アジア一の先進国 シンガポールを旅する2013(2)バクテーと茶

摩天楼に登る

一端チャイナタウンに戻る。ライトアップされていて本当にテーマパークのようだ。レストラン街も完全に観光客目当て。古き良きチャイナタウンはそこにはない。客を呼び込む人たちの中国語の発音がやけにいい。どうやら大陸から来た人が働いているらしい。シンガポール人はこういう仕事はしない。

次に向かったのはラッフルズプレース。これは先程のタンジュンパガーの隣の駅だった。既に時間は夜の9時、だが又歩き出す。周囲はビル街で人があまり歩いていないが、危険は全く感じられない。道に迷うかと思ったが、道路標示もキチンとあり、道も整備されているので問題なく到着。地下鉄の駅に降りるとコンビニがあり、眺める。水が1本、100円、コーラは150円、日本と同じような値段。香港より遥かに高い。後で聞くとシンガポールのコンビニは店ごとに自由に価格を決めるとか。日本人は殆どコンビニには行かず、スーパーで買い物するとか。

Mさんは香港時代の知り合いだが、今はシンガポールで働いている。月曜日に会う予定だったが、今晩も会いたいという。何故だろうか。Mさんと駅を出て、高層ビルに向かった。1階には長蛇の列が。シンガポールで一番高いバーへの直通エレベーターだった。1階でドリンクのオーダーと支払いを済ませて、上へ上がる。そこは香港にもあった、如何にも欧米人が好きそうなバー。

金曜日の夜ということで、屋上のオープンスペースは人で溢れかえっていた。こんなバブリーな場所がシンガポールにはあるんだな。六本木にもあるのだろうか。写真を撮ったが、上手く撮れなかった。Mさんは写真のプロ、「ここの夜景は難しい」と。彼はシンガポールの夜景を見せるためにわざわざ時間を取ってくれたのだ。有難い。

そして歩いて帰る途中、フードコートを見付けてしまう。そうなるとお粥が食べたくなる。香港でも食べられるのだが、やはりシンガポールと言えばフードコートのイメージが強く、夜中12時にも拘らず、粥を食う。幸せだった。このフードコート、10年前にも来た記憶がある。懐かしい。深夜に食べる粥も何故かうまい、でも値段はかなり上がったな、いや為替の問題か。

3月2日(土)  移民政策への反発

翌朝は8時過ぎまで寝ていた。ホテルに朝食が付いていた。ほんのちょっとした喫茶スペースでパンと卵、フルーツなどを提供していた。そこのおばさんは実に愛想が良く、欧米人に対しては英語で、私に対しては当然のように普通話で対応した。お客は香港や台湾系も多かった。広東語にも台湾語にも対応しているように見えた。凄い。

知り合いに紹介された人に会いに行く。聞けば大学の後輩だとか。既にシンガポールに数年、その前にインドネシアやタイにもいたらしい。如何にも我が大学の同窓生らしい。現在は日系の人材紹介会社で働いている。彼のオフィスもまたタンジョンパガーにあったため、また歩いて行く。土曜日の朝ということで、散歩している人がちらほら。10時前で既に暑い。

スターバックスで待ち合わせた。人は殆どいない。いつものカフェラテトールを注文すると何と5.5S$と言われる。日本円で400円は超えており、日本や香港よりやはり高い。これがシンガポールの物価水準か。

シンガポールもやはり労働者不足。しかし中国系が流入することに地元シンガポール人は反発を強めているという。目に余るほどの成金的な態度には同胞も、お金を落としてくれる優良顧客のイメージもなく、耐え難いらしい。移民促進政策を取った政府への非難も高まり、現在移民は難しいとか。また永住権を取得しても5年ごとのレビューで落とされることもあると聞き、ちょっと不思議に思う。

因みにシンガポールで働きたいという日本人の若者は増えているが、それなりのスキルがないと簡単には就職できないようだ。爽やかな屋外でコーヒーを飲みながら、ゆっくり話していると時間を忘れる。Hさんの淡々とした話も面白い。

バクテーが美味い

次は地下鉄、クラーキー駅へ。Hさんからはタクシーで行くよう言われたが、またまた歩く。しかしこれが意外に遠い。しかも昼の12時近く、暑くて参る。約束の時間に少し遅れてしまう。シンガポール、和僑会のメンバーであるIさんと会う。シンガポールには日本人起業家が沢山いるらしい。

ランチはバクテー屋さんへ。正直マレーシアのバクテーは苦手だったが、ここのバクテーは美味かった。スープの味が抜群。肉骨茶と書く割にはお茶の味が、と思っていたが、ここは良かった。お茶も個別に飲めるらしいが、ランチの時間は忙しいのでお茶は出さない。お客の回転を高めるための当然の措置だった。不動産の高いシンガポールでは当然か。今度はランチ以外の時間に来て、ゆっくりとここでお茶を飲んでみたい。

