福建・広東 大茶旅2016(3)厦門から安渓へ

2. 厦門
空港で

厦門空港は小さな空港だった。これも分ってはいたが、今日は東京から飛んで来るTさんとここで待ち合わせ。まだ到着まで1時間以上あったので、ランチを食べようと思ったが、中国の空港はどこも非常に高い。昨日食べた蘭州ラーメンがセットとはいえ、50元もするのには驚くしかない。私は大人しくマックでネットをしながら食べた。それでも30元、日本並みだな。マックを食べる機会は、こんな時しかない。

img_6065m

img_6067m

 

Tさんが出てくるのを待っていると、ちょうどKFCの横に座る所があり、助かった。Tさんは空港で所要があり、私は彼の荷物を見ている必要があったので、そこに座り、今回Tさんが紹介された梅記という老舗のお茶屋さんの王さんと待ち合わせしていた。梅記は安渓、西坪で古くから鉄観音茶を作っており、厦門に店を出したのは1875年というから確かに古い。

img_6069m

 

その王さんは6代目でまだ30歳と若い。彼の迎えで車に乗り込み、まずは市内にある梅記の店へ行ってみる。市内中心部にあるその店はかなり立派な作りだった。早々に出された鉄観音は10年物だと言い、その間一度も火を入れていない。飲んでみると昔の風味を感じさせる作りだった。今や安渓でも鉄観音といえば軽い、青いものが主流であり、このような濃厚な風味にはなかなか出会えない。茶芸を披露するスタッフの動作もよい。

img_6089m

img_6100m

img_6096m 

 

Tさんは早速撮影を開始した。当たり前ではあるが、本格的な撮影というには自然さというものがない。ただ一番良い写真を撮るために努力するものであり、店側もよい写真が公開されることにより、良い影響を期待する。まあ、なにより、お茶の良さを消費者に伝えるためには、どうしてもきれいな写真が必要だ、人の目を惹く必要がある、ということだが、私個人としては、もっと自然な光景があってもよいかと思った。

 

Tさんは更に、『厦門の街角でお茶を飲んでいる市井の人々を写真に収めたい』という。確かに15年以上前に厦門に来た時は、街中至る所で小さなテーブルを出して、小型ガスボンベを置き、お茶を啜っていた。だがそんな光景も今やなかなか見られない。そうこういっていると、何と店の前で、短パン、サンダル姿のおじさん数人がお茶を飲んでいるではないか。まるで仕組んだように店の前だけに彼らはいた。『他の場所は断られるが、ここはテーブルを出しても文句を言わないから』という理由だった。

img_6109m

 

当然Tさんは大喜びで飛び出していく。我々もちょっと懐かしいものを見た思いでこの光景を眺めたが、写真を撮っているとやはり違和感がある。勿論これは事実であり、何らの問題もないのだが、この写真を見た人は『厦門には今でも日常的にこんな光景がある』と思ってしまうのではないだろうか。そんな心配をする必要など何処にもないのだが、ちょっと気になっている。

 

3. 安渓

王さんの車で安渓へ向かった。私はこれまで何度か安渓を訪れてはいるが、殆どが大坪という一地域だけであり、安渓全体を全く知らない。今回はまず安渓の街に泊まり、更に西坪という場所で製茶を見る予定だから、ワクワクする。既に周囲は暗くなっていた。大体車で1時間半ほどすると、安渓の街が見えてきた。

 

車は何となく立派な敷地のホテルに入った。きっと90年頃には街一番の宿だったに違ない。外国人、主に華僑だろうが、彼らが泊まるために作られたように思える。そのホテルが今晩の宿だった。何と1部屋、178元。かなり古いが部屋は広く快適。ただし、上の方の階は殆どがカラオケルームとして使われており、我々が泊まった2階も一部はオフィスだった。既にこのようなホテルは流行らなくなっている。

img_6111m

 

夕飯はホテルの前の食堂へ。王さんの親戚が経営しており、何でも言うとおりにやってくれる。辛い煮鴨は美味かったが、あまり食べると腹にこたえる。豆腐もいい味を出していた。こんなことを言ってはなんだが、素朴な田舎料理が一番だ。Tさんは若いので、相当量を食べている。昔は私もそうだっただろうか。食事が終わると王さんは厦門へ帰って行った。明日は我々自身で行動しなければならない。

img_6118m

 

105日(木)
安渓観光

翌朝はホテルで朝ご飯を食べると観光に出掛けた。私は観光には興味がないのだが、Tさんの仕事についていく。白タクを拾い、山の上にある清水岩という場所に向かう。ここには清水祖師という大きな座像がある。この山の開祖らしい。そこから徐々に登っていくと、緑も濃くなり、古道の雰囲気も出てくる。

img_6125m

 

遠くに廟が見える。意外にも多くの人が参拝に訪れていた。地元の人もいるが、シンガポールなどの華僑が里帰りしているようだった。安渓は華僑の一大出生地であり、シンガポールやマレーシアに渡った人が多いという。皆熱心に祈りを捧げている。日本ではあまり見ないほど熱が入っている。中国における仏教信仰の一端を見る。

img_6153m

 

ちょうど間の悪いことに雨が降り出してきた。こうなると動きが取れない。廟の全景を撮りたいTさんは雨の中を反対側の上まで移動した。確かにここからは良く見えたが、彼が欲しい光がなかった。ひたすら雨が止むのを待ったが、その気配はなく、諦めて山を下りることにした。

img_6155m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です