藤枝から愛知へ流れていく2016(1)藤枝の報告会

《藤枝から愛知へ流れていく2016》  201664-7

 

有り難いお誘いを受けて、4月に札幌で茶旅報告会を開催した。皆さんのお役に立ったかどうかははなはだ疑問ではあるが、自分としては日本を旅しながら、お話もさせて頂けるのはとても有り難い。これで調子に乗って、全国ツアーを企画?したいと大胆な考えを起こす。ただどうすればよいのかは分らない。そんな時、お知り合いのSさんからメッセージが入ってきた。『藤枝でセミナーやりませんか?』と。これは渡りに船、日程を詰めて、予定した。ただ演題として選ばれたのは『雲南ラオスの旅』。これでいいのだろうか?まあなるようになるか。

 

1.藤枝
64日(土)
セミナーへ

最近は静岡へ行く時は新幹線など使わずに在来線に乗って行く。5時間ぐらいかかるが本も読めるし、考え事もできてそれほど悪くはない。ただ新宿や渋谷からバスもあり、料金もあまり変わらないと聞いたので、それも調べてみたが、ちょうどよい時間がなかった。今回は夕方藤枝に着き、そこから幸之松という料理屋さんで報告会を行う予定となっている。東海道本線の各停で藤枝駅に着くとおかみさんが待っていてくれ、車で連れて行ってくれた。

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車はすぐに市内を抜け、田舎道を走っていく。途中で突然工場が見てきた。『ここが日東紅茶の工場です』と言われる。日東紅茶と言えば、戦前台湾でも紅茶を作っていた会社だ。地元、藤枝付近の茶葉を使い、国産紅茶の販売に力を入れていくらしい。国産紅茶は最近、和紅茶とか地紅茶とか呼ばれ、にわかに注目が集まってきている。大手企業もそこに目を付け、本格的な生産を始めたのだろうか。何となく楽しみだ。

 

幸之松さんは、いい雰囲気の場所にあった。報告会としては思わぬ、立派な会場で驚く。相変わらず、どんなところやるのか、主催者はどんな人かもわからずに、呼ばれれば出て行くパターンだった。今回はSさんの紹介があり、それに乗っかった形となっている。Sさんからは『蕎麦屋さん』と聞いたような気がするのだが、どうみても割烹料理屋さんだろう。聞けば昼はお蕎麦屋さん、夜は懐石など、注文で作るという。こんなことを言っては失礼だが、日本の田舎へ行くと、こんなところにこんなおしゃれなお店がある、と思うことが多い。Sさんが作るお茶もここで販売されていた。

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セミナーには沢山の人にお出で頂き、話を聞いてもらった。Sさんがお茶を淹れてくれた。2月と4月に訪ねたラオスと雲南省の過酷な旅を通じて得たものを紹介する。茶の木の源流である雲南省と、その国境を接しているラオスは当然同じ文化であり、昔は国境などなく、自由に出入りしていた。実際には今でも自由に出入りしている人々がいること、プーアル茶の原料となる茶がこのルートでラオスから大量に運ばれている様子を報告した。雲南の易武山中には、清代に入植した漢族が茶を作っていた。まだまだ奥が深い茶の歴史。そのほんの一部をお伝えしたに過ぎない。

 

報告会の後は、食事会となった。料理が次々に運ばれてきて、それがまた何とも豪華で驚く。お刺身、鯛の蒸し物、幸之松で作ったトマトなどの野菜、などなど。この料理を見て、本日なぜこんなにたくさんの皆さんがここに集まったのか、その理由はハッキリわかった。少なくとも私の報告のためでないことは。そして途中でギターの生演奏などもあり、何とも盛り上がった。私も寄稿している月刊茶のOさんは皆さんに雑誌を配ってアピールしてくれたし、まあトータルには成功と言ってよいかもしれない。

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食後も皆さん、交流に余念がない。以前この藤枝のマーケットで初めて会ったIさん夫妻などは、今は東京在住だが、今晩はここに泊まるという。私も当初、ここに泊めて頂く予定だったが、明日の天気が雨ということで、Sさんの農作業が無くなり、豊橋に連れて行ってもらうため、急きょS家に泊めることに変更となる。この辺が、茶業は農業なんだな、と改めて認識する機会である。I夫妻他と、長々お話で盛り上がった後、幸之松さんを御暇し、小雨で暗い中を、牧之原に向かった。

 

S家にお邪魔するのは3回目。昨年3月には四国茶旅に出はずが、いつの間にか和歌山に渡り、そして静岡に立ち寄り、一晩ご厄介になった。何だかいつも突然やってきて、ご迷惑な話だが、夜中12時に訪れた旅人をSお母さんは快く受け入れてくれ、何とも有り難い。今晩も布団が敷かれている部屋に招き入れられ、早々に寝入る。夜中にトイレに起きると、まだ雨がしとしと降っていた。農業にとって雨は重要だが、旅人にとっては時に厄介なものである。

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