ある日の台北日記2019その1(8)皆が台湾を好きなのか

1月21日(月)
皆が台湾を好きな訳ではない

今朝も疲れが残っていた。歳をとると疲れが抜けない、と聞いていたが、確かに一度無理をすると、回復するのにかなりの時間を要するようになったと実感する。これはもう仕方のないことだから、いかに回復させるか、どのように休めば回復するのか、など考えながらやって行かねばならない。今日は久しぶりに鉄板サンドイッチを食べて、英気を養う。疲れは気持ちの問題も大きいと思うので、好きな物を食べ、気分をよくするのは良い。そして1時間ほど、当てもなく街を彷徨う。

 

夜は広方圓に行く。ご無沙汰が続いているが、相変わらず湯さんは若々しい。ここで何回も待ち合わせをして食事に行ったKさん、4年半の台北生活にピリオドを打ち、日本に帰るというので、最後に会うことにしたのだ。いつもは会うとすぐに食事に行くのだが、今晩は湯さんと話が弾む。彼女がまだ仕事を決めていないというと、『一緒にやろうよ、色んなことできるよ』と励ましている姿は、やはり日本とは違う。サラリーマンとして仕事を考えるのではなく、ビジネスを中心に仕事を考える、これは大切なことだと思う。

 

話し込んでいるといつの間には夜の8時も過ぎてしまう。慌てて外に出たが、双連付近の店は結構閉まっていた。Kさんが残業後偶に行くという餃子屋が開いていたので、そこで食べた。しみじみ餃子を食べていると、『私はやっぱり台湾より、中国の北部(大連、天津滞在経験あり)が好きなんですよね』という。皆が皆台湾を好きな訳でもなく、中国の東北地方が良い人もいる、というのは、昨晩の火鍋でも実感した。ましてや旅行でちょっと来るのではなく、仕事をするのは台湾とて簡単ではない。彼女のこれからはどうなるのだろうか、ちょっと気になる。

 

1月22日(火)
王さんと再会

今朝も外に出る小雨が降っている。腹は減ったが傘を持っていなかったので、すぐ近所の店に飛び込む。実は前から気になっていたのだが、店構えが可愛らしくて、入りづらかったので、良い機会が与えられた訳だ。店内もどちらかというと女性指向の内装デザイン。若い夫婦がやっているようで、人当たりもよい。

 

圧力トースト、とは何だろうか。コーヒーと共に注文する。出てきたのはパンを2枚使って型にはめ、隙間を無くして、中にチーズやハムを入れたホットサンドだった。これはこれで美味しいのだが、ちょっと私のイメージとは異なる。小さい店でほぼ女性しか客がいないこともあり、場違い感が半端ない。

 

午後は雨も上がり、ニニ八紀念公園に向かう。ちょっと早めに来て、公園内にある台湾博物館を見学する。ここの前は何度も通っていたが、入ったことが一度もなかったのだ。この建物、実に重厚な作りで、重みがある。1915年に児玉源太郎、後藤新平を記念して作られたというから100年以上経っている。この二人の台湾における貢献がよくわかる。

 

館内は2階が修理中で閉鎖スペースが多い。廊下では日本時代の建物が残っている高雄の展示が行われている。3階では、日本時代に各産業において台湾で活躍した日本人が紹介されており、ちょっと勉強になる。特に民俗学、植物学に目が行ってしまうのは、今の勉強テーマの性だろうか。

 

この博物館、公園を出て道路の向かいに別館があった。そこは土地銀行の建物。何と広い金庫室に色々な展示があり、面白い。勿論銀行なので、金融関連の歴史が多く示されているのだが、ちゃんと茶葉貿易の金融についても解説されているから、やはりその時代、茶が一大輸出産業だったことを物語っている。辻利茶舗の旧店舗が写り込んだ写真まである。その上の階には恐竜がいたりして、纏まりはあまりないが、いい暇つぶしにはなる。

 

今日は昨年11月にお会いして、戦前の大連、天津の様子を聞いた王さんと再会する。12月に王さんの話をもとに、この二都市を歩き、戦前の様子を垣間見てきたので、その報告をするためにご連絡をしたわけだ。紹介してくれた黄さんに連絡しなかったのは、王さんが日本語で話すため、気を使ったのだが、黄さんに話を通さなかったから、紀念館の応接室を使うことが出来なかった。館の隣にカフェがあったので、そこで話をする。

 

王さんに今の大連、天津の写真を見せてみる。殆ど面影はないようだが、時々『ここは昔と変わらない』とか、『この付近はこうだった』という反応がある。既に戦後74年、当然大きく変わっている。王さんが住んでいた場所、店などはとうに歴史の中に埋もれてしまっている。それでも懐かしそうに写真を眺め、色々と思い出すことがあるようで、ぽつぽつと思い出が吐き出される。こういうやり取りが実に貴重な体験談を生むことになることを何となく知っている。

 

話が終わると王さんと分かれ、台北駅の方へ歩く。実は明後日突然豊原へ行くことになり、自強号の切符を事前に買う。窓口は混んでいるので、自販機で買ったのだが、思った時間の列車、何と指定席が取れていなかった。慌てて窓口へ行き、一本遅い列車の指定席を確保する。やはり窓口の方が早かったか。

 

そのついでに、駅の2階の食堂街で夕飯を食べようと店を物色した。日本食でもたまには食べようかと思っていると、何とカレー店ばかり4つが集まっている一角がある。思わず名古屋カレーの店でオムライス・カツカレー?を注文して食べてしまう。台湾って、こんなにカレーが好きだったのか。そういえば最近街中でもカレー屋が目につく。

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