ある日の埔里日記2018その3(4)お茶合宿2日目

4月30日(月)
2日目

翌朝は快晴だった。6時台には起きてしまい、鹿谷を散歩する。山の方に少し登りたかったが、その時間はなく、あまり遠くには歩けないので、知っている道を上がり下がりしながら、僅かに残る茶畑を見る。そしてどこかで朝ご飯をと考え、探したが、意外と見付からない。何とかありついたのは、やはりサンドイッチ。場所は廟の前。何ともローカル感があってよい。

 

午前8時に宿を出発。今日はどこへ行くのだろう。鹿谷の中と聞いていたが、車に1時間も乗る。鹿谷郷も相当に広い。皆初めて行くところで、何とか探し当てたその場所は、普通の民家、いや花生糖の看板が出ており、お茶屋とは思えない。あまり外国人が来たことがない様子だ。ここではこれまで聞いたことがない茶産地のお茶を味わい、お土産に花生糖をもらう。

 

それからまた車を走らせ、李さんのところへ行く。彼は焙煎師として有名で、いいお茶を沢山持っていた。台東の原住民出身ということで、様々な苦労を乗り越えて、食べるために茶業をやって来た、と率直に明るく語る姿が何とも素晴らしい。焙煎室を見せてもらうなど、参考になった。

 

竹山のインタチェンジ付近でお菓子を買う。これも私にはあまり縁はないが、お茶会などで使う重要なアイテムだと言い、試食してみると意外と美味しいので驚く。そんな店がこの付近には数軒あり、台湾人も多くが買っていくのだろう。そしてそこから車は高速に乗り、梅山を目指していく。梅山には先月も行っており、2か月連続になる。九十九折を登っていく際は、後部座席3人の真ん中に座ったので、揺れが直撃した。

 

太平で標高1000mとなり、天空の橋を見ながら、トイレ休憩を取る。既に時間は12時を回っているが、この休憩所にはあまり食べるものがないということで、トイレだけで素通りする。全てにおいてお茶が優先、食事は二の次というのは、本当にすごい。

 

前回訪ねた瑞里などへは行かず、瑞峰という場所へ行く。この辺M氏は以前バイクで行き来していたという。結構な登りでカーブもきつい。私などはバイクで行くというだけでも尊敬してしまう。今回訪ねた茶荘も、悪天候の際に雨宿りして知り合ったというからご縁としか言いようがない。呉母子が迎えてくれる。M氏は中国語が出来ないということだが、まるでエンジニアのように茶の専門用語は知っており、それだけでも会話が成立してしまうから恐ろしい。

 

更に坂を上って行くと、もう一つ茶農家があった。ここには94歳の老人がいるというので、梅山の茶の歴史を教えてもらおうと張り切って行ったのだが、残念ながら不在で、お嫁さんが対応してくれた。聞けばなんと、茶畑の草取りをしに行っているというから、驚きだ。恐らくは人手がないという大きな理由以外に、草取りをしながら、茶畑、茶樹の状況を把握しているのだろう。お茶を飲ませてもらって早々に退散する。

 

続いて、メイン道路から外れていく。そこは皆が初めて行く場所で周囲には家もまばら。ここに茶荘があるのかというところだった。もう日も西に傾き、疲れがかなり出ていた。取り敢えず席に着き、お茶が出された頃、私は疲れから睡魔に襲われてしまう。M氏が何かを話したが、もう耳には入って来ず、通訳の任を果たせなかった。

 

通訳はI氏に任せて、気分転換に外へ出た。隣には古そうな民家がある。覗きに行くと犬に吠えられた。茶荘の奥さんが案内してくれ、外から民家の様子を見る。100年以上は経過しているらしい。茶作りは最近のことだが、人は昔から住んでいた訳だ。その横には更に古そうな建物がある。

 

その建物は既に壊れており、中を覗くことができたが、家は太い柱で支えられており、かなり立派だ。更には何と畳の部屋があり、襖絵が描かれていた。これは日本時代の設えに違いないが、一体なぜこんな山奥にこんなものが残されているのだろうか。お宝を発見した気分になる。

 

少し回復したところで、また車に揺られていく。段々と苦行のように思えてくる。次に向かったのは、油車寮というところにある茶工場。ここはかなり大きく、立派な車が停まっていた。従業員が一日の作業を終えて寛いでいた。主人の郭さんは、日本の茶道具などに興味があり、今回もわざわざM氏が日本から持ってきたものを渡していた。台湾人で日本の骨董などに興味のある人は実に多い。もうこの辺まで来ると、疲れ果てて、飲んだお茶も全く覚えていなかった。

 

そしてそこから車で1時間強、ついに阿里山の奮起湖に辿り着く。もう辺りは真っ暗だが、車は予約した宿の前には行けないということで、かなりの上り階段を歩く。何とか辿り着いたそこは、如何にも観光地。阿里山鉄道の駅があるところだから、仕方がないか。部屋にはなぜか日本時代のポスターの復刻版が貼られていて、何となくおかしい。

 

夕飯は一応ここの名物の焼肉弁当を食べる。180元だが、他に食べる所もなく、味もまあまあなので良しとしよう。夜の奮起湖、鉄道駅周辺以外は完全な山だ。標高も1700mぐらいあるようで、かなり涼しい。これだけ疲れていて、静しければぐっすり寝られるだろうと思ったが、意外と寝つきが悪かった。

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