ある日の埔里日記2017その3(2)安宿から華信航空に乗る

4月25日(火)
台北へ

 

昨日の疲れが相当に残っていた。いや昨日だけではない。数か月の疲れが噴き出してきて、起き上がれなかった。それでも今日は台北に行かなければならない。明日福州に行くフライトは早朝で、しかも松山から出るのに気が付かなかった。どうやっても今日中に台北に行き、明日の始発前に松山へ行かなければならない。

 

午後2時にバスに乗った。一昨日と違い、空いていた。夕方のラッシュ時にぶつかるかと思ったが、極めて順調に5時すぎには台北に戻って来た。ちょうど二日ぶりだった。今回はまさに寝るだけだと思い、いつもの定宿ではなく、ネットで一番安い個室の宿を探したところ、何と1泊700元というのがあったので、怖いもの見たさに予約してみた。

 

場所も森林北路で、長春路の近くと便利な場所。バスターミナルからゆっくり荷物を引いて行っても15分位で着いた。ビルの3階だったが、中はきれいだった。昨年改修工事をしたばかりだという。以前は何だったのだろうか。フロントの女性の対応はとても親切で好ましい。

 

部屋はかなり狭く、椅子が壁にぶつかるが特段問題はない。小さな窓もあり、料金相応だろう。ただ部屋のドアは自動ロックで内側から開けるのになぜか苦労した。ちょっとシステムに問題があるのだろうか。一瞬閉じ込められたかと思った。またクーラーの調節ができないのは老人の私にとってはちょっと残念。

 

取り敢えず夕飯を食べに外へ出る。双連駅近くに屋台があると聞いたので出かけてみた。以前も何度か前は通ったが、一度食べたきりで全貌は分らなかったので興味津々。でも意外と数が少ない。後で見てみるとかなり広範囲にわたって店があるようだったが、腹が減っていたので、普通の弁当屋さんに入り、定食で済ませる。私の場合『台北に行ったらこれを食べなきゃ』といった執着は既にない。

 

まだ夜も7時だったが、大人しく部屋に帰り、ちょっとネットをいじってからシャワーを浴びる。勿論トイレ・シャワーは共同なのだがお客に殆ど会わず、すんなりとシャワーを浴びることができた。これは私にとっては有り難い。ただここにはどんなお客が泊まるのかは分からず、それは残念。また夜中にトイレに起きても、誰もいないので気が楽だった。何となくクーラーがきついので良くは眠れなかったが、午前4時半には起き上がった。

 

4月26日(水)
福州へ

フロントも寝ているかと思いきや、ちゃんと男性がいてすんなりチェックアウトできた。安宿はこういうところで躓き易いがここはOKだった。午前5時に森林北路へ出たのは初めてではないだろうか。なんとまだ煌々と灯りをつけている店があり、驚く。往時?飲み屋街だったこの辺、今はどんな客がいるのだろうか。

 

地下鉄の始発は未だなので、タクシーに乗る。安い航空券を買ったのはよいが宿に泊まり、タクシーに乗らなければならいのはちょっとした出費だ。しかも車など走っていない早朝のこと、ものの10分で空港まで着いてしまう。空港には明かりはついていたが、チェックインは始まっていなかった。乗客も殆ど着ていない。なんでこんな早く来てしまったのだろうと悔やんでも遅い。

 

華信航空のチェックインは5時45分からと表示されていた。それまで大人しく待つ。頭の中には27年前、私が台北に駐在している時、お世話になっている台湾企業が、この華信航空を設立したことが急に思い出された。李登輝総統になり、色々な変化がある中、航空業界も中華航空1社というのは如何なものかとの議論があり、2人の財閥オーナーに新航空会社設立の打診があったと聞く。

 

1人がエバーグリーンの張栄発氏。昨年亡くなり、2011年の東日本大震災で10億円を寄付した台湾人として急に有名になったが、私がお目に掛かった20数年前も、すでに世界の最大手コンテナ会社のオーナーだった。彼は長栄航空(エバエアー)を創設した。私はこの会社の当初の訓練も見学し、CAさんの実験台として乗客役などをしたのが懐かしい。

 

そしてもう一つの航空会社が華信であった。この会社を設立したのが中国信託グループの辜濂松氏。私はこちらにお世話になっていたので、微力ながら力添えをした。ただその後、中華航空の傘下に入ったと聞き、残念に思っていたが、今日初めて搭乗できると思うと、ちょっとワクワクした。因みに張栄発氏と辜濂松氏が同時に日本より旭日重光章の叙勲を受けているのは、その貢献度の高さから言って当然だろう。

 

そんなことを考えていると、チェックインが始まり、私は出遅れてしまい、折角あんなに早く来たのに後ろに並ぶ羽目になった。飛行機に乗り込むと機体は新しく、きれいでよかった。朝ご飯としてパンと飲み物が出ただけで、フライトとしては僅か1時間ちょっと。サービスを受ける間もなく、かなり物足りない中、福州に到着した。

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