トルコの茶畑を訪ねて2012(2)イスタンブール 歴史の街に圧倒される

9月21日(金)  地下宮殿

ビールを飲んだせいか、旅の疲れか、夜はぐっすり眠れた。気候がちょうど良かったのかもしれない。朝はすっきりと目覚める。朝食が1階に用意されていたので、食べる。パン山盛り、トマト、キュウリなどのサラダ、そしてチャイ。実にシンプル。この朝食はコンチネンタル。昔スイスで食べたなあ。アジアから来るとちょっと寂しい。

そして出掛ける。昨日は夜でよく見えなかったが、直ぐ近くにブールモスクがあり、この付近が観光の中心であることが分かる。Tさんから「先ず見るべきは地下宮殿」、といわれたので、地下宮殿へ行く。

確かにここは見るべき価値がある場所だった。何とも神秘的なライトが照らされ、地下の水が張られた所に無数の柱が並ぶ。幻想的というか、神秘的というか。しかも静寂が一層周囲を際立たせる。だが、ここにも中国人観光客、団体さんがいた。この人々は写真を撮りまくり大声で話す。声が地下に反射する。うーん。

それでもまた静寂が訪れる。じーっと柱を眺める。流石オスマントルコ。地下から出てきた時には一瞬頭がくらっとした。この威力は凄かった。

雨の誘い

続いてすぐ隣のアヤソフィアを見学しようと思ったが、かなりの人が並んで待っていた。どうしようかと思っていると、「ハロー」と声を掛けられた。そこにはイギリス生まれの女性が立っていた。気さくに話し掛けて来たので、こちらも調子を合わせていると「チャイでも飲みに行かないか」という。何となく変な気はしたが、まあトンデモナイことにはならないだろうと思い、付いて行く。

彼女は自称デザイナー。自分の作品が近くに展示してあると言い、そのお店へ。私にはジュエリーなど興味はないので、立ち去ろうとしたが、チャイを飲もうと言われ、そのままこぎれいなレストランへ入る。するとなぜだろうか、雨が降り出した。

雨のせいか、取り留めのない話をする。欧米人は取り留めのない話が得意だと思う。日本人はすぐに話にオチを付けるなど、意味を持たせようとするが、こちらでは本当に何でもない話をずっとしている。きっと雨のせいだ。チャイは小さなカップに入って出てきた。ミルクは入れない。砂糖はお好みで入れる。私は入れずに飲んだ。ちょっと苦い。

雨が上がり、外へ出る。彼女は旅行会社を紹介するという。彼女の狙いは分かっていたが、それは断った。彼女もしつこくはしない、不思議な女性だった。

グランドバザールへ両替に

アヤソフィアは午後行くことにして、Tさんから聞いたグランドバザールへ行く。歩いてトラム2駅だ。目的は買い物ではなく、両替。空港の両替レートは悪いので、最小限しか両替しなかったのだが、グランドバザールのレートがイスタンブールで一番良い、との情報だった。相変わらず小雨。道では若者が傘を売っている。それも一人や二人ではない。雨が降ると何処からともなく表れて、売っている。何だか中国の観光地を思い出す。安かろう悪かろう傘だが便利な時もある。

ここイスタンブールのグランドバザールは世界でも最大級のバザールだ、と以前新疆ウイグル、ウルムチで聞いたことがある。ウルムチの大バザールもかなり広かったが、ここは確かにそれよりも広い。まるで迷路のようだ。http://www.yyisland.com/yy/terakoyachina/item/4611

絨毯、スカーフなどを売る店が多く並ぶ。巧みな日本語で声を掛けて来る者もいて、日本人沢山来るのだろうと想像した。私がついつい目を奪われたのが、きれいなチャイを飲むカップ。小さくて、色とりどりで、欲しくなる。また茶葉にも目が行く。紅茶以外にも緑茶あり、各種のフレーバーティもあった。

そして何よりも、そこらじゅうで皆がチャイを飲んでいる。欧米人はおしゃれなカフェで、トルコ人は店先で、また立ったままカップを手にしている人さえいる。チャイ屋ではひっきりなしに機械でチャイを作り、ボーイがお盆に乗せて運んでいく。ボーイが通ると声が掛かり、また運んでいく。こうして一日中チャイを飲んでいる。これは凄い、楽しい。トルコ商人の商売は先ず客を捕まえ、座らせ、そしてチャイを振舞う。そして客を釘づけにしてから商談をする。観光客もこの攻撃に遭い、あちこちでチャイを振舞われている。「チャイ飲みますか」「絨毯買いましたか」はトルコの合言葉だ。

両替商のレートは確かに空港よりはかなり良かった。いくつもある店を物色し、一番良いレートの所で替えた。ここでは米ドル、ユーロが主要通貨であり、円はそれほど重要ではない。よって店により相当にバラつきがあるので注意。

少し腹が減ったのでバザール内でケバブサンドを食べる。これはなかなか美味。あのドネルケバブをパンに挟むだけだが、肉がジューシイでよい。ただ値段は7リラ。日本円では280円ぐらいするので、安いという訳ではない。バザールの中庭は実にヨーロピアン。庭を眺め、ケバブを食う。

アヤソフィアに圧倒される

午後は予定通りアヤソフィアへ。午前中程の行列もなく、スムーズに入れる。アヤソフィア、古くはコンスタンチヌス帝の時代、紀元360年に最初に建造されたキリスト教の教会。その後オスマントルコ時代にモスクに改装され、ミナレット(塔)が建てられた。その際にキリスト教時代のモザイク画が漆喰で塗り込められたが、トルコ共和国になり、博物館として開放、漆喰もはがされ、モザイク画も復興。ビザンチン様式とイスラム様式が混在する歴史的な建造物として世界遺産にも登録されている。

巨大な建物内に入ると何と言っても圧倒される鮮やかなドーム。この光景は言葉では表現し難い。ただただ素晴らしいとしか言いようがない。高い天井、教会のような窓飾り、豪華なシャンデリア。もしここでミサが行われれば、信仰心の熱い人は感激するに違いない。2階に上ると、階下の全貌が明らかになり、これもまた見応えがある。

そして2階にはモザイク画がある。画の上だけが見えるなど、修復は完全ではないが、それだけリアリティがある。鮮やかに蘇る、という言葉が相応しいのかもしれないが、敢えて不完全に蘇る、と言いたい。写真のフラッシュを焚かないようにとの注意書きはあるが、守っていないのは中国人か。

十分に広い堂内を巡り、外へ出ると晴れてもいないのに何となく眩しい。周囲にも建物や塔があるが、もう十分と思い、出口へ向かう。やはりこの都市には他にはない何かがあるような気がした。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です