鉄観音の故郷を訪ねる2013(7)厦門 ご縁で泊まる日航ホテル

5. 厦門3   なぜか日航ホテルへ

そして昼前にバスに乗り、港へ。私の1泊2日、ミニ台湾ツアーは終わりを告げた。同じフェリーで厦門へ戻る。またあっという間に着いてしまい、バスに乗り、華僑大廈へ。ここに預けた荷物を取る。本当はもう1泊ここに泊まることを想定して荷物を預けたのだが、急遽新しくできた日航ホテルへ行くことになったからだ。

 

実は昨晩金門島でネットをいじっていると、Facebookに繋がる。ここは大陸ではなく、台湾なのだから、繋がって当たり前だが、つい嬉しくなり、『今金門島にいます』などとアップしてしまう。すると銀行時代の後輩T君が『もし明日厦門に行くなら弟の所に寄ってください』と書き込みがなされた。そして今朝、T弟の携帯番号をゲットして金門から電話してみた。兄から何も聞いていなかった彼だが、快く夕方会うことを約束してくれた。ホテルの場所が華僑大廈から離れていたこともあり、1晩の宿泊もお願いしたと言うわけだ。こういうご縁は、大切にしていこうと思う。

 

華僑大廈付近からバスに乗る。ホテルのある国際会議場はこの場所から相当にはなれているようで、行けども行けども到着しない。だが代わりに最近急速に発展している厦門市郊外を見ることができた。マンションが立ち並び、ショッピングモールがあり、旧市街地だけでは分からない厦門がそこにあった。もしタクシーに乗ったらここまで詳細には見られなかっただろう。しかも1元で。

 

日航ホテル

日航ホテルがこんなところにあるのか、と思うほど、不思議なところにあった。周囲には旧式の住宅が並び、海沿いには国際会議場、そして高級マンションが並ぶ、アンバランスな位置にあった。勿論日航はマネージメントをしているだけで資本参加はしていないだろう。ただ開業1年、建物も客室もきれいに整っていた。ロビーに入っただけで気持ち良い。これは80年代に中国で外資系ホテルに入った時感じたものにすごく似ていた。そこだけ異質な空間が出来上がっているのだ。

T弟は何とそこの支配人だった。コーヒーを飲みながらゆっくり話を聞いた。ホテルを新しく立ち上げ、従業員を訓練し、しかも集客に努める、これは並大抵のことではない。ましてや中国では。ただ彼には天津や大連での豊富な経験があり、しかも前任地はジャカルタというエキスパートであったので、それほど困難ではなかったのかもしれない。

それでも従業員の質向上など課題は多い。話している間にもちょっと問題があると携帯が鳴る。中国では全て指示は老板が出さなければならない。きっと文句を上げたらきりがないだろうが、何とか1年でまとめただけでも手腕が感じられた。

夜は海岸へ行って見たが、特にライトアップなども多くはなく、美しい夜景とは言えなかった。むしろ背後のマンション群のほうがよほど、美しい夜景であり、このあたりでも厦門旧市内と変わらないような値段がついているのも頷ける。

夕飯は軽く食べようと思ったが、適当な場所がなく、ホテルに戻るとベーカリーのパンが半額になっていたので、それを食べて寝てしまった。食事より、睡眠。実はかなり疲労がたまっていたようだ。

5月10日(金) ゆっくり休む

 

 

翌朝、体が少し重かった。確かに3月下旬の関西に始まり、4月のマニラ、広西、インドネシア、そして今回の旅まで、あまりにも旅が続き、その間に香港でお茶会を開いたり、セミナーをしたり。疲れるのも当然かもしれない。

 

そういう意味で、今回突如日航ホテルに宿泊したのは何らかのお導きかもしれない。よいホテルでゆったり休む、そんな時間が必要だということだろう。この部屋には何と茶道具まで完備しており、朝からシャワーを浴び、ゆったりとした気分で張さんの鉄観音茶を頂く。これはこれで極楽気分だ。

 

それから朝食へ。ビュッフェのメニューは飛び切り多い。このホテルは完全に中国人を意識してサービスを組み立てている。日本の経営に有りがちな、日本的な部分を多く残さず、現地のニーズに合わせているところが良い。昨晩簡単に済ませているので、お粥から麺、パンまで、卵から点心まで、たらふく食べてしまった。

 

そして普通なら腹ごなしに、散歩に出たりするが、部屋へ戻り、ダラッとする。今日は半日、快適な部屋の中で過ごすことにした。勿論ネットは繋がるのだが、敢えてそれも止め、完全オフの体制となる。うつらうつらしていたら、何もしないのに意外や時間は過ぎてしまった。疲れが取れたのかどうかわからないが、このような時間は必要なのだろう。窓から外を眺めると、国際会議場周辺がよく見えた。

 

ランチ

11時半にT弟と食事の約束をしていた。ここの最上階には日本食レストランがある。見晴らしもよい。厦門に住む日本人の数はそれほど多くはない。観光客も日本食を食べる機会は少ない。結果としてここも中国人向けに作られている。個室に入ると寛げた。松花堂弁当などを頂いていると、ここが厦門かと思ってしまう。味は日本的、量は中国的、朝ごはんを食べ過ぎてしまい、散歩もしていないので残念ながら残してしまうほど。

 

中国人従業員の教育に話が及ぶ。『日本的なサービスを教えることは本当に難しい。何しろ本人たちが体験したことがないことをやれ、というのだから、いきなりは出来ない』『顧客からのクレーム対応に日中の違いが極端に出る。中国人従業員は日本人が何を、なぜ怒っているのか理解できないことが多い』など。

 

遅れてホテルの営業担当の日本人女性も食事に加わった。彼女は以前T弟と一緒に働いたことがあり、誘われて厦門にやってきた。同じ中国でも、都市によってかなり違うので戸惑うことが多いようだ。厦門は住みやすい場所だが、日本人が好む娯楽は少ないので、少々退屈とか。

 

そんな話をしていると飛行場へ向かう時間がやってきた。そそくさとチェックアウトし、タクシーで空港へ。何と20分で到着。速い。空港でチェックインすると、『あなたの座席予約はない』と言われる。ホテルでWebチェックインしようとしたところ、できなかったのだ、この空港は。乗客が少なく、機体を小さくしたのかもしれない。何とか乗せてもらえることに。

 

搭乗ゲートに並んでいると、係員が私の後ろの中国人男性に『荷物が多すぎるから機内へ持ち込めない。預けろ』とかなり無礼な態度で言う。まるで警官が泥棒に向かうようだ。言われた男性は言い返そうとしたがその剣幕に押され、すごすごと行ってしまった。中国にはまだサービスはないのだ、いやサービスしようとすると、皆がどんどん求めてしまうので歯止めが重要なのかもしれない。いずれにしても、今回の旅では、お金の論理を考え直す機会を得た。

 

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