福建・広東 大茶旅2016(2)元泰の茶畑

103日(火)
永泰基地へ

翌朝はゆっくり起きる。10時に福州を出発して、魏さんが最近作ったという自前の茶畑を見学しに行く。だが魏さんは朝から忙しい。私は紅茶屋で紅茶を飲みながらゆっくりと待つ。中国の紅茶、こんなに種類があるとはびっくりだ。この店だけでも20種類近くを扱っている。中国は紅茶発祥の地、だが中国人はあまり紅茶に関心を払ってこなかった。

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2008年頃に始まる金駿眉ブームがそれを一変させた。今では中国各地の古い産地がこぞって紅茶の復活を計っている。昔は輸出用だったが、これからは中国人向けの紅茶、当然味も違ってくるのだろう。魏さんも紅茶を扱う中で、自らの紅茶を作りたいという希望が芽生えてきたようだ。

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魏さんと車に乗り、出発。1時間ぐらい走っただろうか。山の中で突然車が停まる。何と通行止めになっていた。先日の台風の影響か、土砂崩れの危険があるというので、先月末に通行止めになったと看板が出ている。せっかくここまで来たのに、今回はご縁がなかったのだろうか。何とも残念だが、これ以上前へは進めず、引き返す。

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仕方なく、新安という街へ行く。ここには古い街並みが残っており、観光用に改修した模様だ。国慶節休みでもあり、近隣から観光客が訪れていた。何とここに魏さんの店の支店があった。だがまさかオーナーが突然来ると思っていなかった店員は、このかき入れ時の連休にも拘らず、まだ店を開けていなかった。中国人を使うというのは中国人でも難しいものだとつくづく感じる。

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ここで昼ご飯として麺を食べたのだが、麺もスープも実に美味しかった。東北地方からやってきた夫妻もここで合流した。政府の役人とも数人すれ違った。地元民によると、別ルートを通れば、茶畑へ行けることが分かり、ホッとした。店で少しお茶を飲み、再度気を取り直して出掛けた。今度の道は順調に進んでいたが、最後に村の小さな道に入った所で、何やらやっていた。トラックが停まっていて、通行できない。今日はなんて不運な日なのだろうか。

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20分後に何とか通り抜け、いよいよ永泰の茶畑に着いた。まずは茶工場に入る。立派な工場だった。3年前に張老師がここを訪れた際の写真が大きく飾られていた。表には『張天福有機茶示範基地』とも表示されていた。ここは魏さんが作りたかったというより、実は張老師が作りたかった茶畑を実現したところのようだ。空気がよく、土壌がよく、そして以前は茶畑ではなかった場所で、一から茶樹を植えて紅茶を作る。なるほど。

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茶畑は小高い丘の上にあり、周囲の眺めはよかった。ここには沢山の品種が植えられており、まるで実験場のようになっていた。金牡丹や金観音など、あまり見たことがない品種が並んでいた。鉄観音と他種の交配により作られた新しい品種らしい。これらの茶葉を使い、新しい試みをしているようだ。それにしても眺めがよい。午後の風も心地よい。周囲を見渡す限り、民家はない。下っていくと池があり、水も豊富だった。ただヤギが大声で鳴いているのが、何とも滑稽だが。

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すでに日が傾いてきており、長居はできなかった。帰りに大きな看板が目に入る。張老師が大きく写っていた。この茶畑が、そしてここで作られたお茶が張老師の夢を叶えたものであると言ってよいかどうかはわからないが、ともかく魏さんとの師弟愛が感じられて美しい。最晩年までお茶とのかかわりを続ける、それは幸せな茶葉人生ということだろう。

 

さっき通行止めになっていた村の道、実は仏像が運び込まれていたようだ。魏さんはクリスチャンだが、このようなことには敏感であり、通行止めでもないのに車を降りて、手を合わせている。この辺がとても好感が持てる所だ。確かに得難い体験だったと言えよう。山に夕日が落ちていく。それからは順調に福州に戻った。ご利益があったのだろうか。

 

夜は魏さんと2人で蘭州ラーメンを食べる。実はこんな夕食が嬉しい。企業オーナーである魏さんだが、実に素朴で気さく。ラーメンをすする姿が微笑ましい。体調が悪いのに私に付き合ってくれて、何とも有り難い。紅茶屋に戻り、今晩もまたお茶好きが集まる中で楽しくお茶を飲んだ。

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104日(水)
厦門へ

今日は厦門へ移動する。タクシーで福州駅へ向かうが、連休中のせいか空いている。高速鉄道の切符は前日街で購入済みだった。連休といっても、昔のようなな凄い混み方はしないようだ。駅の混雑も普段より少し多い程度。列車内はさすがに満員だが、無座はないので、混んでいる感じはしない。

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2時間で厦門北駅に到着する。ここは半年前も通ったので、寝て過ごす。厦門北駅はさすがに混んでいた。市内に向かうバス乗り場はチケットを買う人で大混雑。私はそれを横目に空港バスを探す。駅と空港を結ぶシャトルバス、これも経験済みなので慌てることはない。市内に近い空港へ向かう途中、集美の街がよく見えた。

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