初の中央アジア カザフスタンを行く2014(10)アルマトイ 豪邸の食事騒動

ランチでひと騒動

本日は昨日の疲れもあり、午前中は休みとなった。私はかなり寝不足を感じていたので、昨晩はシャワーも浴びずにすぐに寝て、翌朝9時まで起き上がらなかった。何と携帯の電池も切れており、目覚ましも鳴らず、快適に寝てしまった。実は下のレストランでは土曜の夜ということで相当遅くまで音楽が鳴り響き、寝られなかったとPさんがこぼしていたが、私には全く関係がなかった。それからシャワーを浴び、溜まった原稿を書き始める。だが頭がボーっとして、全く進まなかった。こんな所まで来て、俗世を考えるのは良くないと思い、写真の整理などに留めた。

 

12時にN教授とランチに出掛けた。13時半に出発と聞いていたので、それまでに戻るつもりだった。先日行った近くのレストランで、全く読めないメニューに苦戦し、WIFIが繋がらないことを確認した頃、Pさんがやってきたが、食事中と分かると、ホテルで待っている、と言って帰って行った。ところがイエルン氏から2度も『早くホテルに戻って欲しい』と電話があった。まだ13時半にはほど遠く、料理も注文してしまったので、その旨を告げると、『出来るだけ早く』とだけ言い、電話は切れた。

 

ピザを頼み、後はウエートレスのお勧めに従ったのだが、大きなピザの他に、鮭のグリル、フライドポテト、サラダ、ご飯のセットが出てきて唖然とした。カザフ人はこんなに食べるものなのか?鮭は美味しかったが、量が多くて閉口した。ゆっくり食べているつもりはなかったが、出て来るのも遅く、量も多く、会計にも手間取り、いつしか13時半になっていた。

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ホテルに戻るとシャルハル氏の車が待っていた。イエルン氏は既に弟さん、ノルジャンの所へ行ったという。一体何か起こったのだろうか。車で待ち合わせの場所へ行くとノルジャンの車はなかった。敬虔なイスラム教徒の彼にはお祈りの時間があり、近くのモスクへ移動していた。

 

ようやく合流すると彼は『どうしてランチを食べに行ったんだ?』と聞いてくる。彼らはランチを食べずに我々を待っていたということだった。その件は誤解だ、ということを説明したが、腹ぺこの彼はなかなか納得しなかった。一方の車ではPさんとイエルン氏が喧嘩になったようだ。誰が悪くてこうなったのか?

 

郊外の山へ

それでも彼らは腹一杯の我々の為に、ご飯も食べずに時間潰しをしてくれた。2台の車で近くの山へ上る。上からはアルマトイ市がよく見えた。バックの山脈もきれいで、気持のよい風が吹いてくる。だが、もう1台の車はいくら待っても来なかった。戻ってみると調子が悪く、途中の路肩で停まっていた。電気系統の故障らしい。

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するとPさんとララさんがこちらのランクルに乗り込み、車はまた上へ。実は先ほどの場所よりさらに上があったと言う訳だ。もう一段上の景色を見ることが出来、感激だ。近くでハングライダーをやっている人々がいる。気持ちよさそうに飛んでいるが、高所恐怖症の私には無縁のもの。ところがN教授は『乗ってみたいな』と言い出す。冗談かと思いきや、満更でもないようで、ノルジャンが交渉に出向く。500人民元で乗せてくれる、と聞いたその瞬間、突風が吹き、ハングライダーが流される。それを見てN教授も諦めたようだ。

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車で下へ向かう途中、Pさんが『息子が乗りたがっている』というと、N教授はまた迷い出す。だが途中で待っていたもう一台の車に、ハングライダーのことを話そうとするや否や、『すぐに下へ降りる』とシャルハル氏が言い、この一件は沙汰やみとなる。シャルハル氏の車の電気系統はやばい状況になり、一刻も早く山を下りないと心配な状況になったのだ。

