ある日の台北日記2019その1(7)アートを見て、火鍋を食べて

1月19日(土)
アートを見て新鮮な気分に

昨晩台南から戻り、ちょっと疲れが出ていた。やはり4日で台湾一周、もう若くはない私にとっては、厳しい旅だったのかもしれない。朝は今一つ起き上がれない。そして台北はやはり涼しい。風邪でも引かないようにと余計慎重になる。台南での出来事をかなり引き摺っていたかもしれない。

 

昼過ぎに歩き出す。外に出るとかなり暖かいので、ゆっくり歩いていたら、Bさんとの待ち合わせにまさかの遅刻だ。今日はBさんの知り合いがキュレーターとして参加した現代アートを見に行くことになっていた。場所はある財団が建てた市内一等地の施設。台湾にもよく見ると色々な施設があるようだ。

 

この展示会は、台湾だけでなく、日本人やヨーロッパ人など数人のアーティストが、それぞれ独創的な作品を作り、共同で展示したものだった。なぜこれを作ったのか、これにはどんな意味があるのかな、などと思いながら見るのは、何とも新鮮な感覚を持つ。また各作家が幼少期の思い出を表現する作品もあり、各国、各人の個性がはじけていて、大変参考になる。偶にこのような作品に触れると、新たな思考を持てる気がした。

 

展示館の外に出ると、そこには高雄の軍から借りてきたという、大砲が設置されていた。その上には大砲に支えられた?部屋があり、中に入ると、ソファーがある。そこに座っていると僅かに揺れが感じられ、台湾の独立は、そして我々の平和は武器によって支えられている、というメッセージを強く感じた。この作品が日本人によって作られたものとは、ちょっと意外であった。

 

昼ご飯を食べようと近くの有名食堂に行ったが、土曜日でもあり、長い行列が出来ていた。2人とも行列してまで食べるタイプではないので、他を当たることになる。ちょっと歩くと、馬祖乾麺という看板が見える。珍しいので入ってみると結構お客がいる。名物黒麻麺、というのを頼んでみる。まあ黒胡麻ペーストを混ぜて食べる麺か。以前馬祖に行ったことがあるが、こんな麺、あったのだろうか。確かあの時は食堂がなく、あっても早く閉まるので困った思い出しかない。

 

まだ時間があったので、どこかでお茶を飲もうと探し回るが、適当なカフェが見付からない。以前あったところもいつの間にか閉店していたりで、移り変わりが早い。いつもなら歩いていれば簡単に見つかるカフェが、敢えて見付けようとすると見付からないのは実に腹立たしい。

 

Bさんがスマホで検索して、ちょっと離れたカフェを見つけ出し、行って見た。そこは小さなスペースだったが、本格的なカフェで、バリスターの店長?がじっくりコーヒーを淹れていた。先日行った芝山のカフェほどではないが、十分にいい料金を取っている。それでも後から若者が入ってきて、店は満員盛況だ。台湾では現在間違いなくコーヒーブーム、ちょっとしたスペースで気軽にカフェを開き、自らの腕を試している若者も多いようだ。我々は若くはないが、そこに交じって30年前の若い頃の話をした。帰りはまた歩いて行く。

 

1月20日(日)
東北火鍋を堪能する

何とも涼しい日が続いている。昨晩遅くに、広東系の蝋焼定食を食べて腹が一杯になり、翌朝は絶食?した。食べ過ぎは体調を悪くすることが十分に分かっていた。部屋で大人しく、旅行記を書き、資料を眺めて過ごす。こういう時間が私には必要なのだ。もう若くはないのだから。

 

夕方、それでも出掛けた。小雨が降り、寒い夕暮れだった。MRTに乗り、指定された食堂を目指す。今日は後輩のSさんといつも茶旅でお世話になっている黄さん夫妻と4人で火鍋を食べることになっていた。台湾にも沢山の火鍋はあるが、これから行くところは中国の東北人がやっている本格的な店だと聞いていた。Sさんはその昔、長春に留学経験があり、そこにはこだわりもある。

 

店の前に行くと、寒いのに外まで客が溢れていた。午後5時半の予約が取れない店なのだ。これは期待が持てる。店内では、あの懐かしい先が尖った煙突を持つ鍋が煙を吹いている。涮羊肉、まさにそれだった。たれも自分たちで配合して作るように専用テーブルに置かれている。

 

先ず出てきたのが、地三鮮。これは北の料理の定番で、台湾では普通は見ない。水煮肉も登場する。これは四川料理だが、北京では定番品だ。そして羊肉が出てきて、しゃぶしゃぶが始まると、夢中で食べてしまった。寒いだとか、疲れたとか、全て吹き飛んだ。恐るべき威力を持つ。Sさんには感謝しかない。

 

2時間制ということで、多くの客が待っているので外へ出た。満足した。その後デザートを食べに行く。豆花、これも色々とバリエーションがあってよい。寒いから暖かい豆花を注文する。そして政治から文化まで、様々な話題で話は尽きず、何と閉店まで話し込む。帰りも小雨が降っていたが、体は暖かかった。

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