ある日の埔里日記2017(17)集集線を旅してみる

22日(木)
集集線を旅してみる

 

正月気分もだいぶ取れてきた。閉まっていた食堂も再開し、日常が戻りつつあった。今日は前々から行きたいと思いながら、行ったことがなかった集集線に乗りに行く。この電車に乗るには、どうやって行くのがよいのか。よくわからないまま、取り敢えず埔里からバスがあった水里へ向かった。

 

午前10時半にバスが来た。乗り込んだのは老人ばかり。ちょっと不思議に思っていると、この路線は日月潭に向かう王道などは通らずに、初めから山道を行く。九族文化村の方へ行ったかと思うと、今度は反対側へ。ものすごく遠回りだと気付いた時には、遅かった。ただただ揺られていくしかなかった。途中でほぼ全員が降りてしまい、乗っているのは2-3人となる。

 

山道を1時間以上進んで、ついにダムが見えてきた。そして車埕の駅らしい建物もちらっと見えた。ここが集集線の始発駅だとは知っていたが、周遊券が買えるのは水里だと聞いていたので、ここで下車せずに終点まで向かう。水里の街は先日葉さんの車で通りかかったが、こんなところに駅があるんだ、というような小さな駅だった。駅に横がバスターミナルだ。

 

窓口で周遊券を買いたいというと、『ニ水でしか売っていない』と軽く断られてしまう。一体何のために周遊券があるんだと言いたかったが、ない物は仕方がない。取り敢えず腹ごしらえをして、街を散策。ここは川を中心に街が成り立っており、日本統治時代は栄えたのかもしれないが、今はひっそりしている。

 

駅に戻り、まずは車埕まで一駅乗る。駅はかなり立派で、昔の雰囲気を出しており、既にテーマパーク化している。駅から外には出ずに10分後に折り返す電車にそのまま乗車して、集集駅まで乗ってみた。車内はきれい。単線のローカル列車が田舎を走っていく。何となく気分が出る。乗客は思いの他多くて、座れない。まだ正月休みで子連れが多い。中国から来た観光客なども乗っており、海外からも注目されているらしい。

 

駅前には集集鉄路文物館があったが、展示はごく簡単だった。1922年に開業したというこの路線、日本時代から921地震までの歴史が語られていた。隣には蒸気機関車や戦車が展示されている。駅舎は日本時代からの古さを誇っていたが、921地震で被害を受け、今は何とか再建されたということらしい。それにしても平日にもかかわらず、観光客が多いのでビックリしてしまった。

 

駅前から街を散策してみたが、特にこれというものはなかった。ここは完全に観光地化しており、古きよきものがある、という雰囲気はなかった。むしろ子供たちが来て楽しい、家族連れのレジャーの場、という感じがする。確かの列車の車両自体にもアニメが描かれており、それを証明していた。

 

とにかく人がないところへ行きたかった。線路沿いを歩いて行くと、段々と人が少なくなる。そんなところでなぜかフルーツを売っているおばさんがいた。わざわざ人通りがないところで何故なのだろうか。それでも何となく気になってみてしまう。向こうも気が付いてにっこりする。うーん、こういうのには何とも弱い。

 

更に行くと、軍史公園という場所があった。戦車や戦闘機が展示されている。なぜここにあるのかは全く不明だった。ただ見学者は少なくゆっくりできたのでよかった。帰りもテクテク歩いて駅へ向かった。徐々に人が多くなり、出来れば早くここを離れたかった。バスもあるようだったが、どこへ行ったらよいか分からなかった。結局ようやく来た電車に乗り込み、そのまま30分、終点の二水迄行ってしまった。

 

二水は集集線の終着駅でもあるが、台鉄にも繋がっている。次の駅は田中。この付近はその昔は、茶葉が運び込まれ、鉄道で台北などに持っていく中継地点の役割を果たしていたと聞いたことがある。駅付近を歩けば何か分かるかなと思い、散策を始める。駅前には人通りは殆どない。

 

駅前から伸びている通りを歩いていると、かなり古い建物がいくつか見られた。その付近がその昔栄えていた可能性を示すものだとは思うが、何しろ何も資料がなく、また表示などもないため、よくわからない。お茶屋らしいところもあったが、開いているのかさえ不明。仕方なく、いくつかの廟やら古い家屋を見て駅に引き返した。事前の調べが必要だった。まあ、元々今日ここに来ることは自分でも予想していなかったのだから、また来ればよい。

 

台鉄の普通列車は30分に一本程度しかない。それに揺られて1時間以上かけて、新烏日駅に辿り着いた。二水は彰化のすぐ南ぐらいに思っていたが、随分と離れていた。高鐵台中駅からバスで埔里に戻り、今日の長い、一周の旅が終了した。夕飯は、旧正月中ずっと閉まっていた、池上弁当で鶏排飯を食べた。ここの弁当の安定感とボリューム感は捨てがたい。

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