ある日の台北日記2018その2(2)王さんと1日

9月7日(金)
海南チキンを食べて

翌日は所用で交流協会へ。一応こちらの雑誌に連載させて頂いており、担当者も変わったと聞いたので、ご挨拶に伺う。この部署は旧知の仲であるBさんがいたポジションであり、皆さんその後輩に当たるということで、初対面でも話が弾む。更には半年前に既に会っていたKさんも参加してくれたので、実にスムーズだった。更には残りの午前中は図書室で資料を探す。読みたい本は沢山あるが、それを読んでいては、茶の歴史が進まない。残念。

 

ランチはその旧知のBさんと南京復興駅近くの海南チキンライス屋で待ち合わせた。ここはかなりの有名店で、ランチは早くから人が並ぶということで、早めに行ってみると11時半過ぎで行列が出来ている。私も最後尾に並ぶ。セットメニューがあったのでそれを頼む。内容は台湾式弁当の延長だ。

 

私はかなり海南チキンライスが好きな方で、既に食べ始めてから30年以上は経ち、食べた場所もマレーシア、シンガポールは勿論、香港や日本など数か国には及ぶ。タイはカオマンガイと言って、海南チキンの廉価版(マレーシアにも安いのはある)だと認識しているが、今回のこれもどちらかと言えば、カオマンガイの雰囲気が漂う。台湾人がマレーシアあたりで修行して戻ったということだが、若干台湾的になっているのはやむを得ない。

 

 

それから近所のカフェに入る。この辺はおしゃれな雰囲気で、一杯のラテは海南チキンよりずっと高い。お客が沢山入っている訳でもなく、どのように経営しているのか、とこちらが心配になってしまう。取り留めのない話をしているうちに、何と雨が降ってきて、しかもかなり強い。結局このカフェに2時間以上雨宿りしてから、家路に着く。こういう時はU-bikeが使えず、困る。

 

仕方なくMRTに乗って帰ると、最寄り駅の大きな看板に気が付く。バドミントン女子の世界ランク一位、戴資頴を使った広告だったが、これがかなり格好良い。バドミントンは長らく中国選手がトップだったが、最近は様相が一変。タイ、インド、スペイン、そして日本選手もトップ10に入る混戦ぶりだが、彼女はこの2年間、ほぼトップを維持している。台湾も最近はスポーツで目立つ選手が出てきており、喜ばしい。

 

夜は麺が食べたいと、近くを散策して探す。古そうな店なのだが、若者が経営しているのか、または意見を取り入れているのか、パスタのようなものを出す店があった。台湾人も基本的に柔らか麺を好むのだが、そこに掛かっているソースは相当に辛いので、ビックリした。台湾の若者は刺激を求めているのだろうか。

 

9月10日(月)
茶商公会を訪ねて

土日は休息、これは埔里時代からの鉄則?だった。それはバスなどで出掛ける際、観光地であるため異常に混んでいるからであり、台北のように何時も混んでいるところでは当てはまらないのだが、何となく習慣化しているのが、自分でも面白い。

 

月曜日は朝から茶商公会に行ってみる。こちらでも数か月前、何人かの茶商の末裔をご紹介頂き、その後色々と話が聞けており、かなりお世話になった。今日はその報告と、そこにある資料の閲覧のために、やって来たのだ。游総幹事も非常に親切で、更に色々と教えてもらう。

 

特に茶商公会の日本時代の歴史、これはあまり資料がないということだったが、既に徐先生らが整理して、1冊の本が出ていた。実はその本、前回ここで見た時に王さんが私の分も購入してくれ、何と今日、その本を持ってきてくれたのだ。これでこの時代の公会の動きがかなり鮮明になって来た。おまけに公会にもその原本が残っているものもあって、ちょっと感激した。

 

王さんが昼ご飯に連れて行ってくれた。迪化街を北上し、乾物屋などの商店が途切れたあたりに、その店はあった。何人か並んで待っていたが、彼女は構わず並び、まずはオーダーをした。地元民が並んでいる店、ということで有名らしい。つられて観光客も並ぶとか。魚丸麺、内臓系も美味しい。王さん、ご馳走様。

 

それからまた王さんに連れられて大稲埕水門近くの王錦珍茶行に行く。ここでは以前お父さんから歴史の話を聞いたのだが、今日は若い3代目が対応してくれる。彼はかなり優秀で、Webデザイナーをやりながら、茶業を継ぐ準備をしている。既に日本茶アドバイザーまで取得済み。日本語もある程度出来、東京ドームに仲間と野球に行くほどだ。

 

その彼が淹れてくれたのが、高山茶とコーヒーを交ぜたもの。絶対美味しくないと思ったが、何と珈琲の強い香りの中でも高山茶の澄んだ香りがちゃんと出ていて驚く。コーヒーは彼が丁寧に淹れている。どこでこんなものを学んだのかと聞くと、やはり日本だという。日本には色々なものがあるのだが、私の気が付かないだけで、彼らの方が余程よくしている。

 

一度家に戻ったが、夜もまた王さんの誘いで宴会に向かった。中山北路の交差点で信号待ちしていると、いきなり声を掛けられた。以前会った茶商の末裔、李さんだった。こんな偶然あるのだろうか。それから指定のレストランへ行くと実に立派だった。オーナーは茶業者だという。来ていた人は静岡から3人、そして元徳記洋行に勤めていた台湾人がいたので、思わず色々と聞いてしまった。食事も大変美味しく、宴会は盛況だった。このオーナー、今度ゆっくり話を聞きたいが、忙しそうだな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です