タイ巡礼、そして茶旅2017(14)チェンライ郊外の茶園で

7月25日(火)
シンハパークへ

翌朝は早起きして、団体客より早く朝ご飯を食べる。オムレツも作ってもらえ、かなりの量を食べて満足。今日は午前中、チェンライ郊外のシンハパークへ向かう。ここは過去2度ほどきており、既に色々見ているので、あまり期待はしていなかった。だが行ってみるとパーク自体の建物もバージョンアップし、観光茶園の雰囲気が更に出ていた。

 

また食事をご馳走になったが、ソーセージやチーズなどが美味しく、参加者からも『タイで一番美味しい食事だった』と大好評。元々ここのパスタは美味しく、前回まではゴルフ場のクラブハウスのようなところで食事をしたが、今回はスイスにでもいるような雰囲気の場所に変わっていた。やはり日本と違い、タイの変化は速いのだ。

 

広大な茶園風景も素晴らしいが、この茶葉は製茶に使われることはないと聞き、エコじゃないなと、少し残念。また日本企業との合弁会社へ行くと、生産は軌道になっており、2年前から順調に動いているようだった。機械は日本の中古が持ち込まれている。駐在の方も静岡からご夫婦で来られており、それなりに生活をエンジョイされていたのでよかった。

 

パーク内はカートに乗って回るのだが、途中にオームがいたり、茶畑がよく見えたりと飽きることはない。育種などが専門の方は茶樹をじっくり調べ、製茶機械の方は、その可能性を探る。実は今日は和歌山大学で教えているタイ人の先生が同行していた。彼の専門は観光学であり、シンハパークの完成度が高いことに驚いていた。和歌山と言えば、タイ人と一緒に高野山に行ったことがあり、ご縁を感じる。タイは観光分野では日本より進んでいるように思う。

 

突然茶荘で通訳する

午後は茶工場を見学する。中国名は天元茶行、案内してくれたジャルワンさんは、ヒジャブを被っていた。彼女は中国語を話したので回族ではないかと思い、念のため確認すると、やはりそうだった。ここで驚くことにピアポン先生が、『私は日本語も中国語ができない。タイ語から英語に訳しても大変なので、あなたが中国語-日本語で通訳して』と軽く言われる。正直急に言われてもと思ったが、ジャルワンさんの中国語は非常に標準的で分かりやすかったので、つい引き受けてしまった。

 

天元は1975年にジャルワンさんの父親が茶業を始めた。彼は雲南から逃れてきた国民党の兵士で茶作りの経験があったようだ。その後台湾の支援を受けて、青心烏龍や金宣などの品種を植え、台湾式の烏龍茶も作っている。また日本の煎茶、ほうじ茶なども作っており、茶畑にはやぶきたも植わっている。カワサキの製茶機械、落合の刈り取り機も使っている。日本のこともある程度分かっている。茶工場は清潔で、確かに台湾製の機械もあり、日本製もあった。天元はチェンライ市内、我々が宿泊しているホテルのすぐ横にも大きな店を出しており、卸と小売りの両方を行っている。

 

少し時間が余ったので、観光に行く。ワット・ローンクン、ここはアーティストが私財を投じて設計したというだけあって見事な白の寺院がある。基本的に鮮やかな金色が多いタイの寺では異彩を放っている。ここは観光客も多く、外国人は入場料を払う必要がある。寺院内は涼しいが、相当暑くなってきており、水分補給が重要だった。

 

最後に少し山の方に向かった。ドイチャーンティ、初日の夜も、そして昨日のシンポジウムも一緒だったチュチャワル氏が出迎えてくれた。ここは無農薬、有機を追及している茶園であり、タイ、中国、日本とスエーデンのハーフの3人が共同で出資しているというから実にユニークだ。産量は少ないので、ある意味で実験茶園という意味合いだろうか。ここで試してみて、うまくいけば、他に広げていく、という考えがある。横に茶園を見ると、様々な品種が植わり、虫よけが立てられている。

 

お茶の試飲も数多くした。緑茶、紅茶、烏龍茶、そして独自に作られたエターナル茶。健康に良いお茶だという。途中強い雨が降ってきて、室内で説明を受ける。夕飯もご馳走になったが、カレーなど地元の様々な料理が出てきた。フルーツも豊富。お酒も地酒からワインまで出て、盛り上がる。チュチャワル氏は70代後半と思えないほど元気で、歌を歌い、踊っている。エターナル茶のお陰だろうか。

 

日本の歌を歌えと言われ、『昴』などをみんなで歌う。今はスマホで歌詞から音まで出てくるので、歌うのは意外と簡単だ。タイ人は日本の歌を幾つも知っているので、面白い。『ドラえもん』や『一休さん』などのアニメソング、そしてなぜか『涙そうそう』や『北酒場』なども人気があるらしい。山の中でかなり楽しく夜を過ごした。チェンライ市内で過すより、よほどタイらしい雰囲気がよい。帰りが雨の中、山を下りた。

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