店が混んでいたので、別の喫茶店に移動。Ya Kun、カヤトーストで有名なお店。『朝食やおやつの定番メニューとしてシンガポールで幅広く親しまれている「カヤトースト」は、卵・ココナッツミルク・パンダンリーフ(香り付け用の葉)・砂糖で作られた「カヤジャム」をカリカリに焼いた薄焼きパンに塗り、薄くスライスしたバターをサンドしたもの』と説明され、食べてみると確かに美味しい。Ya Kunティーは砂糖とミルクの入った甘い飲みのもで、トーストと合わせて飲むとかなり国の中が甘くなる。シンガポールで食べると良いが、日本では甘すぎるだろうか。シンガポールだけでなく、インドネシア・韓国・台湾・日本に40店舗を超える店があるとか。これもまたシンガポール発の国際企業なのだ。

シンガポールのお茶

Iさんと話し込んでいるとあっと言う間に時間が過ぎた。次の約束は地下鉄City Hall駅の上に有るホテル。これまた1駅乗って乗り換えて1駅、という面倒くささ。しかし歩いて行く時間はとてもない。何とIさんと次に会うSさんは知り合い、電話で遅刻を告げてもらった。シンガポールはやはり狭い。

そしてバスで行くことに。シンガポールのバスは実にシステマティク。何番のバスが何分後に到着予定と表示されるので安心。と思っていたら、なかなか来ない。土曜日で渋滞もないのに何で、と思ったが仕方がない。Iさんとそこでまた雑談が始める。やはり地下鉄を使うべきだったと後悔した頃、そのバスはやって来て、あっと言う間にラッフルズホテルの目に私を連れて行った。やっぱり歩いた方が速かったのか。

Sさんはバンコック在住の知人の紹介。以前スリランカに住んだことがあり、紅茶に詳しいとのことで、シンガポールのお茶事情を聴いた。だが、やはりというか当然というか、シンガポールにはそんなに深いティーカルチャーは無いようだった。勿論アフタヌーンティなどはホテルに沢山あるが、シンガポール人で紅茶に非常にこだわる人は限られている。

ここは暑いせいもあり、「甘くて炭酸が入っている飲み物が好まれる」「例えばスポーツ飲料にも炭酸が入っている」など、この国独自の飲料も存在するようだ。また最近話題のTWGについて「この会社の実態は知らないが、非常にマーケッティングが上手い」と評しており、興味を持つ。

因みにSさんの本業も人材派遣会社。午前中に続き、シンガポールの人材事情を聴いたが、賃金が相当高くなっていること、優秀な人材は日系を選ばないこと、日本人学生がいきなりシンガポールで就職するには無理がある、など、参考になる話が多数出た。

シンガポールの茶芸館へ行く

その後、ホテル近くに戻る。シンガポールに今や殆どなくなった茶館を訪ねる。元勤め先の後輩S君一家とそこで待ち合わせた。店に行くと店員は普通話で話し掛けて来る。私はやはり日本人には見えないらしい。この店には福建省のお茶を中心に中国茶が沢山置かれているが、お客のメインは観光客。日本人も沢山来るらしい。店は数人のオーナーの共同経営で、中華系だが出身地もバラバラとか。お茶の値段はそこそこに高い。

二階が喫茶スペースになっており、何と靴を脱いで上がる。S家は前回もシンガポールに5年駐在し、今回2回目。前回は夫婦二人きりで余裕があり、S夫人は茶芸を極めていたが、その後(いつの間にか)可愛い女の子が2人もおり、今は育児に追われてお茶をやる暇はないらしい。

お店で人気の黄金桂を飲む。最初にお店の女性がやって来て、日本語で淹れ方を説明していく。彼女は日本への留学経験があり、バイトで日本人が来ると説明しているという。ただ以前と比べて日本人のお客さんは減っているとか。中国や香港に行くのだろうか。この店は最低消費が一人8S$と安くはないが、喫茶店に入っても、スタバでもそれなりにかかるシンガポールではリーズナブルかも。周囲はシンガポール人のカップルや友人同士といったお客が多く、まさに喫茶店のノリになっていた。

その後すぐ近くの餃子屋に移動して夕飯。日本人はどこへ行っても餃子が好きだ。このお店にも日本人が数組来ていた。昔中華は美味しくない、との印象があったが、恐らくはお金持ちが増えた今のシンガポールには、素晴らしい中華もあるだろう。でも料金も素晴らしく高いだろうと容易に想像でき、餃子は何といっても安定感にある食べ物となっている。





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