ある日の埔里日記その3(5)Uさんがやってきたが

5月7日(日)
Uさん来訪

今朝は鹿谷からUさんがバイクで遊びに来てくれた。Uさんとは6年前、鹿谷で出会って以来、こちらが鹿谷に行くと世話になっている。今回初めて、彼の方がやって来た。春茶の買付、色々と苦労が多いようで、その気晴らしということらしい。それにしてもバイクというのは便利なものだ。どこへでも移動できる。

 

しかし彼が埔里に来ても行くところがない。正直埔里には鹿谷ほど、良いお茶があるとも思えない。親しくしている茶荘もそれほどない。仕方がないので、ホテル前のベンチに座り、雑談を始める仕儀となる。今年の台湾茶も天候により、かなり厳しい。妥協せず、クオリティを求め、茶葉の買付を行うのは年々難しくなっている。彼の苦悩もどんどん深くなっていく。

 

それから葉さんの店に行くが、彼は茶園に行っており不在。まあこの時期に暇な人はあまりいないだろう。適当に道具を使わせてもらい、茶葉を見付けて飲んでみるが、ちょうどよいお茶には出会えない。こんな遊びにもすぐに飽きてしまう。茶の作り手も茶商同様、苦労しているだろう。

 

昼ごはんでも食べようかと出掛ける。イタリアンが食べたいというが、この街に本格的なイタリアンなどあるのだろうか。私はいつも一人で食事しており、殆ど台湾料理で満足しているので、誰かと行く店を知らない。Uさんは鹿谷にもう1か月もおり、食事の選択肢は埔里より限られているため、何とか新鮮味のあるところを探したい。

 

あまりに台湾ぽいところを避けた結果、若者が行くようなこぎれいな店に入った。イタリアンというより、洋食だろうか。結局よくわからないものを注文し、よくわからない味を食する。日曜日ということか、店は満員なのだが、この中途半端な感じは結構きつい。一般的には台湾人も香港人などと同様に、パスタは麺が柔らかくないと食べない。日本のパスタは硬過ぎるといつも言う。食文化の違いは大きい。

 

食後、葉さんが店に戻ってきたというので、もう一度訪ねた。Uさんと葉さんは初対面。私が初めてここに来た時、鹿谷から車を運転してくれたのはUさんだったが、その時も葉さんは茶園におり、彼が帰った後降りて来た。各地の茶園の状況などが話題に上るが、それほどいい話はない。

 

魚池にも行ってみることになる。Uさんのバイクの後ろに乗り、ヘルメットを借りて出発。今日は山茶の王さんを訪ねることにした。彼も茶園に行っており、連絡するとわざわざ戻ってきてくれた。王さんは茶作りをしているが、様々なお茶を収集しており、紅茶だけでなく、烏龍茶やプーアル茶まで登場してきた。そして前回美味しく頂いたバナナまで出てきて、また持ち帰ってしまう。

 

話の中でUさんが『そういえばこの辺に以前黒肉麺という店があったような』というと、『それはうちの隣にあった店だけど、色々とあったようで』と王さん。いつの間にかなくなり、大陸客を当て込んだ豪華な店ができたが、客が来なくて閉店している。『黒肉麺の店は魚池から埔里に移っているよ』と言われて、はたと気が付いた。そんな店が家の近くにあったことを。

 

Uさんは急にそれが食べたいと言い出し、何と鹿谷とは逆方向の埔里へバイクを走らせる。まあ私は送ってもらって助かった。ところがいざその店に行ってみると、何と昼しか営業していないことが分かる。かなりのショック。Uさんはそのショックを引きずったまま?埔里を離れ、帰っていった。

 

後日この店に行ってみると、黒っぽく揚げられた排骨と麺が出てきた。その味は何となく日本を想起させるものがあり、普通の排骨とは少し違っていた。昼は弁当を買いに来る客でかなり混雑しており、埔里に移っても人気店のようだ。因みに埔里酒廠の近くにもう一店舗あり、そちらは夜もやっているとのこと。謎の看板の意味が分かり収穫があった。

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