 

別荘住宅

それからノルジャンの家へ行った。郊外の高級住宅という感じ。高い塀に囲まれ、がっちりした門がある。中も立派で広い母屋、離れ、台所などに分かれていた。我々は庭に設えられたテントの下で食事を取った。実に気持ち良い風が吹いてきた。テーブルにはふんだんに食べ物が並んだが、N教授と私は既に昼食を食べ過ぎており、それほど食は進まない。

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この家にはノルジャンの家族、奥さんと子供が3人住んでおり、一番上の息子は現在マレーシア留学中、偶々夏休みで帰省しており、顔をそろえた。ノルジャンの母親も同居、また親類も何人か住んでいるようだったが、よく分からない、それほど広い家だった。まだ小さい娘が二人おり、とても可愛らしい。Pさんの息子にもなついており、一緒に遊んでいた。

 

 

 

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ノルジャンの奥さんも中国からの移住者で北京に住んだこともあるという。我々の為にわざわざ餃子を作ってくれていた。ミルクティと一緒に食べる水餃子、おつなものだ。それにしてノルジャンがランチの件で怒っていた理由が分かった。これだけの用意をして待っていたのだから、来ないのは勿論、来ても食べられないでは済まされない。この誤解は時間感覚にあるのだろう。我々は13時半出発といえば当然『ランチ後』と考えるから昼を済ませるが、イエルン氏からすれば13時半といえば『ランチを食べに行く』という意味が伝わると考えたのだろう。隊長であるPさんが仕切らないからこのようなことが起こったのかもしれない。グループには仕切り役が必ず必要だ。

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食後も風に吹かれていると、N教授が『ちょっと見学』といってどこかへ行く。私には『タバコ』が直ぐに浮かんだが、ノルジャンは敬虔なイスラム教徒で酒もたばこもご法度。当然この家の中では吸うことはできない。何とか門から外へ出ようとしたようだが、門は手では開かなかったらしい。あっさりノルジャンに捕まり、一緒に外の見学をしたようだ。

 

また家の中に入るとシャルハル氏がDVDを見つけた。高倉健主演の『君よ憤怒の河を渡れ』、日本人でこの作品を知っている人は余程の高倉ファンか、でなければ中国関係者といってよい。この映画は80年代中国で大ヒット、当時の中国人なら誰でも一度は見たことがあるほど有名な作品。中国語名は『追捕』といい、あまりにも違うそのタイトルに戸惑ったことを覚えている。N教授は先日、『そんな映画見たことない』といっていたので、シャルハル氏が見せてくれた。ただ中国語吹き替えだったので、雰囲気だけ味わい、早々に退散した。

 

夜は酒類販売禁止

既に暗くなりかけた。シャルハル氏の車は故障気味であり、また暗い場所の運転は避けたいとのことで、ノルジャン家を出た。が、市内まで結構遠い。また道にも迷い、少し渋滞もあり、結局市内に入った時は既に真っ暗だった。

 

まっすぐホテルへ戻らず、スーパーへ行く。色々と料理の材料などを買い込むためだ。アルマトイには車で行く大型スーパーがいくつもある。日曜日の夜なので人が多いかっと思ったがそれほどはいない。やはり人口の少ない国なのだろうか。

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N教授は先ほど飲めなかった酒類へ進む。実に沢山のお酒が売っており、気勢が上がった。ワインにしようか、ウオッカにしようか、と迷っていたが、何となく売り場が変だった。鉄のチェーンが緩く巻かれていたのだ。係員がやって来て何か言いだした。聞いてみると『酒は午後9時から翌朝までは販売禁止』だそうで、結局買うことができなかった。ロシアでもアル中が多いと聞いたことがあるが、この辺りもその影響があるのだろうか。ホテルに帰り、N教授は何を置いてもビールに手を伸ばした。彼の長い一日がようやく終わった。

 

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