タイ巡礼、そして茶旅2017(13)シンポジウムでタイ茶業を考える

7月24日(月)
シンポジウムに参加

翌朝は早めに起きて、朝食へ。さすがに大型ホテルだけあってメニューは豊富だが、団体観光客の食事時間とぶつかると、混雑も半端ない。席を確保するのがやっとで、ゆっくり食べることもできない。明日からは時間を考えて食事をしよう。また外の席で食べることもできるようなので挑戦しよう。それにしても、この団体、どこから来たのだろうか。東南アジアもいれば、西洋人もいる。そしてチェンライで何を見るのだろうか?

 

本日はメーファールン大学で開かれるシンポジウムに参加することになっていた。私はそんなものに出る服装すら持っていなかったが、まあタイなので、と皆さんの後ろから付いてバスに乗っていく。昨日も来たこの大学、かなり規模が大きく、施設は結構新しい。その新しいビルの4階でシンポジウムは行われる。

 

会場に行ってみると、外側にはいくつものブースが設けられ、お茶や食品、中にはコーヒーの展示・試飲・販売が行われていた。見てみると、何と日本人形が置かれ、煎茶を急須で淹れて、売っている店がある。ここは以前訪ねたことがある、日タイ合弁会社の製品だ。飲ませてもらうと、やはり我々には味が薄いと感じられるが、タイ人は興味津々で多くが試飲している。

 

パッケージが可愛らしいものもあった。恐らく女性向けのフレーバーティのようだった。タイでは花をつける等、フレーバーティが合うのかもしれない。プーアル茶の餅も置かれている。雲南産となっているが、その原料の茶葉はタイで作られているのだろうか。タイ北部は雲南と接してはいないが、当然近い。更には数十年前バンコックでプーアル茶の作られていた歴史を見ても、今後タイ産プーアルが出てきてもおかしくない。

 

そして驚いたことに、あのタイ茶もブースを出しており、何と無料でタイ茶アイスを配っていた。勿論こちらは大人気、朝からアイス(先日バンコックで食べたのとは別の味)を食べた。しかもブースには2年前に工場を訪ねた時にあった、オーナーの息子がいるではないか。向こうも薄っすら覚えてくれていて突然の再会を喜ぶ。彼の横には可愛らしい女性がおり、何と嫁をもらっていた。しかもお腹が大きい。聞けば数日中に生まれるというのだ。そんな中をこのシンポジウムに参加しているのは凄い。彼らの事業は東南アジアにも広がっており、アイス事業も立ち上がり、公私ともに順調のように見えた。

 

シンポジウムでは午前中タイ側、午後日本側の発表があった。タイ側は政府の役人や研究者が、タイ茶業の問題点などを的確に指摘しており、タイ政府の茶業に対する支援姿勢も感じられた。人材不足、茶畑面積の不足、育種・茶園管理など知識不足など、タイ茶業は後発であることを自覚し、積極的に対応策を検討していた。勿論大学に茶学部も設置され、その研究も進んできている。

 

また昨晩のディナーでも会った生産者も数社発表を行ったが、皆熱心で驚く。しかも有機栽培などに力を入れるほか、台湾の支援で作られてきた烏龍茶の輸出・販売方法や、タイにある後発酵茶、ミエンを活用した食品などが目を惹いた。皆さん、想像以上に努力していることが分かる。

 

昼ごはんのビュッフェを頂き、午後は日本側が話した。団長のHさん、T先生、Iさんなどが日本茶や日本の現状などを報告し、機械メーカーさんは日本の茶業機械について紹介した。どの程度興味を持たれるのかとみていたが、これまた想像以上の反応があり、しかも実務的、実用的な質問などが多く出ていた。中には日本に視察に行きたいという声まで出てきて驚く。日本人でタイがここまで茶業に熱心だと知る人はほぼいないだろう。むしろ日本の方が、進歩が遅い、タイの取り組みに見習うべきところがある、と感じる人まで出てきた。

 

ほぼ丸一日のシンポジウム、タイ側は日本のノウハウなどに極めて深い興味を示したが、日本側は、市場規模としては難しいと感じたかもしれない。ただタイの取り組みが成功するとこれがアセアン全体に広がる可能性があるので、少なくともウオッチしていく必要はあると個人的には感じる。こういう初期段階でうまく支援を行い、自分たちのビジネスに繋げていくことは大切だろうが、意外と日本はこういうことが下手だ。

 

皆さん取り敢えず役割を終えてホッとしたようだ。ホテルに戻り、夜は近くのナイトマーケットのレストランでくつろぎながら、食事をした。まさに観光客気分が味わえた。皆で食べると沢山食べてもそれほど高くない。タイ音楽や踊りを見ながら、かなり盛り上がった。帰りにホテル近くで猫カフェを発見して驚く。今や日本文化はタイにも深く侵入している。日本人がタイでのビジネスを考えるのではなく、タイ人に日本のコンテンツをうまく活用する方法を考えてもらった方が成功の確率は高そうだ。

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