ある日の台北日記2019その3(9)新書発表会へ

11月3日(日)
新書発表会へ

ブランチに、近所にできたきれいなレストランに初めて行く。チェーン店だからとフラッと入り、何気なくサンドイッチセットを頼んだら、何と飲み物は別料金で、いつも食べているサンドイッチ+紅茶の倍の料金を取られた。正直そこまでの価値は見出せないので、もう行かないと思うが、地価の高い台北ではコストを考えた料金設定で、物価を押し上げている。

 

先日映画のお誘いのあったBさんから、今度はトークショーの案内があった。何気なく見ると、その対談相手は一青妙さんだったので、出掛けてみることにした。妙さんは、元々歯医者さんだというが、現在は作家、女優もこなし、更には交流活動のため、頻繁に日台を往復して活躍している。妹は歌手の一青窈さんであり、お父さんは台湾五大財閥の一つ、基隆の顔家出身という、何かと話題の多い人だ。

 

会場は、ニニ八国家紀念館。実は台北には2つのニニ八紀念館があるが、平和公園内にあるのは台北ニニ八紀念館で、例の王添灯関連の人々のサポートもあって作られている。今日行くのは国家の方だ。ここにも以前一度来ており、1931年に建てられた立派な建物だな、と感心した覚えがある。

 

今日のイベントは、一青妙さんの新刊書発表会だった。これまでも多くの作品を送り出しているが、今回はエッセイ集らしい。その対談相手に日本人のBさんが選ばれるというのも何とも不思議な気がするが。入り口を入り、階段を2階に上がる。時間的に早かったので、まずはニニ八関連の展示で、確認したいところを見て回ることにした。

 

それが終わって1階に戻り、受付をしていると、横を妙さんが通りかかったので、思わず声を掛けた。実は初対面だったが、既にFBでお友達になっており、埔里時代に東邦紅茶の件で、お尋ねしていたりしたので、何だか初めてという気はしない。彼女もそのことを覚えてくれており、『おばあさまは元気でしょうか?』などと、気さくに話をしてくれた。

 

おばあさまとは東邦紅茶の創業者、郭氏の奥様で101歳。実は妙さんのお婆様はこの郭さんの妹さんだから、相当にご縁は深い。おばあさまは一時入院していたが、今は元気に埔里で暮らしている。更にはBさんの所に行きましょう、と言って、控室に案内してくれた。妙さん、Bさんと3人、何となく繋がりがあり、面白い。

 

会場の方へ行くと、既に聴衆が集まってきているが、その中には日本人も混ざっていた。旧知Tさんを見つけて横に座る。出版社の社長や紀念館の館長の挨拶があったが、何だか日本人との結婚が話題の林志玲のお父さんもいたようで、『結婚おめでとう』などと言っている人がいる。式は台南で2週間後らしい。

 

妙さんが中国語で話し始めた。彼女は11歳まで台湾で過ごした経験があり、当然ながら中国語は流ちょうだ。話慣れているという部分と、何となく日本人に分りやすい言葉遣いなのがとても聞きやすい。この辺がハーフの強みであろうか。だがニニ八事件で顔家にも相当な被害があったことなどを話し出すと、思わず涙ぐんでしまい、台湾に、そして一族に対するその思いの強さも見られた。

 

いよいよBさんとの対談が始まった。二人とも控室では普通に日本語を話していたのに、ここでは中国語を使っている。Bさんなどは、一緒に留学した上海や北京の言葉を面白おかしく使い、笑いまで取っている。そして話題は日本から見た台湾。まあそれがエッセイにも散りばめられているから、新書の宣伝的要素もあっただろうが、なるほどと思う内容もかなり含まれており、楽しく聞いた。

 

対談後は記念写真、新書の販売と続いていく。やはり台湾の人々にとって、日本は特別なのかな、と思う。そして常に日本を知りたいと思っており、妙さんのような感性で書かれたものを中国語で読めるというのは貴重なのではないだろうか。妙さんを囲む人の列は絶えず、挨拶もしないままに会場から失礼してしまう。

 

Tさんと地下鉄駅に向かって歩き出す。来た時は違う駅を目指すことになったが、この辺りには歴史的な建物が沢山あるようで、楽しい。そしていつの間にか台北市植物園に迷い込む。こんな都会に、木々が生い茂る。日本時代に作られた植物園で、その当時の建物も残っており、市民が楽しそうに散策している。台北市内でも行ったことがない場所がまだまだたくさんあると知る。

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