ある日の台北日記2019その2(2)台北をフラフラ

3月29日(金)
静岡県事務所へ

私は昨年まで静岡県の茶雑誌に4年ほど、連載をしていた。お茶と言えば静岡だと思っていたが、お蔭で静岡だけでなく、日本全国を回り、色々な日本茶を見ることが出来たし、茶旅の報告までできて、とても感謝している。静岡県のために何かしないといけない、という気持ちはささやかながら持っている。

 

以前大学の先輩から台北にある静岡県事務所を紹介されたことがあったが、その時は埔里におり、台北に出てきたが時間が合わず、訪問しなかった。地方自治体がきちんと職員を派遣して業務に当たるのは、かなり大変なことだ。静岡は何故台湾に事務所を置いているのだろうか。

 

今年1月、台湾茶の歴史を簡単に話した折、ちょうど静岡県事務所の人が聞きに来ていたので、更に静岡と台湾茶の繋がりを強調してみた。静岡は日本一の茶産地であり、私などが何も言わなくても、繋がりは深いに決まっているが、歴史を掘り返すより、現在の発展が優先される面は仕方がないと思う。それに何より静岡の茶人材は多過ぎるほどいる。

 

今日はその事務所のNさんを訪ねた。事務所設立6周年になるという。色々と共通の知人の話が出たり、お茶のことを話したりしている内に、とんだ長居になってしまったのは申し訳ないことだったが、こちらとしては、『お茶を切り口に更に静岡をアピールする』のは悪いことではないし、茶業関係者を中心に、台湾人も日本時代に台湾に貢献した人の存在にはかなり興味が持たれる時代なので、茶業試験場を作った藤江勝太郎などをもう少し紹介してもよいのでは、と話した。

 

実は台湾には様々な形で静岡産の茶葉が流れてきている。今後は静岡茶を使ったフレーバーティーの店舗なども出店が予定されているようで、紹介するチャンスもありそうだ。またお茶を切り口にした静岡への茶旅も、台湾人なら受け入れそうな雰囲気があり、富士山、温泉、お茶などを組み合わせたプランは有効かも知れない。インバウンド資源は沢山ある静岡だが、新たな魅力を伝えるのは悪くないと思う。

 

3月31日(日)
小籠包から居酒屋へ

先日白酒を飲む会で出会ったYさんから、お茶についての質問を受ける。このYさんも前回のSさん同様、どこかで会ったことがあるかもしれないと思っていた人だった。結局人違いだと分かったのだが、某金融機関に全く同じ時期に同じ姓の人がいたので、勘違いしたのだった。それでもその人のことを思い出したのも30年ぶりだったので、何となくご縁を感じる。

 

ランチを食べようと言われて向かったのは、東門。宿泊先から歩いて行ける範囲。途中に大安森林公園が横たわっており、意外と遠く感じる。この公園の中を初めて通ってみた。森林公園という程木々はないものの、池などもあり、景色がよく、写真を撮る人や家族連れで賑わっていた。

 

Yさんは東門に住みながら、日本と台湾を行き来しているようだ。指定されたのは老舗の小籠包屋さん。ずいぶん昔に来たことがあるような店だった。東門、永康街といえば、日本人観光客が押し寄せる場所で、あまり寄り付かない。特に鼎泰豊の行列にはちょっとどうかと思っているが、ここはすんなりと入店できた。

 

よく見てみたが、日本人は我々二人しかいなかった。Yさんによれば、以前日本人は多く来ていたというのだが、もう飽きられてしまったのだろうか、それとももっと別の店に集中しているのだろうか。ここの小籠包は大き目で、元々の上海当たりの形に近く、それが台湾的な薄皮になっている。鶏ガラスープはあるのに、卵炒飯がメニューにないのは、小籠包が主食、という意味だろうか。

 

夜もまた歩いて出掛ける。帰国が決まってしまったSさんと会う。指定されたのは市民大道。私は昔の台北を結構知っているつもりが、その時、市民大道などという道はなかった。私が立っている復興南路辺りは、1990年代半ばに開通したらしい。上には首都高が通っており、渋滞はかなり解消されたのだろうか。

 

この付近には居酒屋が沢山あるので一度入って見たいというのがSさんの希望であり、私は入ったこともないので、フラフラ歩きながら店を物色してみる。確かにレトロ風からおしゃれ系まで、ここは日本かと思えるような様々な店が立ち並んでいた。お客も若者が多かった。

 

日本風の居酒屋に入っていくと、ほぼ満席で一番手前の席しか空いていない。ビールにホッケなどの魚やホタテを焼いてもらったが、思ったより料金は高く、これは日本で食べた方がよいと思う値段。ということは、日本を想定したサービスで台湾人向けに作られているということだ。台湾人にとって日本食はある程度高くても行く場所。当然ながら日本人は我々しかいない。やはり日本人は台湾では台湾料理を食べるのがコスパは良い、と理解した。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です