先日と同じ宿に入ったが、今回の部屋はそれほど良くはなかった。そしてまた食事難民となる。近所に鍋屋が何軒かあるのだが、一人で食べるには無理がある。食堂が目に入ったが、もう店仕舞い寸前。何とか海鮮麺を作ってもらい食べる。部屋に戻ってシャワーを浴びるとどっと疲れて寝込む。実はこの日が誕生日だったことも忘れていた。
5月15日(水)台中散策
朝は当然ゆっくり起きるつもりだったが、昨日の興奮からか、早く目が覚める。折角なので台中の朝ごはんを食べに行く。昨日陳さんが『台中の人は朝食に焼きそばを食べる』と言っていたのを思い出したので、少し離れた市場へ向かった。駅付近は朝も食べる所は多くない。市場に着いたが、どこに食べる所があるのか分からず、グルグル回ってしまう。諦めかけた時、突然目の前に焼きそばが現れる。
炒麺と最初の方に書かれており、周囲の人も食べていたので間違いはない。海苔スープと一緒に頼み、ついでに紅焼肉まで追加してしまった。豪勢な朝飯を頬張る。旨い。ここは公設第二市場で古くからやっており、お客さんも年配者が多い。若者はもっとこぎれいなカフェに行くのだろうか。
帰りに台中公園に寄ってみた。ここは40年前に初めて台中に来た時、台湾の人たちが日本語でカラオケを歌っていたのを鮮明に思い出して懐かしい。勿論その頃よりはかなりきれいになっており、池には噴水が上がり、緑豊かな場所になっていた。日本時代に整備されたこの公園内には神社跡もあり、また日本語で寄進者の名前が刻まれた石が残っていて、興味深い。
一度部屋に戻って、さてどこへ行こうかと考えていると電話が鳴る。陳さんが『台中駅前でイベントが始まるので来たら』というのだ。昨日あれだけ運転して疲れているはずの陳さん、今日は仕事で観光局のイベントに来ている。部屋の窓から駅前が良く見えたので、出て行ってみる。外は急激に暑くなっており、昨日の福寿山の涼しさが懐かしい。
観光局のイベントは周辺の街も巻き込んで、観光客誘致の活動だった。来賓も沢山来ており、花蓮地震への支援なども訴えられている。旧台中駅も開放されており、ちょっと見学する。イベントの方は来賓挨拶などが続いているが、暑いだろうなと心配になる。開会式後陳さんが来て『霧峰林家の当主を紹介します』というので、紹介してもらう。霧峰林家は台湾五代家族の一つで大富豪であるが、大変気さくな方で、林家の茶業についても聞いてみた。こういう気楽な出会いが台湾らしくて良い。
台中にもついにMRTが開通したと聞いていたので、一度乗ってみたいと思う。だが高鐵には繋がっているが、台鐵台中駅にはMRTは通っていない。仕方なく台鐵で大慶駅まで行き、そこから乗る。システムや車両などはほぼ台北と同じなのであまり新鮮味はない。それもあり、3駅ほど行ったところで降りてしまう。MRTは現在一路線しかなく、駅は20ほど。市政府を中心にした路線配置のようだ。
水安宮という立派なお寺があった。最近改修されたのだろうか。ちょっと中に入ったが、きれいだったので出てきてしまう。そこから急にバスを探す。5分ほど歩いたバス停で待つ。やってきたバスに乗り、ただただ揺られていく。途中までは乗客がいたが、最後は誰もいなくなった。嶺東科技高校という学校の先で降りる。暑さがすごい。コンビニでドリンクを買う。
その先にあったのは彩虹村。ここも眷村の一つであったが、取り壊しの話があった際、黄さんというおじさんが、壁に絵をかき、それが評判となって若者も絵をかいて有名になったという。2014年に正式に彩虹芸術公園という名称で保存されることになった。ところがコロナ中に業者が壁の一部を塗り潰してしまったようで、黄さんの絵は見られなくなったらしい(現在裁判中)。コロナ禍でもあり、見学も制限されていたが、最近は入れるらしいと聞き、訪ねてみた。