大きく広がっている。部屋にはトイレもあり、居心地も良い。

早速温泉に入ってみる。あの時は夜だったこと、雪が降っていたことから薄暗かったが、今日は実に明るい。私一人で湯を独占する。ここの湯は鈍感な私でもわかるほどに柔らかい。露天風呂も健在だったが、明治天皇行幸碑は見付からない。地元の人が温泉に入りに来るのは前と同じようだ。実にいい湯に浸り、満足する。  

風呂から上がってもまだ陽が高い。夕方の散歩でサンセットビーチと書かれた海岸へ行く。 それにしても何もない。その誰もいない浜が良い。湯ノ島がでっかく前に立つ。遠くに裸島が見える。サンセットまでは時間がかなりあり、ゆっくり落ちていく。カップルがじっと夕日を眺める場所という感じで、早々に退散した。

夕食の時間、食事会場へ行くと一人で食べるのは私だけらしい。老夫婦か老齢の親を子が連れてくるパターンが多い。温泉夕飯の一人はやはり寂しい。しかも酒も飲まないのだから、間が持たない。だがここの仲居さんには救われる。何とお客と方言のタメ口で話すのだが、その会話は実に楽しく、人の心をとらえる芸術的な話術を持っている。単に料理の紹介をしているだけでも、すぐにみんなと会話が成立してしまう。

ついつい楽しくなって、出ていた料理を次々平らげる。陰に隠れて残した物でも、彼女は料理を紹介しつつ食べさせてしまう。決して『食べないの?』などと言わないのがすごい。彼女はここの名物仲居なのかもしれない。後で聞くとコロナ禍でかなりの人が辞めており、残った彼女は非常に忙しいが、それでもそのさりげない気づかいには恐れ入った。

2階の部屋はトイレ付の8畳間。庭も見えていい感じだ。25年前に比べれば料金は1.5倍ぐらいだろうか。珍しく茶葉があったので、急須に入れてがぶがぶ飲む。こういうお茶が意外とおいしい。たださすがに飲み過ぎたのか、夜はよく眠れず、夜中に何度かトイレに起きてしまった。

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